発足直後の岸田政権に早くも逆風が吹き始めている。報道各社の世論調査で岸田内閣の支持率が思いのほか低いのだ。政権発足直後の「ご祝儀相場」のまま衆院選に突入して圧勝する短期決戦シナリオを描いていた自民党。「こんなはずでは」のささやきも漏れ始めた。- プレジデントオンライン
総裁選を盛り上げて、組閣で話題を集めて、そこから総選挙でご祝儀相場を狙うという算段だったが、意外と岸田内閣の支持率がふるわない。朝日新聞の調査だと支持率は45%、日経の調査で59%だが、思ったよりは高くない。岸田内閣発足してから日経平均も下がる一方であり、「岸田ショック」ともいわれる。そうというのも岸田家は財務省とのパイプが強く、金融所得課税を見直す(つまり投資家に増税する)と発言し、投資家が先読みに不安感を覚えたためだ。ナスダックは日経平均と相関性が強いが、岸田政権発足からは連動しておらず、これは日本特有の事象、つまり岸田ショックであるところが大きい。菅政権後に株価が上がったのは、河野首相が誕生し、規制改革などの期待があったためだ。財務省に閨閥を持つ岸田では期待できないというのが市場の反応ということである。
おまけに内閣官房長官は松野氏で「誰?」という感じ。細田派から要職を要求されて差し出したのが内閣官房長官というポストだったという見方が強いが、あまりにもパッとしない。自民党の党員票では人気の河野が破れて、結局、霞が関の論理で岸田政権が誕生したが、党員には人気の石破氏も冷遇されて、正直、党員との意識との乖離も大きい。
さらに岸田家は官僚・政治家の名門で、東大落ちとはいえ早大法を出て長銀だから庶民感覚とは程遠い。政権発足後に早速「コロナ禍で大変苦しむ弱い立場の方々、女性や非正規、学生のみなさんに、個別に現金給付を行うことは考えていきたい」と表明したが(LINK)、ここに現代人との感覚離れがある。弱い立場の方々で女性を挙げているが、エリート大卒で一流企業勤務の正社員女性は別に困窮していない。女性は弱い立場であるというラベリングが、「おっさん意識」を象徴している。そもそも女性が弱い立場であれば、女性の地位向上を目指すというのが真っ当な政治だろう。
岸田氏の発想は「分配無くして成長なし」であり、根底にはノブレスオブリージュがあると思われる。バブル崩壊以降、失業率は低いが所得が上がらないという状況が続き、まさに上野千鶴子的な「みんなで仲良く貧乏になろう(上級国民は例外)」という路線が続いている(ちなみに、”平等に貧乏に”といった上野千鶴子は外車を乗り回してタワマン暮らしで別荘持ち。父親は医者である。)。サッチャーもいったように金持ちを貧乏にしたところで、貧乏人が金持ちになるわけではない。パイを増やして再分配は分かるが、パイを増やさずに再分配を強化すると、富裕層は海外に逃避し、少なくなったパイをみんなで争うという悲惨な状況になる。
いままでは日本は所得は上がらないがデフレだったので困らなかったが原油価格などエネルギー価格が高騰するなど物価が上昇傾向であるのに、景気は好転しないというスタグフレーションの懸念が出てきた。給与が上がらないのに増税だけしてきた日本にとって、物価上昇になると低所得層には相当深刻な打撃になる。さて、緊縮財政に与する岸田氏で日本経済が良くなるかは、過去の30年を見れば明らかだと思う。これからインフレになるとすると、現金で保有しておくのは危険なので現物資産や仮想通貨などに投資が集まりそうだ。結局、それらに投資可能な上位中流層以上が豊かになり、貧乏人は貧乏なままである。まさにマタイ効果である。
「おおよそ、持っている人は与えられて、いよいよ豊かになるが、持っていない人は、持っているものまでも取り上げられるであろう」(マタイ福音書13章12節)

