さて、日本神話の中でも特に異彩を放つ『大国主』の話である。


覇王『スサノオ』の正当な王位継承者である『須勢理毘売命(スセリビメノミコト)』。


後継者と言えば、長男を思い浮かべるが、古来、出雲では末子相続であった。


「何故に末っ子が⁉️」と言いたくなるが、末っ子ということは、受け継がれた段階で一番若い、つまり「長生き」であるため、王様がコロコロ代わるよりは、長く続いた方が良い為なのだそうな。


そして、『スサノオ』の末っ子が女神である『スセリビメ』だった。


つまり、『スセリビメ』の夫となる人物がその地位を手に入れることができた。


お互いに一目惚れをしたお相手こそが後の大国主となる『大穴牟遅神(オオナムチ)』であった。


『オオナムチ』を認められないスサノオは、数々の試練をオオナムチに与える。


オオナムチはまず、試練の部屋『蛇の部屋』に入れられる。


妻のスセリビメはオオナムチに

「蛇が襲ってきたら、この比礼(ヒレ)を三回挙げて振って払ってください」と言い、『蛇の比礼(ヒレ)』を授けて助ける。


次にオオナムチは『ムカデと蜂の部屋』に入れられる。


スセリビメは、今度は『蜂の比礼(ヒレ)』を授けて助ける。


さらに、スサノオは『鳴り鏑(ナリカブラ)』という矢を原っぱに放ち、「その矢をとってこい」という。


このように数々の試練を与えるスサノオと、試練を受けるオオナムチ、ソレを助けるスセリビメ…といった感じで、物語が進んでいくのだが…


ここで気づくことがある。


『蛇の比礼(ヒレ)』

『蜂の比礼(ヒレ)』


これらの不思議な呪具は↓



『十種神宝』のリストに入っているのだ。


『ニギハヤヒ』が天神の証として受け継いだであろう、あの神宝である。


このことから、それらを所持していた『スセリビメ』は、やはり正当な後継者なのだと感じる。



しかし、本日の主旨はソコではない。



実は、よく似た話が、遠い地に住むアメリカンインディアンの伝承にある。


『太陽へとぶ矢』の伝承である。

 

 


~あらすじは以下の通り~


太陽の神は命の力を一本の矢に変え

大地に向かって飛ばした。


矢は村の娘に当たり、

娘は男の子を授かった。


すくすくと育った男の子は

父親がいないことから「親なし子」と

いじめられる。


男の子は父親を探すために

父親のもとに連れて行ってくれる人を探す。


矢作りの男と出会う。


矢作りの男は、一目で男の子が

太陽の子の息子と見抜き

特別な矢を作ってくれた。


男の子を矢にしたのだった。


太陽に向けて射られた矢になった男の子。


父である太陽の神と対面。


しかし、太陽の神は男の子が実の子か疑う。


そこで、神は4つの部屋を

順番に通り抜ける試練を与える。


4つの部屋とは

○ライオンの部屋

○ヘビの部屋

○ハチの部屋

○稲妻の部屋


男の子は試練に立ち向かい

無事全ての部屋を通り抜けた。


最後の稲妻の部屋を出たときには

太陽の力が体中を漲っていた。



さて、もうお気付きですよね。


蛇の部屋に蜂の部屋、そして「矢」。


大国主の物語とそっくりである。


日本神話では、度々「何かしらの尖ったモノが女性に刺さる」という比喩表現を用いて、神の子を産ませている。



オオナムチは一説によると、出身は不明。


シュメール人やユダヤ人、そして神話上の創作とまで言われる謎の神。


インド神話には『ナムチ』という神が登場する。

なんと、雷神『インドラ』の友なのだ。





王、あるいは神として認められるために受ける試練。。




スサノオの神格は、定説では「海神」「荒神」「農耕神」等だが、牛頭天王と同一神であれば「月」の神格を持つ。


しかし、『天照良建雄神(あまてるますらたけおのかみ)』という別名や、太陽神『ニギハヤヒ』の父神であれば、「太陽」の神格を持っていると言えなくもない。


月と太陽は表裏一体である。



インディアンの伝承の「男の子」は、太陽の神として認められ、「オオナムチ」は『大国主』と名乗り、国を治めることを認められた。


伝わったタイミングは定かではないが、明らかに古代日本とアメリカンインディアンには、深い繋がりが感じられる。




面白いのが、スサノオが最後に放ったセリフ。


大国主神(オオクニヌシ神)となり、宇都志国玉神(ウツシクニタマ神)となり、須勢理毘売(スセリヒメ)を正妻として宇迦の山の麓に太い柱を立てて、高い宮殿に住め」



このセリフである。

大国主の別名『宇都志国玉神(ウツシクニタマカミ)』。



名前に「ウツ」が入っている。


シュメールの太陽神『ウツ』しかり、ヘブライ語で「光の賜物」という意味になる『太秦(ウヅマサ)』しかり(「ウヅ」に太陽の「太」の字を当てているのが暗号の証である)。



「ウツ」は太陽の光を意味し、太陽神を意味する。




日本神話をそのまま読み解く限り、『大国主』は役職名である。


国を治めた複数の神様が『大国主』としてまとめられてしまっているが、神話を分解すると「その時代の大国主が誰だったか」という答えに近づけるのかもしれない。



アメリカンインディアン『ホピ族』は、

スサノオと天照大御神の誓約により誕生したとされている、『天穂日命(アメノホヒ)』との繋がりを想起させる。



そして、正当は王位継承者「スセリビメ」。


この女神は、ある神様の名にすりかわっている可能性があるのだとか。


ちなみに…アメノホヒの磐座が、六甲山山頂にあるのだそうな。。




アメリカンインディアン風の大国主描いてみた(笑)



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つづく。


ではまた❗




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