□富国強兵と領土意識
「富国と強兵」のまだ前半部分を読んだだけであるが、それまでの思索は、国家というものが領土と切って切り離せないものであり、その力の源泉がそこにある、ということが確信する内容であった。
この点を考えると、国土を強靭化する、国の端っこまでの交通網・通信網の整備、行政サービスの実現がいかに大切かということを再認識する。
□領土交渉の前提
ロシアとの領土問題についても、その時時の交渉以前に領土近くの領域について、国家がどれだけの力を入れているか、ということで、その領土への思いが大きいかどうかが見えてくる。
口では、解決すると言ってもその解決方法がどういうものであるかは、その領土に対する思いが現れる活動から見えてくるのである。
□北海道の鉄道から見えるもの
→JR北海道の廃線候補!最大11路線16区間に及ぶ可能性も!
当方は鉄道ファンゆえに、鉄道を通してインフラを見つめる傾向がある。
鉄道を廃止してバスに転換とか気軽に言うのであるが、領土が国民国家と一体をなすという観点から言えばその結びつきを表すインフラとしては大変強力なものであり、それを失うことは精神的に大きいと感じるものがあるのである。1980年代に猛威を奮ったローカル線廃止は特に北海道に網の目のように張り巡らされた鉄路を背骨の部分だけにしてしまった。それは北海道に対する領土意識の低下に大いに働いたのではないかと思うのである。
そのバイアスを抜きにしても、北海道に対する日本政府の冷たい扱いは常軌を逸する感じがする。
□日下公人という人間から見えるもの
北海道の意識、という話になると思い出すのが日下公人という名前である。
既に一般人の元官僚日下公人のように、北海道人は怠け者だからこんなのは当然だ、とかいう国家、国家の力は領土に深く根付いていることを認識できない人間が居た。この動画での藤井聡とのやり取りで、この人の評価が決まってしまった。この考え方を改めない限り国家間に関して重大な害を生じさせる人間という部分を拭い去れないのである。
そのような感覚が優勢になるような状況に追い込まれると、単に儲ける儲けないのはなしになってくるのである。JR北海道の話も、結局儲けるも受けないの話しか聞こえてこない。カネもかけられないので安全性も担保できず、それ故の事故多発で周りからそしりを受け社員の士気も下がりっぱなしであり、台風による大規模な不通の回復にも全力で対応できたのか。領土を結びつけるインフラの話が単なるカネ儲けの話に変換されてしまっているのがやはりおかしいし、これで国家が保てるというのが逆におかしいと思わざるをえないのである。
それだったら、北海道はロシアにカネで売ってしまえ、という話になってくるだろう。しっかりインフラに投資して、領土としてのつながりをしっかり作り込む、というのが国民国家の領土、領域のアイデンティティーを形成するのである。このJR北海道に関する放置プレイぶりを見ればロシアからすると、あ、ここは領土と思ってないね、と思われても仕方がないのである。対する、国後択捉歯舞地区に対するロシアのインフラ、人材、軍事の投資っぷりは半端ないものがあるだろう。
□領土交渉に望むものの戦略と気迫
目の前のものよりその先にあるものを想像して実施するのが戦略
外交的なやりかたにおいては、相手が最も気になることをしっかり把握して、その部分に関して妥協点が探れるか、という観点で考えるべきなのである。相手方の姿をしっかり捉えて、自分の立場をどこに置くか、主体的に考えることが最も大切なことであろう。相手がロシアなのに、日本の主体性なしに従米的な立場を絶対軸にして、相手の仮想敵国である米国の従属国で交渉していたら、全く交渉にならないにきまっているのである。
【北方領土】安倍首相「この道しかない それ以外の道があるんであれば教えていただきたい」 日本テレビ単独インタビューにて
この男は、この期に及んで、「この道しかない」 という言葉で、詭弁を発するのだ。
まともに戦略的に考えた形跡もない(夏休みの宿題も一文字も手がけていない)のにも関わらずである。嘘つきは泥棒の始まりと言うが、国家のあらゆる要素を自分のなにかの名誉欲のために、ドロボーしているようなものだ。保守の連中は、ちゃんと保守する人を信用せよ。
□国家、国民を切り売りする売国奴
こんなこともろくに考えなしにホイホイやってしまう首相である。何を守るべきかの思考はかなり薄いと言わざるをえない。受け取る民間のほうがまだ真剣にやっているようにも思える。必要な規制をした上で、情報を共有化するという慎重さは必要であり、それが有益になるかどうかの議論をちゃんとする、という意識を感じさせないと為政者として国家を本気で守ろうとしている香川過労というものである。情報は金の亡者からすると宝の山なのである。その守銭奴からいかに国民の安全、安心を担保するのか、ということを考えるのが国を治める立場のものの行為なのだから。
そして、日露首脳会談の体たらくを恒例行事となった小学校以来の鍛えられた詭弁で切り抜けようとする。なんたって、身振り手振り付きでウィンウィンだよ。
安倍首相「日本の領土だから返せでは実現しない。日ロが4島共有し発展するウィンウィンの未来像を描くべき」
日本人とロシア人がともに暮らし、ともに発展するウィンウィンの未来像をともに描いていく中で、領土問題を解決へと導いていくしか、70年たった現在道はない、私はそう確信をしています。それが平和条約に向けた新たなアプローチであります。
でたな。新しい何か。今度はボクの考えた新しいアプローチらしい。
新しい選択やら、なにか新しいとか改革とか言ってればそれだけで正統性を持つという幻想があるようだ。要するに、意味はまったくないのであるが、頭を使わずなんとなくのイメージだけの人なのである。イメージだけで捕手もとい保守やっているイメージ保守が大喜びしそうではある。
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