↑撮影に使用されたホンモノと､完全に同仕様で制作されたeFX社のレジェンド・エディション。
ポイントは、ダース・ベイダーヘルメットの造形が、リック・ベイカーといってるのではなく、あくまでも型取りにすぎないところ。
まずは経緯を、eFX社のサイトから読み取ってみよう。
The original iconic Darth Vader helmet, as seen in Star Wars Episode IV: A New Hope, was sculpted by Brian Muir based on the concept sketches by beloved illustrator Ralph McQuarrie.
１作目『スター・ウォーズ』（エピソード４／新たなる希望）の象徴とも言える、ダース・ベイダーの最初のヘルメットは、
↑劇中の高解像度スクリーンショット。
ブライアン・ミュワ（ミュアー）が、
才気に溢れ、今もファンが多いラルフ・マクォーリーのスケッチをもとに、
造形したものである。
……実際は違う。
マクォーリーのイラストで、実物のベイダーに最も近いのは、これ。
それ以前は、もっとかけ離れたデザインばかりだった。
ミュワが、マクォーリーのスケッチを元に、
ベイダーのヘルメットを造形した結果が、こうなることなど、ありえない。
なぜなら彼は、単なるリズ・ムーアの代役で、
彼女がケイブンシャ刊「全怪獣怪人大百科」（昭和50年版／1974年12月１日発行）の、
1320番目にエントリーされた､マシンガンデスパーの小さな写真（横47ミリＸ縦40ミリ）を参考に、
マクォーリーのスケッチどおりではない、
彼女なりの作風を加味して、
ストームトルーパーの頭部粘土原型を造形したのとは、
条件が異なるからだ。
何でも屋の映画造形職人ミュワには、独特の作風を加味することなど、許されなかった。
なので彼が同時期に手がけたデス・スター・ドロイド（RA-7）も、
↓上の資料が、粘土原型の下に貼り付けてあることに注目。
通信ドロイドCZ-3も、
マクォーリーのデザインスケッチに、基本形はきわめて忠実。
ベイダーだけ、造形師ミュワのオリジナル色が加わっているとは考えにくい。
ミュワは立場が下っ端ということもあり、ルーカスから衣装デザイナーのジョン・モロや、筆頭造形師だったリズ・ムーアには手渡された秘伝の書（笑）の、
くしくもマシンガンデスパーの真下に掲載されていた、
横47ミリＸ縦40ミリの、魔人斎〈血車党首領〉（※魔「神」斎の誤植）は、
見せてもらっていない。（昨2010年のワンフェスで証言）
一方でモロは、確実に魔神斎を元にした衣装案を描いていて、
中世の甲冑風の鎧、画面右下の同心円状のエンブレムは、魔神斎には通じるが、ベイダーの本来のデザイン（ラルフ・マクォーリーによる）とは全く無関係。
その延長線上に、マスク造形用のスケッチも描き、
ミュワも「マスク造形は、マクォーリーではなく､ジョン・モロのスケッチを元にした」と証言している。
該当スケッチは、関連出版物にも一切掲載されていないが、
一番近いものは、ジョン・モロが所有するスケッチ集にある、これである。
……全然リック・ベイカーの話に、行き着かねえじゃん！
おまけに今回の情報の大半は、前にブログで書いてるし。
ふっ、モウロクしたぜ。
次回こそは、リックベイカーの話になりますように。