東京国立博物館の表慶館で開催していた「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展 ― 美と芸術をめぐる対話」へ行ってきた。

 

「カルティエが日本に最初のブティックを開いてから50年を記念し、メゾンと日本を結ぶさまざまなストーリーを紹介するこの展覧会は、左右対称の構造をなす表慶館を舞台に、カルティエと日本、そしてカルティエ現代美術財団と日本のアーティストという2つの絆を紐解きます」(公式HP

 

 

「カルティエ展 ー 時の結晶」にも以前行ったが、今回のはコンパクトな展覧会だった。それにしても何度みても表慶館は美しい建築である。大正天皇の御成婚を記念して計画された奉献美術館で、片山東熊の設計指導による。ネオ・バロック様式の明治末期の洋風建築を代表する建物である。

 

カルティエは、フランスの高級宝飾ブランドで、現在はリシュモングループの傘下である。英国王、ロシア皇帝、スペイン国王、シャム国王、ナポレオン三世妃ウジェニー皇后も顧客に持っていた上流階級御用達の宝飾品ブランドである。それにしても、カルティエの素晴らしい技術による宝飾品の数々には驚かされる。海外のオークションでの宝飾品の落札額をみると、巨大な宝石を配した豪華絢爛な宝飾品は数億円から数十億円単位で落札されており、浮世離れしている。日本的なモチーフのデザインなどに日本とのつながりを感じた。それにしても宝飾品の輝きは写真だとやはり分からないものである。すでに本展示会は終了してしまったが、なかなか興味深いものであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、先日、東京オペラシティで開催されている「髙田賢三 Takada Kenzo」へ行ってきた。髙田賢三は、日本人デザイナーとしていち早くパリに進出し、パリを中心に活躍した。現在、彼のブランド「KENZO」は、LVMHの傘下に入っている。当時、ファッション界の常識を打ち破るスタイルを次々と生み出し、また冬服に木綿を使用するなど「木綿の詩人」として知られた。しかし、2020年10月4日にコロナにより帰らぬ人となってしまった。没後初となる大規模な個展となる。正直、ファッションにそこまで詳しいわけでもなく、KENZOの服を持っているわけでもないが、教養として観ておこうと思った。

 

70年代のフランスは五月革命の影響もあり、反保守的で自由で開放的なスタイルが好まれた。その点で、彼の新しい素材、ポップな色彩や愛らしい造形は新鮮にうつり、若者に受け入れられたのだろう。2004年のアテネオリンピック式典・移動用ユニフォームのデザインも担当し、宝塚の衣装も手掛けたりしている。意外とこじんまりとした個展であるが、彼の豊富な作品は見ごたえがある。2024年9月16日まで開催しているので、興味があれば訪れてみると良いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前から読みたかったのだが、すでに絶版で中古本も高いので、母校の早稲田大学図書館に通って読了した。現在の上皇陛下も論文をいくつも発表し、ハゼの研究では第一人者といっていいほどの功績がある。昭和天皇も生物学者の側面もあり、現在の天皇陛下も水問題(大学院で水運史を学ばれている)の研究、水問題秋篠宮様は家禽類の研究を行われている。悠仁様も昆虫等の生物研究に熱心に取り組まれている。さて、天皇家の方々はなぜ生物学を研究するのだろうか。

 

これは日本が近代化するにあたり、範とした英国王室の影響らしい。大航海時代に世界各地の植物や動物などが収集されるようになり、それが博物学(自然科学に関する学問)として徐々に欧州の上流社会に浸透していき、上流階級の嗜みとなったのである。また、当時顕微鏡は極めて貴重で、家一軒に相当するほどの高価なものだった。つまり、博物学を嗜み、顕微鏡で研究を行うというのは、知性と財力のある上流階級の証だったのである。

 

実際、世界に派遣された調査船などは王室のバックアップがあった。ビーグル号に乗船したダーウィンも裕福な医師・投資家の家に生まれであるし、船長を務めていたロバート・フィッツロイ海尉も祖父がグラフトン公爵で、父方からイングラド王の血を引き、母親もロンドンデリー侯爵令嬢という上流階級の生まれである。学術研究はやはり費用がかかるので、上流階級ではないと行えない。ちなみに、ファラオ・ツタンカーメンの王墓発掘の資金提供者は英国カーナヴォン伯爵である(居城がドラマ「ダウントンアビー」で撮影地として有名)。この奥さんのアルミナ伯爵夫人はオーストリア帝国男爵アルフレッド・ド・ロスチャイルドの隠し子とも伝えられる。

 

日本の皇室にあっては、帝王学の観点から政治学などを学ぶべしという論調も強かったそうであるが、西園寺公爵や牧野伯爵(大久保利通の次男)などの進言もあり、生物学の研究に取り組まれたそうである。ちなみに、分類学を主に研究されているのは、研究者数も少なく論争が起きにくいためだそうである。皇族が論争に巻き込まれることは望ましくはないという配慮のようである。天皇家は政治学を学ぶべきではないというような意見もあるが、そういうことはないらしい。言われてみれば秋篠宮様は学習院大学法学部政治学科卒である。昭和天皇は歴史学を学ぶとあらぬ論争に巻き込まれると否定的だったようであるが、故三笠宮様は古代オリエント史の研究者で、今上天皇も政治学を学ぶべしという周囲の声もあったが、学習院大学文学部史学科を選ばれている点からすると、やはりご本人の意向が尊重されるようである。

 

本書では欧州の上流社会についても触れられている。例えば、スポーツでいうと、英国のみならず欧州ではサッカーは労働者階級の娯楽である。貴族のスポーツは射撃、乗馬、ヨット、ポロなどである。欧州では階級社会が温存されている。インドは階級社会が残っているが、アジア圏は中国・ベトナム・カンボジアのように共産化したり、日本はGHQで華族制が廃止されたりなどしたため、階級意識がない国が多い。こうした階級社会の視点から皇族の学者的な側面を分析した、なかなか面白い着眼点の本であった。ちなみに、著者の丁宗鐵さんは医者で、日本薬科大学学長を歴任した漢方専門医だそうだ。

さて、連休を利用して韓国へ行ってきた。実は韓国は近いのですぐに行けると思って、ずっと来たことがなく、ようやく訪問することが出来た。それにしても韓国といえば10~15年前ぐらいまで日本国内よりも安価な観光地だったと思うが、いまでは一人当たりGDP(名目)でみると、ほぼ変わらない水準で、円安が続けば逆転される水準であり、物価は日本と変わらない。韓国は朝鮮戦争によりアジア最貧国となり、漢江の奇跡を経て経済成長したものの、2010年時点でも日韓で一人当たりGDP(名目)は2倍以上の差があった。それを思うと、韓国経済の躍進と、日本経済の衰退は鮮明である。タクシー等はまだ韓国の方が安いかなと思うが、全体的には大差ない。

 

さて、お宿はロッテホテルだが、メインの方ではなくハイグレードなエグゼクティブタワーの方にした。日本円だと一泊6万円ぐらいだが、高級ホテルらしい丁寧な接客が素晴らしい。日本語対応スタッフは限定的で、やはり基本的には韓国語以外だと、英語が基本。あとは中国語。ここでも日本の存在感の低下を感じる。それにしてもロッテホテルはロッテ百貨店や地下鉄に直結で大変に便利。ちなみに、ロッテは韓国の五大財閥の一角である。

 

到着した日は夕方だったので、ホテル周辺を散策。大韓皇帝即位式と祭祀のため造られた祭祀場 「円丘壇(ウォングダン)」があった。こちらはウェスティンジョソンソウルの敷地のようだが、誰でも入れる。

 

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さて翌日は景福宮へ。ソウル市内には5つの王宮があるが、最も規模が大きい。1395 年に太祖李成桂によって建てられた。王宮からその背後の山々と、大統領官邸の青瓦台までのシークエンスが非常に美しい。こちらの写真は光化門広場にある大韓民国歴史博物館の屋上から撮影したものである。ここは無料の絶景スポットなのでオススメ。ちなみに、Uberタクシーが韓国では使えるが、アプリ決済できて便利である。

 

 

宮廷警護の交代式と巡回の儀式が再現されている。無料で観賞できるのでオススメ。

 

玉座がある勤政殿。よく韓国映画やドラマに出てくる。それにしても韓服だと入場料無料なので伝統衣装が散見されるが、伝統的な雰囲気が出て良い。観光地の雰囲気も良くなるし、日本もこうした取り組みは見習ったらどうかと思う。それにしても王宮は壮麗であるが、次の建物までの距離が近くてコンパクトに観光できるのが良い。周辺には博物館などもあり(おまけに無料のとこ露が多い)、景福宮周辺だけで1日楽しめる。

 

さて、こちらは大統領官邸の青瓦台である。実は2022年5月から観光向けに開放されている。外国パスポートの場合は予約不要で入れる(パスポート必須)。歴史的な舞台にもなっており、大変興味深く鑑賞できた。花崗岩と青い瓦の組み合わせは重厚で立派。中はシャンデリアなど西洋風のテイストだが、韓国の建築との交差が興味深かった。

 

こちらは大統領公邸。こちらは内部は開放されていないが建物の周囲は観光できる。韓屋スタイルだが、中を覗くとシャンデリアなどが配されて西洋風だった。青瓦台は権威主義的だから市民に開放というのは建前で、風水地理的に運気が悪いというのも指摘されている。

 

さて、政治の舞台のあとは北村韓屋街へ。北村韓屋村は景福宮と昌徳宮、宗廟に囲まれた地域にある伝統的な韓屋の立ち並ぶエリア。上流階級の両班が住んでいたそうだ。おしゃれなスポットでカフェや洒落た店が多い。ただ実はここ周辺は普通に人が住んでいるエリアであり、平日の観光は5時まで、日曜は観光はNGとなっている。日本でいう横浜の山手や神戸の北野エリアみたいな感じだろう。

 

さて、こちらは徳寿宮という、もともと臨時の王宮だったところに建設された石造殿である。デートスポットなのかカップルが多かった。日韓保護条約の締結など大韓帝国の歴史の舞台となった。中を鑑賞したかったのだが、予約でいっぱいだった。次回はぜひ観光したいと思った。隣に美術館もあるが、中規模程度だったはなかなか見ごたえがあった。

 

韓国の歴史を知るのにもってこいの国立中央博物館。無料であるが、膨大な展示に驚かされる。現代韓国の表層的な文化だけではなく、朝鮮の歴史を知るにはベストな施設である。半跏思惟像の展示があるが、静謐な佇まいに感銘を受けた。青磁・白磁の展示も豊富で興味惹かれた。

 

リウム美術館に行こうと思ったが、アクセス的な問題もあり戦争記念館へ。幾度となく異民族の侵攻により国土を蹂躙されてきた悲哀の朝鮮半島の護国の英雄たちの功績を讃えている。豊臣秀吉の朝鮮出兵もあり、あまり日本人は好まないかもしれないが、半分以上は朝鮮戦争と現代の韓国軍の活動の展示であり、あくまで豊臣秀吉の朝鮮出兵などは一部の展示となっている。亀甲船の展示があるが、具体的な構造等の資料はなく、あくまでイメージによる再現となっている。

 

突然、モダン建築になるが、ザハ・ハディドが設計した「東大門デザインプラザ」。宇宙船が降り立ったかのようなフォルムであるが、とにかく巨大で全貌は空撮でもしないと分からないほどに大きい。曲面の多用により興味深い外観となっている。夜はライトアップされているそうだ。次回は夜に訪れたい。なお、日没は夜8時頃なのでライトアップの見頃は9時以降だろう。

 

こちらも観光スポット。ピョルマダン図書館。COEXモール内にあるが、開放的空間内の図書館の空間づくりは素晴らしい。

 

こちらは奉恩寺。韓国といえば儒教の国で、仏教は弾圧されていたが、いまでも韓国仏教はそれなりに信仰を集めている。韓国では44%が宗教を信仰しており、最大の宗教はキリスト教でプロテスタント45%、カトリック18%となっており信仰を持つ人の6割以上がキリスト教である。35%が仏教を信仰している。

 

主に行った場所は以上のとおりであるが、ソウルは見どころが多いので、1度の旅行では見切れない。他にも昌徳宮・昌慶宮・宗廟、今回いけなかったリウム美術館、韓国の国会議事堂や江南エリアの散策もしたい。近くもう一度、訪韓したいと思う。ダイジェストで観光するなら二泊三日で良いと思うが、王宮も巡り、美術館・博物館なども堪能したり、モダンな人気のエリアも散策するとなると、1週間ぐらいいても飽きないのではないかと思う。ソウルは想像以上に見どころが多い魅惑的な都市だった。次回はJWマリオット東大門スクエア・ソウルに泊まりたいと思っている(* ´艸`) 

 

東京都知事選の投票率は60.62%で、小池百合子氏が再選を果たした前回選(2020年7月)の55.00%を5.62ポイント上回った。今回は、小池氏の有力な対抗勢力として、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏や立憲民主党や共産党が支援した前参院議員の蓮舫氏が立候補し、有権者の関心が高まったとみられる。また、立候補者数が過去最多の56人となったことや、ポスター掲示や政見放送で物議を醸したことも、投票率を押し上げた要因とみられる。- 東京新聞

 

小池百合子氏の再選は予想できたが、まさか蓮舫氏が第3位に沈み、広島の安芸高田市の市長を一期の途中で辞職している(LINK)、石丸伸二氏が第2位に入るとは予想がつかなかった。蓮舫氏は無所属だったものの、立憲民主党のみならず、共産党の支援も受けており、保守・リベラル双方からも一定の拒否反応を示され、結果的に無党派層の取り込みに失敗したとみられる。

 

小池百合子氏は、自民・公明の盤石な支持層の票を獲得し、知事に再選した。学歴詐称問題はあるし、実際は当時卒業していなくとも、(政治的な問題とはいえ)現在においてカイロ大学側が卒業したと認める以上は、この問題はノイズに過ぎない。学歴詐称は公職選挙法違反であるが、これすら政治力で解決する小池百合子氏の剛腕はさすがと言わざるを得ない。「勝てば官軍負ければ賊軍」である。

 

それにしても石丸伸二氏にはあまり関心がなかったが、インタビューやら安芸高田市の市長時代の議会とのやり取りをみると、コミュニケーションになっていないものが散見される。これを揶揄して石丸構文と言われているが、こうした「詭弁論法」(といっていいか分からないが)は参考になる。もちろん、嫌われ者にならないためである。


(石丸構文)

① 質問に質問で返す。これを行うことで、相手方の質問が正しいのか、的を得ているのかを自分は査定する側にあるという構図にできるので、自分の優位性を演出できる。初歩的なマウンティング手法である。

 

② 正誤問題に持ち込む。

(1)相手の使った用語の定義などを聴き返す。「XXとおっしゃいましたけど、どういう意味で使われていますか?」などである。相手方が質問に答えられないと、相手の失態となり、自分の優位性を示すことが可能である。

(2)文脈を問う。どういう文脈で質問しているかを質問し返して、相手が答えられないと、「文脈が分かっていない」「文脈も分からずに質問しているのか」と追い打ちをかけることで自分の優位を示せる。

 

③ 文脈上明らかでも、発言していない事柄の用語や話題が出ると「XXについて一言も言っていませんが?」と逆切れし、相手が思い込みが強い、事実に即していないと印象付けることが出来る。

 

④ 自分は知らなくとも、そんなことも知らないのかと、糾弾する。「XXと言っているのに、そんなことも知らないのですか?」という。こうしたことで、あたかも自分が知識で優位にあると示すことが出来る。

 

⑤ やり取りを踏まえてネガティブな印象付けを行う。「あなたは知識不足で議論をかき乱す恥ずかしい方ですね」等。

 

⑥ 冷笑する。相手の質問を嘲笑ったり、相手が答えられなかったりした場合、溜息をついたりして、自身の優位性を示す。

 

※上記はブログ主の勝手な整理です。

 

こうした「石丸構文」は使うと間違いなく嫌われるので私生活では使うことは推奨しないが(会社で上司が部下にやればパワハラだろう)、こうした厄介な人物に出くわした場合に備えておくのは悪くない。こういう質問返しには、さらに質問返しを行ったり、負けを認めて、「私が無知でした申し訳ございません。それでは正しい用法/文脈を教えていただけますか?」、「大変恐縮ではございますが、私の理解力が及ばないため、ご説明いただけますか?」と丁重に下手に出て、相手のマウンティング行為を無効化しつつ、説明者を相手方に転換してしまう手がある。こうすることで、下手に出ている礼儀正しい人にマウンティングする攻撃的な人という構図を描き出しつつ、相手の失点も引き出せる。こうすると、もし相手が教えてくれればそれを受けて進行し、相手が答えられなければ相手の負けである。

 

この点でいうと、ミヤネ屋の宮根誠司さんはそこが上手い。石丸さんの説明について、「私は頭が悪いので分からない」と下手に出て、それってどいう意味ですか?と石丸さんに説明させ、そして、石丸氏の解説を踏まえて「石丸さんは選ばれなかった方(ということが可視化された)という認識ですか」と、相手の勢いで反撃を行っていた。ここらへんのやり取りをみるに、IQだけではダメだなと思った。「柔能く剛を制す」だなと思った。

 

結局、「石丸構文」では、語の定義の正確性やロジックの厳密さを攻撃してくるので、これに耐えるのは通常は難しい。然様であれば、その正確性や厳密さを相手方に転嫁してしまえばいいのである。普通はこんなテクニックなくコミュニケーションがなくとも会話が可能であるが、相手方がこうした詭弁論法を駆使してくれば、クレバーに対応せざるを得ない。

 

空気を読む日本の文化では、一般論として「詭弁家」に耐性がなく扇動されていまう衆愚があまりにも多い。

 

ちなみに、石丸さんはポスター代金を踏み倒して最高裁まで争って敗訴している。「2020年8月の同市長選でポスターやビラの製作を委託した印刷業者から代金の支払いを求められた訴訟で、最高裁第2小法廷(草野耕一裁判長)は8日までに、同氏側の上告を退ける決定をした。5日付。同氏に72万円余りの支払いを命じた二審広島高裁判決が確定した」(LINKそうだ。詭弁は裁判所には通じない。