外国の来賓時に開かれる祝宴・晩餐会では、豪華な食事が振舞われ、ワインも一級のものが揃えられる。その食事やワインには実は外交上のメッセージも見え隠れしたりする。そんな実際の祝宴と外交についてまとめたのが本作である。
本書では書かれていないが、分かりやすいところだと、文大統領はトランプ大統領の訪韓時には独島でとれた海老を出した。これは独島は韓国領であるというメッセージである。習近平が英国訪問時には、天安門事件の年の赤ワインが出されたが、これは明瞭には言わないものの、人権・民主主義の問題(ひいては香港問題)を懸念しているという英国流の政治的メッセージであることは明白だろう。
このように華やかな祝宴においても、政治的なメッセージが隠されており、それは一つ間違えるだけで、大きな紛争になりかねない。そんな中、韓国は自国のスパークリングを堂々とシャンパンとメニューに書くそうだから肝が据わっている(シャンパンと名乗れるのはフランスのシャンパーニュ地方で製造されたワインのみである)。
安倍首相が訪中の際は、最初にナマコのスープとメニューにあったが、燕の巣のスープが最上で、次いでフカヒレ、次いでナマコのため、日本側の提案もあり燕の巣のスープに変えられたという。出てくる食材でも格が異なるが、日本共産党が中国訪問時は食材も豪華というから、そのメッセージ性は明らかである。ちなみにいうと、日本の国家元首は天皇陛下であり、日本国首相はその下という位置づけになるようである。
イスラム教国ではそもそもワインなどアルコールは飲まないので、晩餐会でもアルコールはみたくないという国もある。日本は配慮してアルコールは出さないそうだが、一方で、フランスはホスト側の意向が強いので、相手が飲まかろうとワインを出すことは譲れないという。結局、そのような場合は午後のお茶会にしたりして対処するそうだが、ここらへんもお国柄が出る。
オランダについて本書は書いているが、オランダは反日感情が強かったそうだ。そこで日蘭の晩餐会ももめるところがあったようである。ただオランダは日本にインドネシアの植民地を解放されて反感があるのだろうが、そもそもオランダはインドネシア人を350年間どう扱っていたんだと一言いいたくなるのが、国際政治の難しいところだ。だいたいスペインやオランダも日本を植民地しようとしたところ、莫大な国力と軍事力に恐れおののき諦めたのである。
あまり報道されないが、こうした祝宴について、分かりやすい紹介している。ただタイトルにワインと銘打っているが、別にワインがメインではないので、「晩餐会と外交」または「祝宴と外交」と書くほうが良いと思う。ワインよりどちらかとえいえば食事などの小話の方が多いとすら思う。ワインのほうがキャッチ―だという出版社側の思惑だろうか。




