2024年5月のざっと書き【まとめ】〜計3作 | 【発掘キネマ】〜オススメ映画でじっくり考察 ☆ネタバレあり☆

【発掘キネマ】〜オススメ映画でじっくり考察 ☆ネタバレあり☆

いつの時代も名作は色褪せません。
ジャンル、時代いっさい問わず、オススメ映画をピックアップ。
映画で人生を考察してみました。
【注意】
・ネタバレあり
・通番は個人的な指標です。
・解説、感想は個人の見解のため、ご理解下さい。

第1508作目・『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』
(2001年・日本)
〈ジャンル〉アニメ/ミステリー



《あらすじ》


『キャンプの帰り、最近できた日本一の高さを誇るツインタワービルに立ち寄ったコナンたち。たまたま蘭たちもビルに訪れており、コナンたちはビルのオーナーである常磐や日本画家の如月らと出会う。ビルでは来週に控えるオープンパーティに向けて着々と準備が進められていた。そんな中、市会議員の大木とプログラマーの原が立て続けに殺害される事件が発生する。彼らの死体のそばには割られたお猪口が置かれており、警察は連続殺人事件として捜査を進めていた。そんな中、灰原が夜な夜な何者かに電話していることが判明する。コナンがその真相を探ったところ、灰原が電話をかけていたのは亡くなった灰原の姉の電話であった。彼女は姉の留守番電話のメッセージ音を聞いていたのだ。だが、黒の組織から逃走したシェリーを探していたジンとウォッカは灰原が姉の電話に着信していることを知り、シェリーが生きていることに気付く。ジンとウォッカはシェリーがツインタワービルのオープンパーティに姿を現すという情報を得て、抹殺するために暗躍するのだった。


〜脱出不可能!危険な罠の時間を止めろ。〜


《監督》 こだま兼嗣

(「シティーハンター 愛と宿命のマグナム」「名探偵コナン 時計じかけの摩天楼」)

《脚本》 古内一成

(「名探偵コナン 時計じかけの摩天楼」「名探偵コナン 瞳の中の暗殺者」)

《声の出演》高山みなみ、山崎和佳奈、山口勝平、神谷明、茶風林、緒方賢一、林原めぐみ、堀之紀、立木文彦、井上和彦、永井一郎、ほか



黒ずくめの組織のジン、ウォッカが本格的に動き出す劇場版。当時は興奮したものだ。

この二人がこんなに多くの台詞量で会話していること自体、20年以上経った今でもまだレアなシーンだと思われる。

前半はツインタワービルに関わった人々が巻き込まれる連続殺人事件のミステリー。

後半は爆発するタワービルからの脱出を図るサスペンスドラマである。タワービルを爆破させたのはジンとウォッカだ。

彼らは組織から逃げ出したシェリーの抹殺を狙っており、ビル爆破という重大事件を巻き起こす。

鈴木園子がいつもと違うシェリースタイルの髪型を見せるのも珍しい。そのせいでジンから勘違いされて狙撃されてしまうのだが…。

そもそもこれだけの重大事件でありながら、いまだ警察は犯人特定に至っていないということは、未解決事件になっているということで。

歴史に残るとんでもない未解決事件だと思う。


灰原が「私には居場所がない」と呟いた後、少年探偵団たちが無邪気に灰原さんの机はここだよと教えてくれるのは、なんともいじらしくて愛おしい交流であった。

純粋な子供達の彼らだからこそ、灰原のような心の闇が大きい大人は救われるのだ。


爆風に乗って車で脱出するラストに向けて、30秒カウントダウンができる歩美のエピソードもナイスな伏線であった。








第1510作目・『名探偵コナン 黒鉄の魚影』

(2023年・日本)
〈ジャンル〉アニメ/ミステリー



《あらすじ》


『コナンら少年探偵団は八丈島のホエールウォッチングに参加する。その途上、八丈島でインターポールの海洋施設であるパシフィック・ブイが建設されたことをニュースで知る。それは世界中の警察が持つ防犯カメラを監視できる世界初のシステムだった。パシフィック・ブイが取り入れた新たなシステムの一つが、老若認証だった。顔認証システムによって特定の人物の過去や未来の姿を見つけ出すシステムだった。その頃、パシフィック・ブイにベルモットとバーボンが侵入し、老若認証の開発者である直美が拉致される。どうやら施設内に黒ずくめの組織から潜入しているピンガと呼ばれる侵入者の手引きだった。その後、ウォッカとキールも合流。組織の命令に従って、システムに侵入し、防犯カメラに映る組織のメンバーの姿を消そうしていたのだ。そんな中、かつてのシェリーの姿と防犯カメラに映る灰原の姿が老若認証によって一致してしまう。ジンの命令によって灰原が宿泊先のホテルから拉致されてしまい、コナンは海底に潜む潜水艦の後を追う。


〜浮かび上がる哀しき過去(シークレットメモリー)。守り抜く想いが結集するーー〜


《監督》 立川譲

(「名探偵コナン ゼロの執行人」「BLUE GIANT」)

《脚本》 櫻井武晴

(「麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜」「名探偵コナン 純黒の悪夢」「科捜研の女-劇場版-」)

《声の出演》高山みなみ、山崎和佳奈、小山力也、緒方賢一、林原めぐみ、大谷育江、堀之紀、立木文彦、小山芙美、三石琴乃、古谷徹、池田秀一、沢村一樹、ほか


インターポールが開発した世界中の防犯カメラをつなげて監視できる新たな施設が作られた。
そこで取り入れられた老若認証という新たな監視システムの導入により、黒ずくめの組織に灰原哀がシェリーであることが発覚してしまうのだ。
なんということだろう。原作設定に大きく踏み込んだストーリー。過去一、大胆な試みである。大胆すぎて今後の原作への影響が気になってしまうほどに。
原作ファンも含めて、コナンを追ってきた人なら鑑賞必須かと。
黒ずくめの組織もまた過去一で暗躍していた。
今回の黒ずくめはインターポールが開発した防犯カメラを統一的に管理するシステムを手に入れ、自分たちの痕跡を消し去ろうとしているのだ。開発者を拉致し、彼女に言うことを聞かせるため、彼女の父親を狙撃するなど、改めて黒ずくめの残酷さを見せてくれる。
最終的に一命は取り留めたようなのだが、最近では黒ずくめの組織の計画がコナンや赤井らに悉く阻まれているため、そこで暗殺に成功するという残酷さがあっても良かったと思った。

CIA諜報員であり黒ずくめの組織に潜入捜査しているキールもまた、本作ではかつてない活躍をしている。
捕えられた灰原を逃がす手筈を整えたり、灰原を抹殺しようとするジンの手を止めてジンから正体を疑われたり。本作では諜報員としての立場を危うくしてまでも彼女は人助けに手を貸してくれるのだ。

灰原にコナンが自分のメガネを貸して、「知ってるか?そいつをかけてると正体が絶対バレねーんだ」と安心させる名言は久しぶりで懐かしかった。
ただ、コナンも思わせぶりな態度で灰原を翻弄して罪な男である。今回は灰原に感情移入するシーンが豊富に盛り込まれていたので、個人的にはキザ過ぎるコナンにちょっと辟易してしまった。




第1512作目・『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』

(2023年・アメリカ/日本)
〈ジャンル〉アニメ/アドベンチャー



《あらすじ》


『ニューヨークに暮らす配管工の兄弟、マリオとルイージ。ある日二人は地下にあった不思議な土管に引き込まれ、ルイージと離れ離れとなって見たことのない世界へと迷い込んでしまう。マリオがたどり着いたのは、ピーチ姫の住むキノコ王国、そしてルイージがたどり着いたのはクッパの支配するダークワールドだった。ルイージはクッパの手によって監禁されてしまう。一方、ルイージを助けてもらうためにピーチ姫と面会したマリオはクッパたちがキノコ王国の侵略に向かって来ていることを知る。ピーチ姫はマリオの願いと国を守るため、強力な兵力を保有するコング族との同盟を結ぼうとジャングル王国へと向かう。だが、ジャングル王国国王のクランキーコングは、同盟を結ぶためには闘技場で無敗を誇るドンキーコングを倒すことを条件として提示。マリオは強力なドンキーコングと対峙することとなる。


《監督》 アーロン・ホーヴァス、マイケル・ジェレニック

《脚本》 マシュー・フォーゲル

(「ビッグママ・ハウス3」)

《吹替版:声の出演》宮野真守、志田有彩、畠中祐、三宅健太、関智一、ほか



劇場公開時ものすごい人気だったので期待していた分、ちょっと期待し過ぎてしまった感じだっま。

マリオのゲームはそこそこ知っているし、音楽もキャラも小ネタも分かることは多かったのだが、個人的には興奮冷めやまぬ…とまではいかなかった。

これは多分、私の問題なのだろうと思う。マリオのゲームは知っているとはいえ、ゲーム自体がマリオのソフトを中心にやってきた程度のゲームとの付き合い方だったので、そもそもそこまでゲームとの付き合いが深くない。

ある程度知っていれば、あぁ、あのソフトのあのキャラだ、あのシーンだと思う瞬間は幾度となくあった。

ただ、調べてみるとやはり気付かなかった小ネタの多いこと、多いこと。マリオテニスのラケットや、マリオカートなどにも出ている白い鳥、キノピオのカートに付いているアシストアンテナなどなど…。

マリオだけでなく、ピクミンやダックハントの絵なども隠されていたようだ。


一度見ただけでは気付かなかったけれども、よく目を凝らして見ると分かりそうな小ネタが沢山あるらしい。

つまり、マリオや任天堂のゲームを昔から愛してきた人たちなら、噛めば噛むほど楽しくなってくるようなスルメのような仕組みになっているのである。

これはもう一度正座して見直さなければならないのかもしれない。


虎視眈々と戦力を増強するのでもなく、ただひたすらにプロポーズの練習を重ねているクッパを見ていると、どうにも憎めない存在であるように思えてしまう。

最終的にスターを取ったマリオとルイージにコテンパにやられてしまうのだが、熱烈な愛を語っていたクッパがそんなに悪いやつだったろうかと同情すらしてしまう。ちょっと強引過ぎたところはあったけれども、改心の余地はあったと思ってしまった。

ただ、マリオゲームの絶対的な敵はクッパであり、クッパを倒すことがゲームでも本作でも物語の完結なのだから仕方がない。

『シュガーラッシュ』のクッパの可哀想な姿を思い出しながら、同情を寄せて彼が吹っ飛ばされるのを見守っていた。吹っ飛ばされるのが彼の宿命なのだ。