トニーのゆっくり回覧版  真空管アンプ自作のブログ -33ページ目

トニーのゆっくり回覧版  真空管アンプ自作のブログ

真空管アンプの製作、音楽、生活のことなど

この月曜から、ラックスの38FDのサステナブル化の3台目をいじってました。

 

3台目ともなると、要領も分かってきて、球とトランス類の抜かれたアンプ本体を入手しておいて、手持ちのトランス球を取りつけて完成させるという作業。

 

その際に、50CA10は使わずに6L6GC系に変更するという一手間。

オリジナルの電源トランスは出力管用のヒーター巻き線がなく、別に用意する必要があります。

 

今回は2度めですが、昔のサンスイのレシーバーに使われていたトランスが、ちょうど取り付け穴位置もピッタリなのでこれを使用。

 

出力段とプリアンプ部分のヒーター点火方法を変更。出力段はセルフバイアス、3結に変更。

 

配線時は、各リード線ははんだ付けから外されたままの位置にあるので、OPTなどはどの端子につなげばよいかがすぐにわかります。

 

完成した内部の配線です。

 

 

出力段のカソードバイアス抵抗220Ωの両端の電圧を測れば、PP2本に流れる電流値が分かります。25Vだったので2本で110mA。1本当たり55mAでした。カップリングはオレンジドロップ。位相反転段のグリッド結合部の0.47μFはASCの物を使いました。

 プリアンプ側はカップリングコンデンサーをいつもの松下製の箔フィルムのものに変更しました。

 この部分のカソードバイアスコンデンサはせいぜい1Vから2V程度の電圧しかかかっていないので劣化していません。オリジナルの抵抗もいいものを使っているので、そのまま残しました。

 

球は今回ソブテックの5881を使います。この球の3結での使用は上杉氏が晩年、好んで使ってらっしゃいました。

 

 

OPTはCSZ-15です。OY-15 と比較して直流バランスの変動に強く、定インダクタンス型で小音量時でも音像が明瞭です。

 

5881は6L6GC相当管ですが背が高くOPTと同じくらいです。まだケースに入れていませんが天板につっかえることはないと思います。

 

配線が終了して、残留ノイズを測ったら左0.1mV、右0.5mVでした。

 

各回路部分の電圧を測ったら、1本の6AQ8 の2ユニットの内部抵抗が大きく差がでており電圧が大きく違っていました。変更です。

 

 

SQ38FDは小さなケースにプリメインを押し込んでいるので、設計者が苦労したあとが分かります。

 

ヘッドホンジャックとメイン/リモートSPの切替SWが前面パネルにあります。要はOPTの2次側の配線が、ハイカットフィルターなどのアクセサリー回路に近付いてしまいます。その対策としてOPT2次側の配線に、1本のコードをコイル状にぐるぐる巻きつけてシールドにしています。

 

更にはこの2次側の配線を、シャーシの真ん中に金属の長い四角のシールド管に納めています。

それから背面パネルにある、メインアンプの入力VRが、ACアウトレットやヒューズのそばにあります。このシールド対策としてVRに四角い金属ケースを被せています。さらにその金属ケースとVR本体を接触させて、アースに落としています。

 

大変ですね。

 

もっと大変なのは放熱だろうと思います。50CA10からの発熱が、ケース内部を炙る。ブロックコンデンサーを炙る。どの38FD を見ても、出力管そばのコンデンサーの頭が膨らんでいます。

 これはコンデンサーのカン自体が膨張しているわけではなく、頭頂部の黒い樹脂が熱で曲がっているのです。

 

かわいそうに部品たちは熱波高温地獄にさらされているのです。しかしながらよく持っていますね。

 

さて今回の電源トランスは、ヒーター巻線も含めたコアボリュームになるので、やや小型になりオリジナルに比べてレギュレーションがひくいのです。電圧も10%程度低く出ます。おおきな出力を欲張らないアンプになります。

 

このあと波形を見て、球が天板につっかえないかを見て、鳴らして見ようと思います。

 

 

 

 

 

 

 

今回もプリアンプを作りましたが、結局のところ真空管のアンプは真空管の音しかしないと実感しています。

 

出来立てはプラシーボ効果で、素晴らしく聴こえます。これがずっと使用していると、普通の機械の音になってしまいます。

 

 パワーアンプでも同じことです。

 

 どうやら今までと違う画期的な回路、とてつもない球やトランスを使えば、レベルの高い音が手に入るのかもしれません。

でもそれを実行する気にもなりません。

 

 プラモデルと同じで作っている時が一番楽しい、これだろうと思います。アンプビルダーの方はおしなべてそうおっしゃいます。

 

 

最近は作っている時が楽しいに加えて、トラブルの対策で四苦八苦しているときはもっと楽しい、となってきています。

 

どうやら私はMの気があるようです。

 

トラブル発生時はブログのアクセス件数が伸びます。皆さんどうなるのだろうとご興味が湧くのでしょうね。過去は完成した後に、トラブルや途中の失敗は公開せずに、何事もなかったように記事を書いていました。

 

ある時期から、ぶっつけ本番で、トラブルも包み隠さずリアルタイムで書き始めたのですが、その方が正解でした。

 

 できたアンプの音を楽しむことはもとより、記事にして公開することも楽しみです。

 

今回のサイテーションでまた教訓をいくつか得ました。

 

・プリアンプのノイズは完全にケースに入った形で確認すること。これは以前まできちんと実行していたのですが、加齢とともに忘れてしまっていました。

 

・リークしている(絶縁抵抗が低下している)コンデンサーを使うと、アクセサリー回路(ハイカット、ローカット、テープモニター、トーンキャンセル等)の切替時に盛大なクリックノイズが発生してしまうこと。バチッ、とかバリッといったレベルです。

 この原因は、いにしえのコンデンサーを使ってみたという気持ちですが、一般の方は新品を使うことでこれは回避できます。

 絶縁抵抗3MΩのバンブルビーはノイズ発生源になりますが、未使用のオレンジドロップは絶縁が無限大まで針が振れます。たのもしいこと。

 

というわけで、次にプリアンプをつくるなら、マランツ♯7型かマッキンC-22型にしたいなと思っています。  

 

 

 

昨日から今日とずっと聴いていました。

 

 

 

 

コンデンサーを黒いものに替えてみました。実はこの後もまた、変更しました。

 

 

鳴らすパワーアンプをEL34PPにしました。このアンプはOPTにアクロサウンド社のTO-300、出力管に英国ムラード社のブラックバーンの工場で製造されたEL34 を使用しています。私はへたな300Bアンプよりはるかにいい音を提供してくれるこのアンプが一番気に入っていて、頼りにしています。製造NO.を6301としています。63歳で作った1台目の意味合いがあります。もう4年経っていますね。

 

 

スピーカーはアルテックの20センチフルレンジの408A です。ストレートでバランスのとれた、アルテックサウンドを奏でてくれるユニットです。

 

レコードを次から次に聴きました。やはり懐かしい音です。CR型イコラザだからでしょうか。NF型と違って、俺が俺がと前にどんどん出てくる印象ではありません。静かで、素直な音です。

 

CDを聴きました。とてもHiFiです。ソースの音を余すところなく聴かせます。ミシェル・ペトルチアーニのライブ録音を聴いていると、拍手がリアルで、私の近くに座っている人が叩いているような感じです。

 

次にアンプをまたDA30PPに戻しました。柔らかくて芯があり、コロコロ転がるような音で鳴ります。DA30の個性なのでしょう。

EL34PPのスピード感や張りだしとは趣きが違いますが、やはり実力を感じます。

 

 

 

さてコンテンポラリーサイテーションⅣの音に結論を出す必要があります。思いつくまま列挙します。

1.ハイファイである。

2.音がストレートに飛んでくる

3.CDなどのライン入力では、CR型トーンコントロールの音だが、現代のソースも普通に鳴らせる

4.空気感がよく出る。ライブ音源はもちろんだが、スタジオ録音のものもホールで聴いている印象である

5.弦楽器、管楽器、打楽器とまんべんなく再製する

6.ハムやクリックノイズが出ない

 

 

手元に置いて使いたいのですが、もう置き場がありません。

しばらく試聴の旅にだして、戻ってきたら処遇を決めます。プリの製作はあと4台の予定です。