この月曜から、ラックスの38FDのサステナブル化の3台目をいじってました。
3台目ともなると、要領も分かってきて、球とトランス類の抜かれたアンプ本体を入手しておいて、手持ちのトランス球を取りつけて完成させるという作業。
その際に、50CA10は使わずに6L6GC系に変更するという一手間。
オリジナルの電源トランスは出力管用のヒーター巻き線がなく、別に用意する必要があります。
今回は2度めですが、昔のサンスイのレシーバーに使われていたトランスが、ちょうど取り付け穴位置もピッタリなのでこれを使用。
出力段とプリアンプ部分のヒーター点火方法を変更。出力段はセルフバイアス、3結に変更。
配線時は、各リード線ははんだ付けから外されたままの位置にあるので、OPTなどはどの端子につなげばよいかがすぐにわかります。
完成した内部の配線です。
出力段のカソードバイアス抵抗220Ωの両端の電圧を測れば、PP2本に流れる電流値が分かります。25Vだったので2本で110mA。1本当たり55mAでした。カップリングはオレンジドロップ。位相反転段のグリッド結合部の0.47μFはASCの物を使いました。
プリアンプ側はカップリングコンデンサーをいつもの松下製の箔フィルムのものに変更しました。
この部分のカソードバイアスコンデンサはせいぜい1Vから2V程度の電圧しかかかっていないので劣化していません。オリジナルの抵抗もいいものを使っているので、そのまま残しました。
球は今回ソブテックの5881を使います。この球の3結での使用は上杉氏が晩年、好んで使ってらっしゃいました。
OPTはCSZ-15です。OY-15 と比較して直流バランスの変動に強く、定インダクタンス型で小音量時でも音像が明瞭です。
5881は6L6GC相当管ですが背が高くOPTと同じくらいです。まだケースに入れていませんが天板につっかえることはないと思います。
配線が終了して、残留ノイズを測ったら左0.1mV、右0.5mVでした。
各回路部分の電圧を測ったら、1本の6AQ8 の2ユニットの内部抵抗が大きく差がでており電圧が大きく違っていました。変更です。
SQ38FDは小さなケースにプリメインを押し込んでいるので、設計者が苦労したあとが分かります。
ヘッドホンジャックとメイン/リモートSPの切替SWが前面パネルにあります。要はOPTの2次側の配線が、ハイカットフィルターなどのアクセサリー回路に近付いてしまいます。その対策としてOPT2次側の配線に、1本のコードをコイル状にぐるぐる巻きつけてシールドにしています。
更にはこの2次側の配線を、シャーシの真ん中に金属の長い四角のシールド管に納めています。
それから背面パネルにある、メインアンプの入力VRが、ACアウトレットやヒューズのそばにあります。このシールド対策としてVRに四角い金属ケースを被せています。さらにその金属ケースとVR本体を接触させて、アースに落としています。
大変ですね。
もっと大変なのは放熱だろうと思います。50CA10からの発熱が、ケース内部を炙る。ブロックコンデンサーを炙る。どの38FD を見ても、出力管そばのコンデンサーの頭が膨らんでいます。
これはコンデンサーのカン自体が膨張しているわけではなく、頭頂部の黒い樹脂が熱で曲がっているのです。
かわいそうに部品たちは熱波高温地獄にさらされているのです。しかしながらよく持っていますね。
さて今回の電源トランスは、ヒーター巻線も含めたコアボリュームになるので、やや小型になりオリジナルに比べてレギュレーションがひくいのです。電圧も10%程度低く出ます。おおきな出力を欲張らないアンプになります。
このあと波形を見て、球が天板につっかえないかを見て、鳴らして見ようと思います。