エマージェンシー訓練をやる時に生徒さんに養ってもらいたい能力の一つに機体の異常や不具合を速やかに感知できる能力というものがあります。
なかなか実際のフライト中に異常を再現することが難しいのですが、私はできる限りシュミレーションして訓練しています。
例えば、生徒さんに「左から他機が接近中 ! 」と告げます。すると生徒さんは必ず左を見てその航空機を探そうとします。その時にスロットルをちょっとだけ引いて エンジン出力低下 を再現したり、オルタネータースイッチを OFF にして オルターネーター故障 を再現します。
そして、生徒さんがその異常に自ら気づくかどうか待ちます。
最初はほとんどの生徒さんがなかなか気づいてくれません。しかし、回数を重ねるごとに反応が良くなり速やかに適切な対応が取れるようになります。
この異常を感知するには二つの大事なことがあると思います。
一つは、常に五感を研ぎ澄まさせる。
もう一つは、機体の仕組みやパフォーマンスを熟知していることです。
飛行中、生徒さんは飛行計器には目が行くのですが、どうしてもエンジン計器類や電気計器類に注意が払われず感知が遅くなってしまうようです。せめて数分に一度ぐらいは全計器をチェックする癖を付けて欲しいです。
実際に生徒さんと飛んでいて着陸まであと10 分ぐらいになった時、電流計が充電不足を表示し、警告灯が点灯していました。私は生徒さんが気付くまで待っていたのですが我慢できなくなったので、着陸態勢に入る直前に「何かおかしくないか ? 」 と問いかけてようやくそれに気づいてくれました。
また、日頃から正常なエンジンの振動や音とその計器の表示具合を観察し覚えておくことなどが大切です。その他の電気系、操舵系あるいは車輪系の装置等にも当てはまります。これは正常か異常かの判別ができるためにも必要です。
アメリカ空軍の有名なテストパイロットだった「チャック・イエーガー」さんが数多くのテスト飛行中に何度もトラブルに遭ったが、それを克服し無事生還できたのにはどんな秘訣があるのかと問われて、「飛行機のことを知り尽くすことでトラブルを解決できた」とおっしゃってました。
これは航空機を操縦する者にとってとても大事なことだと思います。
パイロットの最大の使命は、飛行機に乗っている全ての人を無事安全に地上まで届けることと、地上にいる人を事故の巻き添えにしないことです。
それが必ずできるようにするには日々の勉強と訓練が必要ですね。 私もがんばります。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
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