トニーのゆっくり回覧版  真空管アンプ自作のブログ

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真空管アンプの製作、音楽、生活のことなど

真空管でアンプを作るのも、もういい加減飽きてきました。

 

ずっとやってて思うことは(以前からもですけど)、過去作ったものより格段にいい音のアンプは、おそらくできそうにないということです。

 

音が進歩しないなら、アンプに残されたテーマはデザインでしょうか。

 

 でもデザインも工夫・改良を繰り返して、行きつくところまで行きついた感があります。さらに突き進んでいくと、突拍子もないものになりそうで、笑いものにされるリスクもあります。

 

時間とアイデアとエネルギーをつぎ込んで完成させても、自分の希望する価格で譲渡するのも困難になっていますし。

 

少しアンプの製作とも距離をおきたいなと考えているのです。

 

 

 実はほかにやりたいことがあります。この最近富みにその気持ちが強くなってきています。

 

 

やりたいことは2つ。無理ならそのうちのどちらか1つ。

 

1番目は、ホンダのモンキーを手にいれて乗りまわすこと。もちろん中古。

ただ問題点もあります。普段でさえ歩かないくせに、この上モンキーなんぞを手に入れて乗りまわした日には、運動不足も甚だしく、足や筋肉がいよいよ退化するのではないか。

 でもモンキーを手元に置いて眺めたいし、手入れしたいし、やっぱり乗りたいのです。

 

 

 

2番目は、ジャズの演奏です。セルマーのアルトサックスを入手して、アドリブを演奏したいのです。でもやっぱり問題点があります。譜面も読めない、もちろんコード進行も知らない。そんな人間が楽器を手にしても、行き詰ってしまって、それこそ楽器がほったらかしになり、高い買い物になるのではないか。でも手元に置いてその光沢を眺めたい気持ちもあるのです。

 

 

最近動画で女性バッパー、寺久保エレナさんの演奏を見ながら、この女性でもバップイディオムが吹けるのなら、自分でもやれるんじゃないかという気にもなっているのです。時代は矢野沙織さんから若手に移りつつあるのですね。

 でもプロの演奏家たちの相当な努力にも、想像力が行きつかない素人の浅はかな希望。

 

上記2つの夢を実現させるための投資は30万円程度。

 

決して67歳が遅いとは思ってもいませんが。どうなのでしょう。

 

家族はやめといたら、というのです。

 

 

 

 

 

今朝、球を挿してスイッチをいれました。

 

29年ぶりです。

 

まずダミー抵抗をつないで、異常な電圧が出ていないか。残留ノイズの確認からはじめました。

 

 

 

 

スイッチ投入して、大丈夫なようです。相変わらずPX4のフィラメントは暗くて点灯しているかどうかが分かりにくいのですが。

 

どうやら動作しているようです。残留ノイズは左右ともに0.8mVに調整できました。

 

次にSPにつないで、カサンドラ・ウィルソンのCDを鳴らしました。

 

過去の思い出がよみがえりました。そうそうこの音です。

 

言えばPX4と対比される2A3の音、あるいはWE300Bと比較しても迫力が違います。

 

私の独断で言わせてもらいます。

 

WE300Bの音:中高域の鮮度は抜群できらびやかです。中域から低域にかけてはやや迫力が後退する印象。低音は出ていますが、面積が広くて前後の厚みがやや薄いイメージです。

 

PX4(英国):音のバランスが三角形で、中低域に重心があります。高域は300Bほどクリアではありません。そこそこ美しく再生される感じです。

 

以前、このアンプの音を聴いた方が、「WE300Bよりいい音がする」とおっしゃった背景が何となくわかります。

その方はWE300Bのファンなのでしょうが、中低域に物足りなさを感じていたのかもしれません。そんなときにPX4の音を聴いてしまったものだから、その迫力に少し驚いたのかもしれませんね。直熱三極管からこんな音がするとは。

 

同じ直熱三極管でも米国と英国では真逆の音がします。

 

 私自身、この2種の球の音を多くの方に聞かせてアンケートをとれば、300Bの方が好みだと答える方が多いかもしれないと考えます。しかしながらPX4の迫力を好む方も少なからずいると思います。

 

 結局は個人の好みなのでしょう。

 

 

 私の6V6シングルのアンプとPX4を比べれば、なかなかいい勝負です。6V6は軽やかで反応がよく、そんなに引けはとりません。

結局のところ、球とOPTの組み合わせも影響度が高いと思います。これは自作者は各自で試して納得のいくものを選べばよいのでしょう。

 

29年ぶりのPX4アンプですが、シングルアンプながら大きいのです。横にあるEL34PPよりも大きく、威張っています。

 

故上杉佳郎氏はアンプはなるべく小さく組み上げるべきだ、とおっしゃっていました。全く賛成です。

小型化実現のために、シャーシ外形から30ミリのところにMT管ソケットを持ってきて、配線・実装できるように努力もしました。

 

現状、横44センチ、奥行き20センチのこのアンプを解体して33センチ×23センチの大きさまでダウンサイジングさせようかなと考えています。

 

 

直流点火回路のコンデンサーはもっと小型にします。この回路部分ももっとコンパクトにしてOPTの下あたりに配置。MH41はPX4と整流管が3本並んだ前に持ってきます。カソードバイアス回路のパーツはPX4 にくっつけます。これでコンパクト化が実現できそうですね。

 

完成したらもちろん自分用に使います。

 

このPX4シリースは今回で終わります。

 

 

 

 

 

せっかちな私は、PX4アンプの不具合個所を見つけたくて、テスターでシャーシ裏を当たってみました。

 

 

シャーシ内部は余り変わってないようです。ところどころ黄色いフィルムコンデンサーがパラに接続されています。

これで音が変わるとか、周波数特性に変化がでるとか、期待してのことでしょうが、あまり効果はないと思います。

DC点火回路部分が並ばずに90度の角度で向かい合っています。整然としていません。今ならやらないレイアウトです。

 

ここでシャーシ内に当時私が貼り付けたシールを発見しました。完成時の日付と製作した場所の記録です。

 

アンプの名前は#T96S1(PX4)ですね。1996年10月に作ったシングルアンプの1台目という意味でしょうか。Tは何かな、覚えていません。ひょっとして3極管の意味かも。倉敷にいるときに作ったことが分かります。そして私の英文の名前。30年前と言っていましたが、正しくはちょうど29年前です。当時38歳でした。

 

チェックに入ります。ヒューズが飛んでいますので、通電はせずにテスターで電源トランスの巻線とケースとの絶縁をみました。ショートはしていないようです。二次高圧巻線のセンター端子から両端との間の抵抗値をみました。ほぼ同等の抵抗値で荷重の影響はトランス内には及んでいないようです。他の端子も特に、断線や抵抗異常はありません。

 

パートリッジのOPTも断線していないことが分かりました。

 

今度は基本的なことですが、B電圧端子とアース間の絶縁をみました。50KΩ程度に触れて、徐々に無限大に向かって変化しています。ここも問題ありません。

 

何でヒューズが飛んだのでしょうか。意を決して5Aの新しいヒューズに取り替えて、AC電圧を60Vに低く設定してトランス一次側に印加しました。真空管は何も挿していません。

 

結果ヒューズは飛びませんでした。さらに電圧を100Vまで上げました。トランスの電圧も表示通りです。DC点火の電圧も正常です。整流管は挿していないので、まだB電圧は出ていません。

 

このまま球を挿せば鳴るかもしれません。今日は球もしまい込んだので鳴るかどうかは明日です。

 

ヒューズが飛んだ原因ですが。過去の経験からヒューズも疲労して、定格以下の電流でも溶断することがありました。

 

とくにアンプの性格上(回路構成上)、ラッシュカレントが多ければ、ヒューズが受けるダメージも大きくなります。何度か繰り返すうちに切れてしまうこともあるようです。今回はそうじゃないかと踏んでいます。対策はスローブロータイプへの交換などでしょうか。

 

ここでも知識のない一般の方は可哀そうだと思ってしまいます。ヒューズのスペアを、譲渡するときに付属させなかったのが悔やまれます。付属させるか、シャーシ内にスペアとして、袋に入れて貼りつけておけばよかったかなと思います。

 

ヒューズが飛んだ時に、ユーザーの方が新たに5Aのガラス管ヒューズをどこかで購入して、再度交換してみるという発想に至ることは殆ど不可能だろうと思います。

 

アンプはどこも悪く無い、ただヒューズが疲弊していたという状況。

 

管球アンプを使う場合、知識を持っておくか、近くに相談できる方を確保しておくことが重要だと思います。

 

さてさて、このアンプを眺めながら、やたらでかいし、パートリッジのOPTを取り出してもっとコンパクトに新しいアンプに変身させようかなと考えていたのですが、鳴ったらどうしましょうか。解体も可哀そうですね。

 

悩みますが、明日のトライの結果次第です。