表題通りの内容を以下では書いていくことにする。
ジョジョは色んなものが元ネタとして用いられているけれども、映画とかそういうのは結構指摘がされる一方で、テレビ番組が由来の場合はあまりそういうことに触れられないから、この記事ではそういう話をして行こうと思う。
ただ、唐突にその話を初めても色々あれなので、前置きというかなんというか、荒木先生がジョジョを作るに際して用いている情報についての話から始めることにする。
漫画というものは全て作者がその作品を描くまでに出会った何かによって構築されていて、どんな偉大な作家もどんなに偉大な芸術家も、無から有を作り出すことは出来ないのであって、荒木先生にしたところで、その目で見たものや耳で聞いたものをジョジョという作品に用いている。
例えば、ジョジョは映画などを由来とする描写が数多くあって、第一部でジョースター卿はダリオ・ブランド―が指輪を盗んだというのに私があげたと言ってダリオを庇うシーンがある。
(荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険』2巻pp.78-79 以下は簡略な表記とする)
このシーンについては、ヴィクトル・ユゴーの『レ・ミゼラブル』(『あぁ無常!』)という小説の中で殆ど同じエピソードがあって、牢屋から出て来た主人公のジャンは金もない中で司教のところで泊めて貰って、それに際して銀の燭台を盗むというシーンがある。
その盗みは露見して、けれども、司教はジャンにその燭台はあげたと言って、彼を庇うという場面がある。
この場面でどうやら司教は、その盗んだ銀の燭台を使って(売ってそれで得た金で)正しい人間になるようにとジャンに言うらしい。
司教「だが、忘れないように、兄弟よ。神の御心です。この貴重な銀の燭台を使って、正しい人間となるのです。殉教者たちの証言と、イエスの苦難と血によって、神はあなたを暗闇から連れ出してくれます。私は神のためにあなたの魂を救うのです」(参考)
ジョースター卿にしてもダリオに指輪を売って善の人になって欲しいと言っていて、まぁ普通にあの場面は『レ・ミゼラブル』が元ということになると思う。
(同上)
元は小説だから、荒木先生も小説の方から持ってきたという可能性はあって、ただ、『レ・ミゼラブル』は映画化されているような作品だから、100年以上前に書かれた小説を読んで情報を得たという可能性と、映画で見たという可能性だと、映画を見る方を多くの人は選ぶだろうので、僕は荒木先生は映画の『レ・ミゼラブル』で窃盗を許して正しい人間になるようにと言うエピソードを知ったと個人的に判断している。
まぁ荒木先生、映画をたくさん見てて、作中に映画由来の描写滅茶苦茶多いですし。
他には、2部でシュトロハイムがゴルフボールを握りつぶすシーンがある。
(2巻pp.154-155)
こういう風にシュトロハイムはゴルフボールを握りつぶしているけれど、そもそもゴルフボールを握りつぶそうなんてあんまり思いつくものでもないようなと僕は思う。
ただ、映画の中で怪力のキャラクターがゴルフボールを握りつぶすシーンがあるそれがある。
それは『007 ゴールドフィンガー』という映画で、この映画に出てくるオッドジョブは怪力で、007の間の前でゴルフボールを握りつぶして見せる場面がある。
そのシーンだけだと微妙な所だけれど、そのオッドジョブはシルクハットを被っていて、そのシルクハットのつばには刃物が仕込まれている。
そして、スピードワゴンもつばに刃の仕込まれた帽子を武器として使っている描写がある。
(2巻pp.10-11)
これについても、007の作者と荒木先生が別途に刃物の仕込んだ帽子を思いついたとするよりも、同じ映画でゴルフボールを握りつぶしてもいるのだから、荒木先生が『007 ゴールドフィンガー』を見ていて、それが故にこのような描写がジョジョにはあると判断した方が素直なそれだろうと僕は思う。
オッドジョブは007関連のゲームに登場することが多くて、その場合、彼はそのシルクハットが特別に武器として使用できることもあって、作品によっては射程はフィールドの端から端までで、追尾してくるし当たると一撃死という恐ろしい性能になっていた。
他の例だと、3部の敵は映画が由来のそれが非常に多くて、エボニー・デビルはどう考えても『チャイルド・プレイ』が元だろうし、ホイール・オブ・フォーチュンはパニック映画で暴走するトラックが追い掛けてくる『激突!』がモチーフだと考えて良いと思う。
(15巻p.44)
(16巻p.165)
…Amazonの『激突!』のパッケージと引用したジョジョのシーン、トラックが結構似てるな。
まぁ出てくるトラックのデザインも参考にしているんだと思う。
『激突!』に関しては追ってくるのはトラックで、ジョジョの場合はトラックではないとはいえ、まぁやってることは『激突!』と大体同じで、どっちも荒野で車に追い掛けられてそこから逃げたりする内容なのだから、トラックにすると『激突!』とまんま同じになると思って、そこのところはトラックではない車に変えたのかなと個人的に思う。
『レ・ミゼラブル』は高尚な作品ではあったけれど、この場で言及した他の三つの映画はあまり高尚なそれでもなくて、そういう作品を自身の漫画の材料に使うくらいなのだから、荒木先生は全面的に高尚な人物ではないということは確かなのではないかと思う。
…まぁ何もかもが高尚な人間は、「この便器に吐き捨てられたタンカスどもが!!」なんてセリフ思いつかないのだから、そもそもそこまで高尚な人間であるということもないと最初から分かっているのだけれども。
この一連のくだりは、荒木先生が漫画のモチーフとして用いるものは必ずしも高尚なそれであるとは限らなくて、卑近であまり高尚ではないものも材料として使うということを示すためのものになる。
こういう風に映画を題材にしている場面はジョジョでは多いのだろうけれども、純粋に僕が映画をあまり見ないので、僕はその話を一つの記事でまとめる程に、ジョジョと映画の関係性については詳しくない。
…この記事で今まで言及した映画、一つも見たことないんだよなぁ。
そのような話はやはり、映画について詳しい人でなければ出来ないだろうし、実際そのようなことをやっている人は既に居るだろうとは思っていて、ただ、そういう方向性ではないジョジョの材料についての記事を思いついたから、この記事ではそれを纏めることにした。
ジョジョのある程度の描写は、どうやらテレビのドキュメンタリー番組などがその材料として用いられている様子がある。
そもそも、ジョジョの前に書いた『バオー来訪者』に関しては、あれはどう考えても『仮面ライダー』シリーズのどれかの作品を下敷きにした物語なのであって、荒木先生はそういう風にテレビで得た情報を漫画作品に落とし込むということはやるような人ではある。
そういう話からも荒木先生はテレビを見ていたと僕は考えていて、以下の内容はテレビ番組とジョジョの関係性についてを書いていくことにする。
ジョジョに見られるテレビ由来の描写に関しては、例えば、ディアボロの多重人格について、「24人のビリー・ミリガン」の話がされている。
(62巻p.118)
このことについてなのだけれど、昔のテレビドキュメンタリーではこの「24人のビリー・ミリガン」が取り上げられていて、それも一度や二度ではなくて色んな番組で彼のことが紹介されていたという事実がある。
そういう風に海外の奇妙な出来事を日本に紹介する番組はこのジョジョの描かれた1990年代から沢山あって、『特命リサーチ200X』とか、今でも続いている『世界丸見えテレビ特捜部』とか、『世界仰天ニュース』とかでは、そういう類のドキュメンタリーがかなり放映されていた。
荒木先生にしても何らか「24人のビリー・ミリガン」について知った経緯がある筈で、先の引用ページには彼についての本の話がされていて、その本を読んだという可能性はあるにはある。
ただ、同じようにビリー・ミリガンの話は『グラップラー刃牙』にもあって、やはりテレビ番組で紹介された内容で、両作品のビリー・ミリガンの話が描かれているのではないかと僕は思う。
(板垣恵介『グラップラー刃牙』16巻p.158)
偶然、荒木先生と板垣先生が『24人のビリー・ミリガン』という本を読んで、同じように感銘を受けてそれぞれの作品に用いたという可能性と、二人が何らかテレビで彼の特集を見て作品の材料として使った可能性、どちらの可能性が高いかと言えば、テレビで見た可能性の方が個人的に高く思える。
『24人のビリー・ミリガン』という本はハードカバーで上下巻で、上巻は327ページもあるような本で、そんな本を偶然二人とも読んだという可能性よりも、実際、彼の特集はテレビで沢山されていたのだから、二人ともそれを見たという可能性の方が高いと思う。
両作品ともにビリー・ミリガンが出て来た時点では『24人のビリー・ミリガン』は映画化されておらず、テレビ番組が由来ではない場合、情報を得るルートが非常に限られていて、普通に生きてたら上下巻のハードカバーの本を人間それほど読まないのであって、そもそもそんな本をテレビなしで二人とも同じように存在を知ること自体が難しい話で、この場面では二人ともテレビでビリー・ミリガンについての特集を見たと考えた方が色々素直なのではないかと思う。
こういう風にジョジョにはテレビのドキュメンタリー由来であろう題材がいくらかあって、ジョジョを読んでて僕が「これテレビで見たな…」という覚えがある内容についてが今回の記事の趣旨になる。
結局、映画の類は多少古くてもまた誰かが見る可能性があって、ジョジョで映画に由来があるような描写は誰かがいつか見つけ出すかもしれない一方で、テレビの情報を元に描いているような場面は、時間が経てば経つほど風化していって、その補完を目指してこの記事を書くことを選んだ。
今、10代とかの人だった場合、そんな情報は知る由もない話であって、その情報には普通に生きていたら辿り着けないから、そういう場合の補足が主眼になる。
まぁそんな人がこの記事に辿り着くとも思えないから、何のために書くのだろうとは思う所はある。
ただ、過去に誰かの得になることを目指した記事など書いたことがないので、今回も同じように誰にも得にならない内容を書いていくことにする。
加えて、そのように過去に特集された世界の奇妙な話は、現在になって否定されているものも多くて、ただ普通に否定されたということを知らないということもあるだろうので、否定されているものについてはその話もしていく。
まぁとにかくやって行くことにする。
まずはビリー・ミリガンについての話があったけれど、先の内容で僕が言及できることは全てなので、これ以上特にない。
ビリー・ミリガンの話はただの詐病というか、普通にかつて言われていたように24人分の人格が確かにあったというのは嘘だとは聞いたことがあるとはいえ、それを確かに出来るようなソースとかは特に見つけられなかったし、彼について僕は詳しくないので掘り下げないでおく。
ただ、他にはロッズの話がある。
(「ストーンオーシャン」13巻p.104)
若い人だとこれが何なのか、一切分からないかもしれないと思って、そういう情報の補完を目指して色々やっている。
ジョジョのこの場面をリアルタイムで見ていたような人は考えずに普通に分かるだろうけれども、まぁこれはスカイフィッシュですね。
(スカイフィッシュ。参考:http://gurneyjourney.blogspot.com/2019/01/skyfish-rods.html)
日本だとスカイフィッシュって呼ぶけれど、アメリカとかだとフライング・ロッズとか呼ぶらしいっすよ?
僕自身はジョジョの先のシーンをリアルタイムに読んでいたということもなくて、世代も実際ズレてくるところではあるけれど、それでもスカイフィッシュについての特集をテレビで何度も見た記憶がある。
要するに、ジョジョのあのシーンが描かれた前後の時期と、その後のしばらくの間、テレビでスカイフィッシュの話が度々取り上げられていて、ジョジョのアレに関しても、テレビで見た情報だろうという話になる。
スカイフィッシュというのは映像にのみ残る謎の生物で、その生態系は謎で、早過ぎて肉眼では確認出来ないし、体の形状から口がなくて、何を食べて生きているのかは全く分からないし、死体も発見されていないという奇妙な生物になる。
ジョジョにしてもロッズは死体が直ぐ溶けていて、肉眼では確認出来ないけれど存在していて、人間の体温を直接吸い取っているという話になっている。
まぁスカイフィッシュについての特集を一回でも見たことあるような人は、僕が説明するまでもなくスカイフィッシュがどういう生き物なのかは知っていると思う。
つまり、死体も見つからないし何を食べているか分からないという話でスカイフィッシュは有名だから、ジョジョではロッズは死体は直ぐ溶けるし、体温をエネルギーとして直接奪うという方法で栄養を摂取しているから、口がなくても問題ないという解釈なのだと思う。
リキエルの能力にしても、ロッズを生み出すのではなく操る能力で、ロッズは人間の目には見えないだけで既に世界中に存在しているというような描写がジョジョではされていて、その辺りはスカイフィッシュの話が元ということになると思う。
スカイフィッシュに関しては映画があるということもないし、本もそんなに有名ということもなくて、これが描かれた当時に生きていた人の中で、この話をテレビ由来だと言って、それを否定する人などいないのではないかと僕は思う。
実際の所、スカイフィッシュは当時のカメラの性能が悪くて、飛んでいる羽虫の類が変に映っただけの存在で、スカイフィッシュという生物が実際にいるわけでもない。
スカイフィッシュについてWikipediaに記事があるくらいで(参考)、昔はこの謎の生物についての特集が沢山あって、荒木先生にしてもそれを見たのだろうという話になる。
まぁオカルト的なテレビ番組は答えが分かっている問題に関しても、面白おかしく囃し立てるようなことを昔からやっていて、ロッズにしても多分、放送している側の人とかは職業上、映像技術には詳しいはずで、あれは小さな虫の類だと分かっていた人もいただろうと思う。
スカイフィッシュを題材にした映画とかはないし、やはり実際のスカイフィッシュの映像が無ければ、飛行する謎の生命体の話は盛り上がらないから、ラジオや雑誌というメディアではあまり積極的に取り上げる話題でもなくて、映像上だと未確認の飛行生物が映っているように見えて、画面も映えるという事情から、テレビでかつて取り上げられていたのかなと思う。
スカイフィッシュという概念である以上、飛んでいる姿が無ければインパクトにも欠けるのであって、そしてテレビ以外でその映像を披露する場もないのだから、やはり、荒木先生がロッズを知ったのはテレビなのだろうと僕は思う。
スカイフィッシュがどんな感じかについては、まぁ見た方が早いと思う。
このカメラの具合の問題で変に映る虫の類を、かつてテレビメディアはカンブリア紀に生息した生物の進化の果てだと紹介するという、ふざけたことをしていた時期があって、それを荒木先生が見ていたのだろうという話です。
次に、話はジョジョでロッズが出てくる回より少し前に戻るけれど、プラネット・ウェイブスに関しても、おそらくは世界丸見えとかのテレビ番組で特集された内容が元だと思う。
(「ストーンオーシャン」9巻pp.18-20)
このような内容がテレビの特集で紹介されるのは良くある話で、そうでなければ結構専門的な本を読まなければ得られないような情報になる。
そのような本を読んだという場合と、テレビで見たという場合、その事を知っている人が100人居たらその中で、本ではなくテレビでその情報を得る人の数を考えるなら、それはテレビで知った人の方が圧倒的に多いだろうと僕は思う。
少なくともロッズに関してはおそらくテレビの情報であれを描いていて、そうとすると荒木先生はテレビを見ているというか、今の時代だと考えられないけれども、1990年代とか2000年代初期なんてものは、テレビを見てないなんて殆ど考えられない時代なのであって、荒木先生はテレビを見ていただろうし、そうとするとこういう話もやはり、テレビの特集が由来なのではないかと僕は思う。
もっとも、隕石の入射角とかそういう細かい話はテレビを見ているだけでは覚えられないので、その辺りはものの本から引っ張ってきているかもしれない。
…まぁ、その回を録画していたら、普通にテレビの情報だけであの場面は描けるんだけれど。
次に、サブリミナル効果について。
この話はヘヴィー・ウェザーの時に言及されている。
(「ストーンオーシャン」15巻pp.162-164)
サブリミナル効果に関してもテレビでよく特集されていた類の話題になる。
結局、町の人が無条件にカタツムリになる能力を作ったところで、その対策が無ければ漫画にならないから、その対策としてサブリミナル効果が出てきて、プッチ神父が目のディスクを抜くという方法で克服するという描写のために、このサブリミナル効果の話が採用されたのだと思う。
どうしてカタツムリになるという能力になったのかとかは分からないけれども。
このサブリミナル効果、ジョジョの上のシーンが描かれた頃だと本気でそのようなものがあると考えられていて、それを疑っている人なんていなかっただろうと思う。
ただ、現在だと追証実験の結果、そんな効果は認められないと分かったようで、無意識に映像を挿入しても別に見た人に特に変化はないらしい。
アメリカの心理学は時にいい加減なものが混じっていることがあって、催眠療法で幼少期にまで遡って、トラウマを克服するという方法がアメリカの心理学の中にあった時期があって、そして催眠を受けた人の中には、幼少期に受けていた性的虐待を"思い出して"そこから自分の幼い頃に接した大人の事を訴えたという事件が何件かあったらしい。
ただ、催眠療法自体がいい加減な代物だったらしく、思い出したのは偽の記憶で、催眠状態で自分が虐待されたという存在しない記憶を作り出して、そこから訴訟を起こしていたというのが実際らしい。
アメリカの性的虐待の罪の重さというか、幼児に対する性的加虐という概念の重篤さを考えると、割と洒落にならない記憶を捏造していたということになって、まぁ時々アメリカのこういうジャンルの話だと、やらかしているという場合があったりする。
サブリミナル効果に関しても、法律で禁止されるほどのものであったけれども、結局は適当な実験の結果出て来たいい加減な学説でしかなかったようで、知覚できないレベルの短い映像を紛れ込ませても、別に人間の脳は本当に知覚しないで終わりらしい。
だから、現実世界ではロッズは存在していないし、サブリミナル効果も存在していなくて、ただジョジョの世界だと存在しているという話で、まぁ現実世界にスタンドも吸血鬼も波紋の呼吸も存在しないのであって、そういうのが存在する世界なのだろうと僕は思う。
さて。
ここまではほぼ確実に荒木先生がテレビで見て得ただろう情報を元に存在する描写についての話が済んだので、以下では確証はないけれど、もしかしたらテレビが由来の可能性があるジョジョの描写について書いていくことにする。
結局、ジョジョは何十年も連載していて、連載時期によっては僕も普通に生まれていないのであって、僕としても生まれる前のテレビ番組の情報は持っていない。
ただ、そういうのはテレビでやるかもしれないなというジョジョの描写に心当たりがいくつかあるので、もしかしたらの可能性としてそういう話を書いていくことにする。
まず、無人の船について。
この話はディオが棺桶から出て来たときと、ストレングスの時にその描写がある。
(13巻p.12)
このように無人船が漂っていて、そこに争った形跡もなければ、飲みかけのコーヒーが残っていたという言及があって、このような話は都市伝説として存在している。
メアリー・セレスト号という船があって、この船は無人船として漂っていて、風聞として、飲みかけのコーヒーが船内には残されていたと話もあったりする。
メアリー・セレスト号に関してはWikipediaに記事があるから、それを読んだ方が早いかもしれない。(参考)
ストレングスの無人船にしても、メアリー・セレスト号が元という可能性はある。
そして、このような話を何処で知るかなのだけれども、もちろん、オカルト系の雑誌や本にこの逸話が載っている可能性はある。
ただ、同時にテレビで紹介されているという可能性もあって、あの話は再現映像とか作りやすそうなので、もしかしたらこの辺りもテレビのドキュメンタリーが由来だったりするのかもしれない。
次はノストラダムスの大予言について。
ノストラダムスに関しては、僕が把握している限り二回、ジョジョでは言及されている。
まず初めは4部の最初で、次はDアンGのプロフィールになる。
(29巻p.7)
(「ストーンオーシャン」10巻p.47)
ノストラダムスの大予言というのは、1999年に世界が滅ぶというノストラダムスという人物が残した予言についてで、かつて日本で滅茶苦茶話題になった話になる。
荒木先生がその事を知っているのはある意味当然で、というか、1999年の時点で日本に居て物心がついていた人物の中で、ノストラダムスの大予言を知らない人は居ないだろうと言って良いほどに、ありとあらゆるメディアで取り上げられたような話になる。
2012年にマヤ歴がそこで途絶えているから、世界は2012年に滅亡するという話題が上がった時もあったけれど、ノストラダムスの時はマヤの場合と比ではない程の取り上げられ方であった様子があって、日本人でその話を知らない人は居なかっただろうと言って良いほどに取り沙汰されていただろうと思う。
『ケロロ軍曹』でもその話がされていて、まぁ他の漫画でも題材にされているくらいの話ではある。
ただ、ありとあらゆるメディアがノストラダムスの話をしていたというほどのレベルの話題であって、雑誌だろうが新聞だろうがラジオだろうが何でもその話はしていた様子があって、それが故にテレビだけで話題になったということでもないわけで、そうとすると荒木先生がテレビでノストラダムスの大予言を知って、ジョジョでその話を少しだけしたと言及できる内容でもない。
そうと言えども、今挙げたメディアの中でネットがなかった当時に人々が最も触れていたそれは何かといえば、やはりそれはテレビなのであって、荒木先生にしてもテレビでノストラダムスについては知ったのではないかと思う。
よう知らんけど。(関西人的表現)
ちなみに、日本で流行ったノストラダムスの予言については、五島勉というゴシップ記者が殆ど創作した内容で、ノストラダムスの原著とはかけ離れた内容であったらしい。
実際、この五島という人物は死に際にインタビューに答えていて、あんな本を書いてしまったということについての後悔を語っていたりする。(参考)
まぁもしかしたら、「地下鉄サリン事件」という、地下鉄でサリンという猛毒が撒かれて14人死んで、助かったとしても脳がやられて再起不能の障害を背負うことになって、以後何十年も死ぬまで寝たきりという人物を何人も生んだような事件の遠因として、自分が書いた本があるというのなら、そういう自責の念もあるのだろうとは思う。
DアンGは予言を信じて殺人をして20年を食らったわけだけれど、割と信じた人は居たらしくて、そのためにやらかしたということはあるとは聞いたことがあるとはいえ、僕の知り合いに予言を信じてはっちゃけた人が居ないので、実際のところは良く分からない。
ただインタビューの中で五島がノストラダムスの大予言のせいでノイローゼになった人の話をしているので、もしかしたらガチで信じてそれが故にメンタルやられた人もいたのかもしれない。
次に、アンジェロについて。
(29巻p.56-57)
このような猟奇的殺人犯の話はテレビのドキュメンタリーで度々紹介されていて、この辺りもテレビが由来だったりするのかもしれない。
ネットのない時代に同じ情報に辿り着こうとするとなると、そういう猟奇的殺人犯について詳しくまとめた本を読む以外に方法がなくて、けれども、そんな本を手に取って読むのは普通に趣味が悪い話で、そういうことをする人はそんなに多くなかったはずで、荒木先生にしてもテレビでそういうのを見て、アンジェロというキャラクターを作ったのかなと僕は思う。
他には高尚ではない、言ってしまえば低俗な雑誌にもこういう類の殺人犯のまとめがあっただろうという推論はあって、そういうルートから荒木先生はこういう話を知ったのかもしれない。
荒木先生だって人間だから、そういう高尚ではない何かを見たり読んだりすることもあると思う。
手を持ち帰る吉良吉影に関しても、猟奇的殺人犯の中には被害者の体の一部をコレクションするような場合もあって、映画の『レッド・ドラゴン』には被害者の皮膚を剥ぎ取って衣服を作る殺人鬼が出てきて、この殺人鬼は実際に存在したエド・ゲインという連続殺人犯がモデルになっている。
『レッド・ドラゴン』は2002年の映画でジョジョ4部は1990年代だから、ジョジョの先の描写の由来ではありえなくて、まぁそういう風に遺体の一部を持ち帰るタイプの殺人鬼の話を荒木先生はテレビとか雑誌で知ったのだろうと、このことを僕は漠然と捉えている。
ネットが発達してしまえばそのような類の情報は簡単に入手出来るようになっていて、『ゴールデンカムイ』には猟奇的殺人犯がモデルのキャラクターが沢山いて、江戸貝くんはどう考えてもエド・ゲインがモデルで、ただ『ゴールデンカムイ』に関しては情報はネットで見たものだろうと思う。
まぁいい。
次に、トンネルにある部屋について。
ハイウェイ・スターの導入のところですね。
(40巻p.95)
この話はテレビのドキュメンタリーということでもないのだけれども、ホラー系のテレビ番組で、トンネルの中を走っているとそこに部屋が見えて、気になって戻ってきたら恐ろしい目にあったというそれが存在していてもおかしくないというか、そういう小話はホラー番組でありそうと思ったので、その話を持ってきた。
ただ、僕は実際このエピソードをテレビ番組で見たとかではなくて、そうと言えども、テレビでありそうと思ったから持ってきただけになる。
結局、下手をしたら僕が生まれる前にテレビでやっていたホラー番組なのであって、もしテレビの情報が元だとしても、僕はその情報に辿り着きようがない。
けれども、和テイストのホラ―でこのような話があるのは想像に易いので、もしかしたらそういうとこら来ているのかもしれない。
同様に、4部に出てくる振り返ってはいけない小道や、背中を見せない男に関してもホラーの中でそういう題材が存在している可能性もあって、そういう所はもしかしたらテレビが由来だったりするのかもしれない。
最後に、ジョジョ6部の刑務所の話に関しても、テレビのドキュメンタリーが由来という可能性はある。
まぁアメリカの囚人を特集したドキュメンタリーは現在でも割とあるもので、脱獄をテーマにしたものもあって、ジョジョだと徐倫たちは脱獄もしているので、その辺りはテレビ由来だったりするのかなと思う。
ただ、映画の『大脱走』とか『ショーシャンクの空に』とか、囚人や脱獄をテーマにした映画はあるのであって、その辺りは映画由来かもしれないのだけれども。
まぁ実際、テレビで見た情報が完全に除かれるわけがないのが道理だから、映画で見た情報とテレビで見た情報のあいのこが、グリーンドルフィン刑務所なんだろうとは思うけれども。
…記事の後半はテレビ由来である可能性がある描写についてを纏めていて、プラネット・ウェイブスの隕石のくだりは本来的にここにあるべきだよなと振り返ってみて思った。
ただ、記事の構成上の都合というか、話の流れ的にあのくだりを切り取ってこの辺りに張り付けると、言及内容を色々書き替えなければならなくてそれは面倒だし、多分、あれはテレビで見た内容だろうと僕は思うので、記事はこのままにすることにする。
とりあえずは以上になる。
どう…なんですかね…。
まぁ今回の内容はバオーの時と違って荒木先生の信者の方を怒らせる内容はないから、公開してもクソみたいなコメントは飛んでこない…と思うけれども、信者の方はアレすると本当に激しいから、何処に地雷があるかとか分からなくて、あんまりジョジョの話とかしたくないんだよなぁ…。
『なるたる』って漫画の解説を書いた時も信者の方に熱烈なお言葉をだいぶ賜ったので、正直、信者の方が沢山いるようなコンテンツは…うん。
僕の方も6部までだったらスタンド名を未だに暗唱できるほどに読んでいるんだけどねぇ…。
7部以降は副読本で判明したスタンド名、ブンブーン一家のスタンド名とかを把握していないからあれだけれども。
まぁしょうがないね。
では。
・追記
記事を書いた後にポツポツと過去にそれがテレビ由来ではと思ったことを思い出したり、新たにアレもそうだったのではと思うようなそれが出てくる。
例えば、ウェザー・リポートの能力で降ってくるヤドクガエルについては、毒蛙ではないとはいえ、空から降ってくる生物に関するドキュメンタリーを僕は見たことがある。
これについてはWikipediaにそれについて書かれた記事がある。(参考)
この記事を書く前の段階ではこれについても僕はテレビ由来ではと思っていたのだけれど、記事を書く段階で忘れてしまったらしい。
そして、このことについては記事を書いた後に思い付いた話で、ドランズ・ドリームのケンゾーはムショに入ってくる前にカルト集団の教祖をやっていて、集団自殺を図ったカルト集団というのはアメリカに実際存在している。
そのドキュメンタリーも見たことがあるような記憶が僕にはあって、これもテレビ由来なのかなと僕は思った。
実際、集団自殺を行ったカルト教団は複数あって(参考)、その中で火をつけて死んだ集団は太陽寺院だから(参考)、まぁケンゾーに関してはその辺りを特集したドキュメンタリーが元なのかなと僕は思っている。
加えて、ラング・ラングラーとの戦いの時の無重力状態での頭に血が溜まるムーンフェイスの話や、宇宙空間で血液が沸騰する云々に関しても、宇宙関連のドキュメンタリーが元なのかなと思う所はある。
ちなみに、聞いた話だと宇宙空間に放り出されても窒息死するだけで血液は沸騰しないらしいっすよ?