今回から、「半田付け」に関する説明をします。シャーシ加工はそのあとで。
さて半田付けは、一般の人はあまり馴染みがないかもしれません。
中学校の技術家庭科で昔の男子はラジオのキットを作るときに経験されたかもしれません。
半田付けは重要です。私は今でも未半田とかミスをやらかしてしまいます。じっくり見ながらが必須です。
【半田不良の事例について】
1.加熱不足による未接合。さっと短時間で半田が流れて固まっているように見えるのでコテを引いてしまう。結果、ついているようにみえるがポロリと取れてしまう。これは加熱不足が原因です。
2.接触不良。これは半田の中に、端子部もリード線も入っているので導通はとれているけど、リード線と端子がしっかり接触しないままなので、信号が半田の中を流れることになり、音が汚くなります。投げやりな半田付けの結果です。
合金の中に信号を流すとそういう音になります。逆にいえば純度99.99%の純銅をオーディオのコードに使う理由を認識されれば分かると思います。
3.長時間、過加熱による半田成分の劣化。
半田付け時に、何度もコテをあてて、同じ半田を最初から最後までずっと仕上げまでつかうとそうなります。結果少し抵抗分が増えることもあります。途中で半田が過加熱になっていると気づけば、半田を一度全て取り去り、あたらしいものを使いましょう。
【理想の半田付けは】
・端子とリード線はしっかり接触させる。適度の加熱温度、加熱時間、半田量で全てを包み込み、仕上りも光沢をたたえて美しく。
これですが、なかなか難しいです。私も今の半田付けはうまくいったということもあるのですが、5回に1回程度です。
【半田付け7つ道具】

7つ道具です。1個多いかな。
まず半田ごて

米国製にもいいものがありますが、まず入手性から国産のものを推薦します。このコテは太陽電機産業のPX-280という温度表示機能つきのもの。
スイッチ入れて20秒後に350℃になります。ずっと使っていないと温度が自動でさがり、使い始めるとまた350℃に上昇します。温度管理フリーです。ご主人様さあどうぞ、と全てをまかせてOKです。もう少し小型で軽ければ最高ですが、ない物ねだりでしょうか。各自で自分の要求レベルにあったものを財布と相談して決めてください。
次はワイヤーストリッパー。

これは多くの方が使っている、VESSELの3500E-1というもの。
本当に役に立ちます。私は30年以上まえから使いはじめ、現在は3台目です。

左側に、被覆ワイヤーの太さに関するAWG規格の数字が表示、右側がミリ規格で表示があります。
リード線を、この表示に合わせてセットする位置を選び、被覆を剥きます。
導体が単線のコードもあります。導体を細い規格のところに挟んで被覆を剥くと、導体に刃でキズが入ってしまいます。このキズが原因で実装後にコードを何度も曲げていると断線することがあります。キズを避けるために適正な規格の位置で被覆を剥くようにします。
ニッパー。これをお勧めするわけでもありませんが。

新しいうちは切れ味最高。髪の毛もフツッと切れてしまいます。
パーツのΦ1.0程度のリード線や、配線コードならAWG20まで、問題なくカットしてくれます。
ただしΦ1.5やΦ2.0程度の太い錫メッキ線は少し可哀そうで、その時はワイヤーストリッパーのヒンジ部に近い根元部分の刃でカットしています。

ラジオペンチ。

パーツのリード線を挟んで固定しておいて折り曲げたり、挟んでシャーシ内のソケットまでもって行きピンに通すとか、いろいろ役に立ちます。
次の配線はこのリード線ならラジペンでもっていこうとか、通すだけだからピンセットでいいかなとか、作業しながら判断していきます。
ピンセット。

ピンセットは凄いですよ。線を穴に通すのはもちろん、シャーシの奥にナットが落ちたとか、ソケットとシャーシ穴の隙間に細い銅線が1本はいりこんだとか。そんな場合でも優秀なピンセットはしっかり挟んで取り出すことが可能です。
私は作業中によくピンセットが行方不明になります。置いたつもりがなくなってるとか。探すのに時間がかかるので、もう1本追加で買いに行きました。今度は少し形の違うものにしようと思い、何種類も見てこれだというものを買って帰ったらいつも使っているのと同じ物でした。奥まで入りこんで、細いものもしっかりつかむ。これが理想です。
洗濯ばさみ。

なんで洗濯ばさみなの、と笑われるかもしれません。片方の手で線材を抑えながら、もう片方には半田ごて。ありゃ半田が持てない。よくあります。その場合はこの洗濯ばさみが重宝します。
1台のアンプを造るときに1回登場するかどうかなのですが。あれば助かります。もっと困難なときはセロテープで線材を固定することもあります。
半田吸い取り網

これは、フラックス入り(ヤニ入り)で半田吸い取り効果抜群。
失敗して半田を除去するときに、この網を半田の上に被せて、その上から半田ごてを当てます。どんどん吸ってくれます。
私のように失敗が多くて、半田付けをやり直す人間には重宝します。中古のジャンクアンプを解体するときにも便利。
これ以外で半田を除去するツールとして、半田吸い取り器も売っています。

円筒形の樹脂製の道具で慣れれば、吸い取り網のように消耗品ではないので、こちらを使っている方も多いです。
そして半田。

米国製のものなど、良いものもたくさんありますが、私は一般的な国産のJIS品を使っています。JIS品ならどのメーカーでもそれほど違いはないと思います。
半田を重要視するマニアもいるようですが、音を聴かせてどこの国のどのメーカーの半田か当ててみて、と言っても正解を答える人はまずいません。
それから鉛フリーの半田のことです。欧州諸国の要求で鉛は使うなという意見が産業界に定着していますが、個人の趣味ですから。鉛フリーは溶解点も高く管理が大変です。温度が高い、電気を多く使う、CO2が増える。どうなんでしょうか欧州諸国。
もっと大事なことがあります。半田に鉛が入っていないと、あまり良い音がしません。鉛は音に潤いを与えます。かつて銀半田というものがありました。まだあるのでしょうか。きらびやかですが潤いがありませんでした。物事バランスが大事です。
なので製造しなくなった鉛入りの半田ロールを探しています。
もう在庫が1KGが一巻きだけです。高くなっていますね。
もう2巻追加で、私の残りの人生分足りるかなと思っています。
半田づけの際に立ち上るススですが、私は昔からそのまま吸い込んでいます。機械工場で溶接ロボットから常時ヒュームが出ているわけではないので、換気も気にしていません。
家族は遠くの方から臭いと言いますが。私は嗅覚も著しく低下しているので気にしていないのです。これも人それぞれ、対応もご自身でお考え下さい。
今日はツールの説明でした。次回から具体的に、ヒューズホルダ、電源スイッチ、トランス、ソケット、平ラグ端子の各ケースで説明していきますね。
来週1週間出張で留守です。土曜日あたりから始めます。
暫くお待ちください。