破天荒な言動で知られるドナルド・トランプであるが若いころはそうでもなく、弁護士ロイ・コーンとの出会いがきっかけで、変わっていったというのが本映画のあらすじである。タイトルのアプレンティスとは弟子の意味で、ロイ・コーンの弟子という意味と、トランプ氏が司会をしていた番組名のダブルミーニングになっている。
トランプ氏は本作を痛烈に批判しているらしいが、そうということは、内容は真実に近いということだろうか・・・?ただ本人としては歓迎できない内容なのかもしれないが、第三者からすると、創作も含まれることは前提で、実際にこういう経緯もあるのだろうなと興味深く観れた。実際、トランプがアルコールなど依存性のものを嫌うのは、兄をアルコール依存症で亡くした影響はあるだろう。
映画に出てくるトランプの奥さんのイヴァナは一人目の夫人で、そのあとに離婚しマーラ氏と再婚し、再度離婚して、現在のメラニア夫人と再婚している。イヴァナ元夫人との間に3人(ドナルド・イヴァンカ・エリック)の子供がおり、マーラ氏との間に1人(ティファニー)、メラニア夫人との間に1人(バロン)の子供がいる。それぞれ子供たちも活躍している。最近大学生になった2mを超す長身のトランプの息子はバロン君である。
トランプの師匠だったロイ・コーンという弁護士は実在で、もともと反共の急先鋒で、検察官としてローゼンバーグ事件(ソ連のスパイ事件)を担当していたのも事実であるし、同性愛者でエイズで亡くなったのも事実なようだ。ロイコーンの教えというのは、第一に攻撃・攻撃・攻撃、第二に非を認めない・責任を全否定する、第三に窮地でも勝利を主張し続けるというものであるが、実際にトランプ氏の行動をみているとまさにその通りだなと思う。日本人は気質的に優しいが、外国人と対峙したときは、こうした強引さというも心得るべきと思う。
映画は画面サイズなども昔のものにあわせており、当時の雰囲気が伝わってきてよい。1970年代後半~80年代の退廃的なニューヨークの雰囲気が興味深い。いまでこそニューヨークの治安は改善したが、昔のニューヨークは犯罪都市だった。トランプタワーのあるエリアも治安が良いエリアではなかったというと意外だろうか。その当時にそんなエリアに豪華ビルを建設するとは、トランプの才覚というのはすごいと思う。そして、当時はまだ日本経済がイケイケだったので、日本の存在感も描写されており、日本人としてはうれしかった(一方で最近の落日を憂うのだが)。
それにしても俳優陣の演技は見事。トランプ演じるセバスチャン・スタンは名演。ロイ・コーン役はエミー賞とトニー賞を受賞しているジェレミー・ストロング。監督はイラン出身のアリ・アッバシ。前作「聖地には蜘蛛が巣を張る」ではイラン聖地での連続殺人を描いていたが、なかなかスリリングなテーマを好むようだ(この前作もおすすめ)。
個人的にはアメリカの都市や政治の歴史も垣間見れ、また、次期大統領のバックグラウンドが知れる良い映画だったと思う。あくまでフィクションな部分も多いという点は割り引いても、映画として非常に楽しめる仕上がりだったと思う。アメリカ政治などに興味があれば鑑賞をおすすめする。
★4.1 / 5.0












