約6時間半の長丁場。参戦を終えて帰宅すると、ちょうど情熱大陸が放送されていた。

しかもその内容は、AKB48として生きた、柏木由紀を取り上げたものであった。

 

仕事としてアイドルを務める。序盤、そんな旨の発言が刺さった。

いとも簡単に恋愛不祥事を起こす地下アイドルを批判したいわけではない。むしろその逆だ。

知名度がそう高くなかろうと、真摯にアイドルを務める者が如何に多いかを著したい。

 

その切り分けにあたって、ライブパフォーマンスは一つ挙げられるだろう。

与えられた歌やダンスが一定の完成度に達しているか、一つ一つのライブに対して工夫を施して取り組めているか、期待されるファンサービスが成っているか、等々、ライブというのは、本当に多くのことが求められ、同時に、多くのことが解ってくる。

 

こうして言語化すれば、アイドルもアイドルで十分、大変な職業であり、収益を得るという点では、無難に他の職業を選ぶべきなのだ。しかしそれでも、彼女たちはアイドルに就く。アイドルとして生きたいと願って、この世界に足を踏み入れるわけだ。

 

 

 

今回参戦した対バンだが、出演組数20組に対して、参戦に至ったのは15組である。今こうして数値化すればなかなかに参戦率が高いなと驚いてしまうが、この参戦対象にあたって、手羽センは含まれていない。アイアラ、フレオ主催にも関わらずである。

 

というのも、この頃、TwitterことXで投稿を見る限りでは、ネガティブな発信が多いと感じるからだ。ライブ出演頻度は情報追えていないが、ファン含め大衆の期待感としては、間違い無く旧体制の方が高かった。それは当然、手羽センを務める少女たちも理解しているわけで、故にマイナスな呟きが増えてしまうのは致し方ないかもしれないが、じゃあ、それは果たして、アイドルとして務め切れていると言える行為なのだろうか。などと考えれば、GWとはいえ、家族都合や仕事も充実して日々時間に追われている筆者だ、貴重な時間を割いてまで参戦する価値があるのか、と判断し、参戦断念を決意するに至った。振りかえれば昨年などは、肉フェスなどに出演しており、まさに夏の主役だったのだが。こんなにも簡単に折れてしまうものなのだろうか。哀しくなってくる。

 

話を戻して、参戦した15組のうち、5組ずつ「優」「可」「劣」で評価してみた。あくまで筆者個人としての所感程度なので、これを重く受け止めないことを願うばかりである。ということで、いつも通り、順に書いていこうじゃないか。前回同様、全体としては分量がかなり多くなってしまうので、複数日に分けてアップロードしていこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「06」Jewel☆Garden「地蔵」12:50~13:15「劣」

最終参戦:2024/4/7:『桜しか勝たん!な吉祥寺参戦

はっきり言ってしまえば、前回のライブや現場があまりにも良過ぎた。吉祥寺SEATAということで、ステージまでの距離が近くて良く観察できた。なのでそもそも、今回、横浜ランドマークホールでの全体評価としては、ライブよりも現場に重きが置かれているものだと前置きしておこう。

で、現場に関しては一言でまとめた通りだが、ArcJewel現場の割にはそこまで声援火力が高くないと感じられた。厳密に議論するならば、コアな部分、つまりは優先エリアや、一般エリアの前方や中央寄りは専ヲタが密集しておりそこは火力高かったのかもしれないが、果たして、横浜ランドマークホールという広い会場、そのレベルの知名度や動員で十二分に戦えているのだろうか。

別に専ヲタが散り散りになって応援してほしいというわけではなく、まとまりたいならそれでいいと思うし、要は、コアな層だけで推されが完結してしまっており、若者やライト層などにアプローチできていないという現状なのではないだろうか。なかなか難しいところではあるが、グループよりかは個々人の知名度を上げることで、個別動員の集合として全体動員の増加、そしてフロア全体で見た時に応援強い者が局所的でない状況を生み出せるのでは、と筆者は考えた。

とはいえ、結成自体は浅いものであり、そう急ぐ必要は無いだろうが、そもそも研修生ユニットなどではなければ、という前提が必要だ。たとえば、I-GETで言うところのベビキスであればいずれ正規ユニットへの昇格が確約されているようなもので、昇格後に推されれば良い気が、いや、それも妥協的な考察だろう、それに、地蔵とか関係無く、今の時代、物販に多く来てくれれば勝ちなので、ライブを盛り上げる必要性は無い。ならそれでいい。現場志向な筆者が議論すべきではない。

 

 

 

「07」Drug&Drop「空中分散」13:15~13:40「劣」

最終参戦:2023/9/2:『暮夏之濵:一貫性を以てアイドルに臨むということ:3/5

前回はアイカレ直後の出演という差異だけで、アイアラ出演および横浜ランドマークホールという条件まで揃っているのだが、正直、どうして前回あれほどに称賛していたのかが解らないほどに、グループ全体で噛み合っていないような印象を受けた。様々な側面からだ。パフォーマンスの実力差、ライブにおける熱量。どれもギャップが激しく、今日の筆者はそれについていけなかった。

今後のアイドル界に残したいと思った2名を取り上げてみよう。まずは清水美来だ。先日のキンマーでの活躍の通りだが、撮影会でも戦える。白く美しい全身もそうだが、表情管理の秀逸さ、そしてそれが灰汁として映らないような自然な塩梅が良い。昨今では、アイドルとして就いても多面的な活動が求められる。ライブ以外の活動で知名度を得て、あわよくばライブ動員にまで繋げられればベストだが、そこまでは望まない。いずれにしろ、グループとしての戦力で欲しい人財だ。

そしてもう1人が、水月杏果である。ライブパフォーマンスを通して魅力的だと感じたのは彼女だけだ。自然な表情、そして積極的なレス、何よりも観客一人一人を見てライブをしていると伝わる様子が良い。アイドルは初とのことだが、ライブで振る舞うべき行いとしては彼女が一番理想的だと筆者は考えた。彼女のあのライブに対するエネルギーというのは、アイドル界で長く活かしたい。

それ以外については、さほど惹かれるものでもなかった。マイナスな意見になってしまうので割愛するとするが、全体所感としては、グループとしてこれからどういう方向へ進んでいきたいのかが見えてこなかったのが一番痛い。結成してからまだそこまで経っていないからいいのかもしれないが、ライブアイドル界とは変化の激しい世界だ。今後の改善に期待するとしよう。

 

 

 

「08」「17」ラブアグレッション「サイリウム」13:40~14:05 / 17:35~18:00「可」

最終参戦:2023/9/9:『非似秋雰:土曜渋谷の小箱4マン

物販3「ピンク」葵井るき「玄人ならではのプロな対応」

3人目の物販回収となっているのは、この日、ラブアグレッションは2回出番であり、2回目の出番に対する並行物販で回収したためである。そのため、1回目ではただライブを観て終わったのだが、この1回目でも好感触ではあった。ドラドロで不完全燃焼だった原因として、前述の通りグループ全体での方向性の不一致も挙げられはするが、現場が応援と地蔵で占められており、かつ加勢陣の火力もそう高くないものだったためだ。現場としてどう在りたいのか。そのビジョンが見えてこなかったが、これに反してラブアグレッションはというと、撮影可能ということもあって撮影に徹する者が多かったが、それが決して従来のカメコの層に限らず、若者や女性などもこれを行っていたということ。令和な時代ならではの現場の多様性だなと思いつつ、確実にキャッチできている現状は素晴らしい。なので筆者としては、そんな空間を維持するためにも着席して観賞を貫いたのであった。

そして2回目の出番である。フロア最後方ながらも、一旦会場を出て食事を摂ったばかりですっかり回復していた筆者だ、今度は元気良く振りコピで立ち回ったが、ステージへの視線の途中で、現場のサイリウムの多さを再認識したのであった。多少の偏りはあろうと、どのメンバーもしっかり灯されている。確かな愛だ。ライブも現場も、ライブ音楽に真摯である。そんな在り様を見て、フレオ主催側としては安心と信頼を抱き、複数回の出演を決定したのかもしれない。

物販開拓はしたが、何か一つのことに捧げて全うする存在というのは、そうでないアイドルと比べて話しぶりも全然違うし、ドルヲタを長く続ける筆者とて、彼女の前では一社会人としての筆者の在り様と問われているような感覚をも抱く。良い刺激になる。次会う時までには、もっと社会人として成長しておきたいものだ。なんだかGW明けからの日々の過ごし方も変わってきそうだ。

 

 

 

「09」未完成のキャラメル「方向性」14:10~14:35「優」NEW!!

物販1「白」佐倉みき「長いアイドル人生に感謝の念を」

ラブアグレッションももちろん素晴らしかったが、筆者個人としてみかめるを優と位置付けたのは、結成して間もない中、かつメンバー間でのアイドル経験の差が大きくても、グループ全体で同じ方向を見てライブができていることをより称賛したく、相対的にラブアグレッションを可としている。正直、可を位置付けたアイドルの大半はほぼ優だったので、今回、如何に出演したアイドルのレベルが高いかというのが、参戦レポ執筆で何度も反芻して改めて痛感させられるのである。

ということで、ライブパフォーマンスが素晴らしかった。もちろん現場の活気も十二分ではあったが、やはり筆者としては、主戦場をグラビアとして据えてきた2名がどこまで馴染めているか、だけでなく、アイドル活動を楽しめているかを懸念していたので、パフォーマンスでの表情やダンスの塩梅などを観て、とても安堵したのを憶えている。加えて、未経験者に強く忖度して楽なダンスかというとそうでもない。振りコピして何度もミスが生じるぐらいには、凝ったダンスだと筆者は感じた。

シンプルに再会を喜ぶだけでもいいとは思っていたものの、想像を遥かに超えて素晴らしいライブパフォーマンスだった。そのあたりも直接褒めたいと思い、物販開拓を行ったが、憶えてくれていたのはとても嬉しかった。なお、物販スペースで、物販卓やチェキ撮影を務めていたスタッフが本当にレベル高かった。バイトなどの即時的なものではないと仮定すればの話だが、身近にああいった運営がいることで自然と、アイドルを務める少女たちも感化されて自己研鑽に励めるものだと感心したのであった。そんな側面も含めて、活動が始まったばかりのみかめるには期待しかない。

 

 

 

「10」iTRiP「完成度」14:35~15:00「可」NEW!!

こどもの日当日とはいえ、物販だけでなくライブまでも園児衣装で出演したのは極めて稀だった。普段着る衣装と比べての踊りにくさもあるが、肝心なのは、行事ごとに沿って用意した衣装なので、普段の衣装と比べて自然と陳腐なものとなってしまう。筆者のように初見な者からすれば、それは大いなる魅力の喪失に繋がるものではないだろうか。しかし、これはあくまで一般論だ。今回、劣評価へと至らなかったのは、それが大きい。要は、園児服でも十分似合っており、キレッキレのダンスというギャップを生み出すには非常に効果的だったということだ。アイカレ系列なのでパフォーマンスが間違いないのは自明かもしれないが、アイカレとは違って一般的な構成人数だ、相対的に少人数ということでどう見えるのかを懸念していたが、少数精鋭といった感じでどのメンバーも、相対的に広いスペースというのを楽しんでパフォーマンスしているように見受けられた。

それでも可評価と位置付けたのは、対バン全体でレベルが非常に高かったことだけでなく、グループ名やコンセプトが少々形式的過ぎないか、ということだ。それに、コンセプトを表現したような楽曲があったとも思えなかった。しっかり歌詞など読み解けばあるのかもしれないが、それでは遠回り過ぎる。直感的に解るぐらいのメッセージ性が欲しい。とはいえ、逆に言えばそれぐらいのポイントしか挙がってこないので、今度対バンで被った際には普通にフル尺で観たいぐらいには上手かった。(5107字)

 

 

 

日時:2024/5/5(日祝)、10時45分~20時05分

会場:横浜ランドマークホール

タイトル:アイドルアラモードプチ vol.81 ~全編25分&こどもの日SP~

出演組数:20組