ご訪問いただきましてありがとうございます。
>>このブログが初めての方はこちら
>>このブログの目次はこちら
今回は、エックス線作業主任者試験の解説で『軟X線と硬X線の半価層』についてです。
それに関する問題では、次のような選択肢が出題されます。
「軟エックス線の場合は、硬エックス線の場合より、半価層の値が大きい。」
この選択肢は、誤っている記述です。
この記述は、軟エックス線(読み:なんエックスせん)と、硬エックス線(読み:こうエックスせん)の半価層の違いを問うものです。
まず、選択肢にある「軟エックス線」と「硬エックス線」についてみていきましょう。
軟エックス線とは、エネルギーの小さいエックス線のことです。
エネルギーの小さいエックス線は、物体を通り抜ける力が弱いという特徴があります。
↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑
(これメッチャ重要です!)
一方、硬エックス線とは、エネルギーの大きいエックス線のことです。
エネルギーの大きいエックス線は、物体を通り抜ける力が強いという特徴があります。
↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑
(これメッチャ重要です!)
次に、選択肢にある「半価層」についてみていきましょう。
半価層とは、エックス線を物体に照射したとき、物体を通り抜けるエックス線の量が、半分になるときの厚さのことです。
例えば、10mSvのエックス線を、厚さ5mmの鉄板に照射したとします。
その鉄板を通り抜けたエックス線強度が、最初に比べ半分の強度の5mSvになっていたとき、鉄板の厚さ5mmが半価層になります。
ちなみに、mSvはミリシーベルトと読み、放射線の強度を表す単位です。
では、軟エックス線と硬エックス線を、それぞれ鉄板に照射した場合を考えてみましょう。
まず、10mSvの軟エックス線を、鉄板に照射した場合です。
軟エックス線は、物体を通り抜ける力が弱いため、厚さ3mmの鉄板で、最初の半分の強度の5mSvになるとしましょう。
この場合、鉄板の厚さ3mmが半価層になります。
次に、10mSvの硬エックス線を、鉄板に照射した場合です。
硬エックス線は、物体を通り抜ける力が強いため、厚さ7mmの鉄板で、最初の半分の強度の5mSvになるとしましょう。
この場合、鉄板の厚さ7mmが半価層になります。
以上の例をまとめますと、軟エックス線の場合は、半価層の値が3mmで、硬エックス線の場合は、半価層の値が7mmとなります。
このように物体を通り抜ける力が強い、硬エックス線の方が、軟エックス線よりも半価層の値は大きくなります。
↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑
(これメッチャ重要です!)
ここで、今回の選択肢に戻りましょう。
すると、「軟エックス線の場合は、硬エックス線の場合より、半価層の値が大きい。」という選択肢は、誤っていることがわかります。
先ほど見たように、硬エックス線の方が、軟エックス線よりも半価層の値は大きくなりました。
したがって、「硬エックス線の場合は、軟エックス線の場合より、半価層の値が大きい。」という選択肢であれば、正しいことがわかります。
軟エックス線と硬エックス線の特徴は大切です。
覚えておきましょう。
>>関連記事
■単一エネルギーで細い線束のエックス線による半価層への影響
■半価層と1/10価層の関係
>>それぞれの科目の目次はこちらからどうぞ。
●【目次】[X線]エックス線の管理
●【目次】[X線]関係法令
●【目次】[X線]エックス線の測定
●【目次】[X線]エックス線の生体
※本ブログでは、わかりやすいように比喩的表現を、使用することがあります。それらは、実際の事象を、完全に表現したものではありませんので、ご了承下さい。