アフガニスタンへの道④〜タリバンに8時間拘束されてもうた〜 | Travel is Trouble 109カ国目

Travel is Trouble 109カ国目

トラブルに塗れた旅行記
目指すはバックパッカー逆バイブル
反面教師で最高の旅を!

タリバンに捕まり独房へ
私に待ち受ける運命とは一体…
$1=85アフガニ

「おーい」
…。

「おーい」
…。

どうやら完全に拘留されてしまっているようだ
これで国際拘留は二度目
パナマ入国時に密入国を疑われ、一夜だけベトベトの床で寝かせられた
あの時は見ず知らずの犯罪者と共に片方ずつ手錠をかけられ、二人三脚のように少しでも互いの意思疎通が取れないと、多少鋭利な形状になっている手錠の内側の金属が手首に食い込んで何とも痛かったのを思い出す


為す術なく、何か身体から生気が抜け落ちていくような感覚
家畜の牛や鶏などは、売られる時に観念したかのようにじっとしている
私はいまそんな状態に近いのであろう
もはや抵抗のしようがない

やることがなさすぎる
ドラクエだったら扉を調べれば
失礼しました!
って兵士が謝罪とともに解放してくれる
だが現実では扉を調べても兵士はやってこない
一体どうすればいいのだろうか

ただひたすら思考を巡らせていたら
考えることが無駄だという境地に行き着き眠ることに
布団もあって静寂だと考えたら、無料でプライベートルームに宿泊させてもらっているも同然
ドミトリーではこれだけ快適に眠りにつくことはできない


…どれくらい寝てだろうか
特に夢は見なかった
こういうシチュエーションでこそ悪夢を見るものなのだと思っていたが、意外にも快眠
鉄格子の隙間から見える外の景色は夕方を通り越して暗闇に包まれていた
大体5時間は経過したのだろう
文明の利器に頼り切って生きている私にとって、何もないこの無の状態は何とも辛い
ヨガでもやっていれば瞑想地味たこともできたのだろうがヨガなんて心が満たされてない者の付け焼き刃な対処法だろうと舐め腐っているのでやる気すら起きなかった

そんな馬鹿なことを考えていたら夕食が運ばれてきた
タダメシ食えて寝ることができるならもはやホテルじゃないか

ムショの飯は臭い
そんな話を映画やら体験談やらで聞く
そんなムショ飯にどこか憧れている自分がいて、いつかはくっせぇ〜飯を食べてみたかった
用意されたのは、豆のスープとナン
これが噂に聞くムショ飯か
試しに匂いを嗅いでみたが全く悪い臭いがしない
生まれつき視力が2.0ある分、鼻が糞ほど利かない
臭豆腐もクサヤもドリアンも平気で平らげてしまう
納豆とブルーチーズは無臭だと思っている
あ、でもドン・キホーテのトイレで髪をブリーチした時はウンコくさいトイレよりウンコくさかった(若気の至りごめん)
つまりウンコでも出されない限りよく分からない
それでもやっぱり食べてみたらウンコみたいな臭いが鼻に数週間は残るのであろう
試しに鼻をつまんで食べてみると臭いが全くしないどころか強烈に美味い
これはもしやと思い、鼻をつままずに食べてみると何と言うことか!
跡にも先にもアフガンで食べた物の中で一番美味しいではないか!
他の食べ物で例えるなら肉じゃが
肉じゃがの具材を大豆と玉ねぎ、ジャガイモだけにした料理で味の染み込み方が凄まじい
味付けも絶妙で、甘めのスープに塩っ気を少々感じる
ナンとのコンビネーションは抜群
美味ではないか!」
思わず声を上げずにはいられない
すると
「ガチャッ」
扉が開いた
監視員と共に推定50歳のアフガン人らしき人物が入室してきた
最初にパシュトゥーン語で話しかけられたのでどうせ英語が通じない人なのだろうと思っていたのだが全く違った
とてつもない英語話者だったのである
彼がなぜ拘留されたのかは謎だが、毎日このような場所で寝ているのだという
君を始め見たとき、アフガン人だと思ったよ。誰かと一緒に滞在するのは初めてだ」
なぜ英語教師かのようなクリアな英語を話す彼がこんな場所に来ているのかは全くもって謎
同じ立場の人間が現れるとどうしても同志だという感情が生まれるもので、彼にはアフガンに来た理由や今後どうするかなどの身の上話をせきららにした
すると彼が一言

君はもうすぐ解放されるはずだ

それから数分後、マスク姿の如何にもなボスが登場
ボスも英語がペラペラで一言目に
「君をこんな目に合わせて申し訳ない」
と謝罪から入るあたり、器の大きさが計り知れない
マスクで来てることを考えると、姿を見られないように警戒しているのだろう
恐らくタリバン幹部なのだろうがタリバン幹部の集合写真を見てもこの人だ!という決め手にかけるような顔をしていた

君を解放する。本当に申し訳なかった

この男、完璧である
遺恨を残さないために胃袋で敵を掴み、謝罪で閉幕
長時間に渡る拘束が何か壮大な物語だったかのような見事な謝罪

これには
そんなことない。私がパスポートを忘れていたのが問題だったのだから。謝る必要はないよ」
と言わざるを得ない
これにてタリバンによる拘束劇は幕を閉じるわけだが何か一つ腑に落ちない
そう、あの途中からやってきた
もう一人の英語ペラペラ男!!!
アフガン人にしては珍しくあそこまで英語がペラペラだったということ、そして彼のジャッジメントの後すぐにボスがやってきて解放されるに至ったこと
今となっては全てが謎なのだが、

フィクサー
は彼だったのではないだろうか
拘留された者同士なら本音で語り合えるという心理的要素を取り入れたタリバン流のやり方なのだとしたら末恐ろしい
もしあの時、私が彼に
「糞タリバン!」
などと言ってしまったらこのブログが世に出ることは一生なかったのかもしれない
とにかく無事に解放されて良かった

外に開放され、時間を確認すると夜中の23時
実に8時間も拘束されていた!
カブールに来て2日目でまさかこんな事態になるとは先が思いやられる

有料note公開

アフガニスタンをガイド無しで旅ができる方法を情報ベースに見やすくまとめた有料note公開しました。ご質問がある方は有料noteに添付したLINEアカウントにご連絡ください。

https://note.com/dotabatagg/n/n11683ace3d6f



ツイッターで旅の情報を随時アップしてます
「ドタバタ旅行記」(https://twitter.com/dotabatagg)
ランキング参加中にほんブログ村 旅行ブログへ