俺の推しは、ヤマシマウマ | 小さなふれあい動物園のひげ園長が送る、日々の動物達との暮らし

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動物とのふれあいを通じて、生き物の素晴らしさを伝えることが仕事です。動物気功師として活動しながら、亀仙人を目指して修行中。

川崎市にある
夢見ヶ崎動物公園に行ってきた。

夢見ヶ崎とは、
変わった名前だが、
古くからある由緒ある地名だ。

あの江戸城を作った
室町時代の武将、
太田道灌の見た夢に由来している。

道灌は
この地にお城を作ろうと思い
一晩野営して泊まってみた。

その夜
兜を掴んだ白いサギが
南西の方角に飛んで行く夢を見た。

道灌は不吉を感じ
城造りを断念した。

という逸話から
この地に夢見ヶ崎という
名が付いた。

この丘は、実は
前方後円墳などの遺跡群で
7世紀頃の豪族の墓だったんだ。

今では、住宅街の中にあり
市民の憩いの場として愛される
動物園を含む公園となっている。

この夢見ヶ崎動物公園で
俺が個人的に推す動物は
シマウマだ。

ここにいるのは、
ハートマンヤマシマウマ

英語では
mountain  zebra

アフリカの西南部の
山地の草原に住むシマウマだ。

シマウマには、
3つのグループがあって

いわゆるサバンナに住む
サバンナシマウマと

エチオピアなどの高地に住む
美しいグレイビーシマウマ

そしてこの
ヤマシマウマに分かれる。
俺はサバンナシマウマと
グレイビーシマウマを
飼育していたが、

このヤマシマウマは
飼育したことがないんだ。

だから一度付き合ってみたい
興味あるシマウマだ。

ヤマシマウマを見分ける特徴は
喉に肉垂という
皮膚の弛みがあること。
他のシマウマの喉は
つるんとして弛みは無い。

ヤマシマウマは
日本ではここ夢見ヶ崎の他では
二カ所しか見ることができない
珍しいシマウマなんだ。

シマウマは
ウマと名は付いているけれど
ウマよりもロバに近い動物で
よく見てみると耳の形や尻尾
そして
蹄の形がロバとそっくりだ。

昔見たターザンの映画で
ターザンがシマウマに乗って
登場するシーンがあったけれど、
よく見るとそれは
シマウマではなく、

白い馬をシマウマ模様に
ペイントしているものだった。

フサフサの尻尾を見て
子供ながらに一発で分かったよ。

なぜ白い馬に
ペイントなのかって?

実はシマウマはウマのようには
いう事を聞かないからなんだ。

シマウマを
家畜化しようとする試みは
アフリカの植民地開拓時代に
ずいぶん試された。

当時ヨーロッパ人の持ち込んだ
ウマが、「眠り病」にかかって
みんな死んでしまったからだ。

そこで、眠り病にかからない
シマウマをウマの代わりに
慣らして使おうとしたけれど

シマウマは気性が荒くて
ほとんど人に懐かなかったこと、

シマウマの背中の骨格が弱くて
重い荷物を
載せられないこともあり

その試みは
ほとんどが失敗に終わった。
当時の貴重な画像

その後は
シマウマを家畜化する試みは
一部の研究者や
サーカスを除いて
試されなくなった。

ちなみに、眠り病とは
「アフリカ睡眠病」という
病気で、
人にも感染する
アフリカの風土病だ。

「ツエツエバエ」という
ハエに吸血された際に
「トリバノソーマ」という原虫が
体内に侵入することで発病する。

初めのうちは
頭痛や倦怠感が現れ
やがて
症状が進むと昏睡状態になり
治療しないと
死亡することから
眠り病と呼ばれる。

最近はエイズやエボラ出血熱などの
話題に押されて
あまり聞かなくなったけれど、
怖〜い病気なんだ。

久しぶりに思いっきり近くで
シマウマを見つめることが
できたこと、

それと30年来の仲間と久しぶりに
会って話しができたこと、
嬉しかったなぁ。

さて、今日はこの辺で。