【帚木453-2】「おさふ」?何を?
源氏物語イラスト訳のあいです
では今日も行ってみましょう♪
ヽ(○・▽・○)ノ゙
これまでのあらすじ
天皇(桐壺帝)の御子として生まれ、才能・容姿ともにすぐれていたにもかかわらず、亡母(桐壺更衣)の身分の低さにより臣籍降下して源氏姓を賜った光源氏。
ただ今、「2.帚木(ははきぎ)」の巻です。頭中将たちとの雨夜の品定め(=女性談義)の翌日、正妻葵の上の住む左大臣邸から、方違えのため紀伊守邸に泊まった光源氏。そこで出逢った伊予介の若妻(空蝉)と強引に契りを結んでしまいます。空蝉のことを忘れられない光源氏は、弟の小君を手なずけ、使い走りをさせますが、何度手紙を送っても、空蝉は心を許しません。とうとう光源氏は、方違えの日を口実に、再度紀伊守邸に泊まり、空蝉との逢瀬を画策しています。
――――――――
今回の源氏物語
――――――――
「『心地悩ましければ、人びと避けずおさへさせてなむ』と聞こえさせよ。あやしと誰も誰も見るらむ」
と言ひ放ちて、
―――――――――――
大学入試古文 問題例
―――――――――――
と言ひ放ちて、
問題)傍線部の意味として最も適当なものを、次の中から選べ。
1.女房たちから離れずに側にお仕えさせたいのです。
2.女房たちにずっと腰を押さえさせたいのです。
3.女房たちを離さずにきっとおさえつけてしまうでしょう。
4.女房たちが離れないのでお側に参ることができません。
5.女房たちを側に置いて肩を揉ませております。
こういう問題集を、夏に向けて
コツコツやっていってほしいのですが、
やはり、単語や文法の知識だけでは
手に負えないのが、読解問題☆
(→o←)ゞ
コツコツ、積み重ねが大事ですね♪
(o^-')b
――――――――――――
1. 「人びと避けず」とは☆
――――――――――――
「避ける」という言葉は現在でも使いますね。
今回も、「避けず」という漢字になってますが、
本来の古文では、「離く」「放く」という漢字を
当てるのが正しいようです。
《離く・放く》
①〔他動詞:カ行下二段〕遠ざける。離す
②〔動詞の連用形について〕気がすむまで―する(四段の場合も)
《裂く・割く》
③〔他動詞:カ行四段〕裂く。切れて分かれる
④〔他動詞:カ行下二段〕裂ける。一部を切り離す
「学研全訳古語辞典(Weblio古語辞典)」より
「避け(e)―ず」
↑
未然形が「e」音なので、
四段ではなく、下二段活用です。
「人びと―避け―ず」というつながりなので、
①「遠ざける。離す」の意味ですね。
(^_^)v
人びと/避け/ず
女房たちを/遠ざけ/ないで
―――――――――――――
2. 「おさへさせて」 とは☆
―――――――――――――
《他動詞:ハ行下二段活用》
①押さえる。押しとどめる
②下に見る
③こらえる。がまんする
「学研全訳古語辞典(Weblio古語辞典)」より
「させ」は単独で用いられていますので、
尊敬ではなく、使役の助動詞です。
なので、
「押さへさせて」も言葉通り受け止めたらいいのですが…
いったい、何を 押さえるの?
((((((ノ゚⊿゚)ノ
――――――――――
3. 文脈を確認する☆
――――――――――
心地悩ましければ、人びと避けずおさへさせて…
空蝉は、
小君が光源氏の取り次ぎをしているのをたしなめた後、
このように言え、と小君に伝言を頼みます。
「心地 悩まし」は、「気分が悪い」という意。
気分が悪いので⇒「(女房たちに)押さえさせて」
何をっ??
(`・д´・ ;)
ここで、古文常識☆
(o^-')b
平安当時、
気分が良くない時は、しょっちゅうあったようです。
それはもちろん、体調を崩していることもあれば、
精神的に気分がすぐれないこともあるわけで…
だからといって、今みたいに、
何が原因か分からない場合が多いので、
すぐに薬を飲んだりできません。。
そこで、
医者でなくてもできる、
按摩(あんま)療法がなされたんですね!
これ、今でいうマッサージです。
何を押さえるか…?
それはもちろん、肩や腰などといった
マッサージしてほしい所を、押して揉んでもらうんですね。
(o^-')b
ちなみに、今回の場合は、
光源氏の誘いを断る口実にすぎないのでしょうが…
(;゚;∀;゚;)
2.女房たちにずっと腰を押さえさせ(○)たいのです。
3.女房たちを離さずにきっとおさえつけてしまうでしょう。
4.女房たちが離れないのでお側に参ることができません。
5.女房たちを側に置いて肩を揉ませて(○)おります。
2と5のどちらも、内容的にはOKです。
では、最終的にどちらを選べばいいのでしょうか?
(((( ;°Д°))))
――――――――――
4. 文末の「なむ」☆
――――――――――
選択肢に悩んだ時は、
傍線部の語義を振り返る。
今回、押さえてほしいのは、
「なむ」の識別です☆
ヽ(゚◇゚ )ノ
※「なむ」の識別はこちらの記事 もご参照☆
「人びと避けずおさへさせてなむ」と
「なむ」は、引用「と」の直前なので、
文末にあると考えられます。
(°∀°)b
「なむ」の直前は、
おさへ/させ/て
動詞/助動/接助
となりますので、
1.未然形+「なむ」
2.連用形+「なむ」
のどちらも該当しないでしょう!
ヽ(゚◇゚ )ノ
つまり、
おさへ/させ/て/なむ
動詞/助動/接助/係助
(腰などを)押さえ/させ/て/(ございます)
「―てなむ」のあとに、
「―てなむ(はべる)」などが省略されている
係り結びの法則の省略用法です。
ヾ(@°▽°@)ノ
※係り結びの省略用法はこちらの記事 もご参照☆
5.女房たちを側に置いて肩を揉ませております。
選択肢2は、
「なむ」を連語(強意「ぬ」+意志「む」)ととらえた訳し方になっていますね。
∑(゚Д゚)
見分けられましかたな?
(o^-')b
ーーーーーーーーーーーーーーー
以上の工程を、
パパッと、頭の中で考えて答えを出す。
時間は1分以内で!
さあ、できるかな?
(*^m^*)
正解は……5
第2帖「帚木」の巻
雨夜の品定め 光源氏と頭中将
雨夜の品定め 左馬頭の女性論
左馬頭の女性体験談
頭中将・式部丞の女性体験談
光源氏17歳 空蝉との出逢い
光源氏17歳 空蝉との逢瀬
光源氏17歳 空蝉への恋慕
あいの部屋オフィシャルブログ