9/10
〈ユンin登登曲 2人劇〉ではなく〈ストラビンスキー〉
華やかな時代は記憶となりつつある戦争の時代。困窮するストラビンスキー。最後に曲が売れたのは1年以上前のことで、母親よりも長い時を共に過ごした乳母をロシア式に埋葬もできない。安価な火葬などロシア人にとっては考えにくいことだ。
もはや自分の誇りにしがみついている場合ではない。そんな崖っぷちのストラビンスキーに対して、忖度なく神経を逆撫でするシュム。
チョン・ジェファンが似合ってるしイキイキしてる。ユンよりこっちの役の方が好き。
冒頭の劇場の騒ぎを表現した声の応酬が〈ニジンスキー〉や〈ディアギレフ〉の音声を使ってる?と思わせるような一体感で、まずは親密感がぐっと高まった。
ストラビンスキーとシュムとの会話で進行すると言っても、いわば独り言のようなものだから、外国人としては集中せざるを得ない。
緊張感を失わずにずっと集中していられたのは作品の力かな?
春の祭典の失敗のあたりから〈ニジンスキー〉でつぶさに見たニジンスキーの苦悩が蘇る。あちらはニジンスキーとディアギレフの関係が主流だったので、ストラビンスキーには注目しなかったけれども、視点を変える面白さを十分に味わった。
(追記:ストラビンスキーの音楽を聞き分けるほど知識がないが、音楽家が主役だと主要作品をナンバーに使ったり、少なくとも似通ったトーンになるんだと思う。
ちゃんと音楽会で聞くのは別の話で、ミュージカルのナンバーとしては、余り好みではないかな。嫌いまでは行かないとしても。)
10/4
ラスト。(と言っても2回目)
〈クロイ〉のヘウンはとっても面白く演じていたけど、その他の作品では可もなく不可もなく的に捉えていたファン・ミンスが、なぜかこの頃ピリッと刺激的に見えてきたので選択。
積み重ねてきた時間がなせる技か、前半アドリブが炸裂していた。2人の何とも言えない呼吸が面白くて爆笑が広がる。こんな劇だった?
ミンス、良かった!おちゃらけてるかと思えば、神々しくなったり、すべて見透かしてるような目やいたわるような目。目が良い。
ギョンチョさんは、知ってはいたけど歌声に響きを感じなくて、そこがちと残念。
時間や空間を移動して展開する様々なシーン。状況を想像するヒントがほぼ言葉だからかなり努力してないと面白さをフルに味わえない。(照明はgood)
ところで、3部作を全部履修して分かった事実。
ストラビンスキーって嫌なやつじゃない?
(考えてみれば他の2人もそうだけど)