250417 観客との対話〈モーリス〉 | 韓国ミュージカルを 訳しまくるブログ

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韓国ミュージカル
全ては自分の予習復習のため
(注意: 目標はネタバレ100%)
近頃はメモ付き写真アルバムとしても使用中。


(演出家)
 原作はモーリスとアレック、映画はモーリスとクライブの関係に重点があったとすれば、ミュージカルはモーリスの感情変化に注目した。
 舞台化するにあたって空間に制約があるので、いろいろな場所に変化できるようにしたが、その中にも統一したテーマを持つオブジェクトを置いた。ドア、窓、戸棚、ベンチなど。


(ジェファン)
白い廃墟におけるクライブは試行錯誤の末、実際のクライブの姿ではなく、あくまで手紙を読むモーリスの心の中にあるクライブの姿と設定した。


(雑談?)
禁書クラブの変な声の目的は型にはまった紳士の姿を揶揄すること。現在の声はジュヒョクべうの発案。本人記憶無し。


(ジェファン)
 モリスが最初にクライブを拒否した後に、クライブから謝罪の手紙を受け取った後、混乱からクライブを受け入れるまで、元は長いシーンを縮めて舞台をぐるっと歩くことで表現した。
 1周目は社会的常識で日常生活を送ろうとする段階。自分が寂しいことに気づく2周目。自分が変だ、気分が良くない。クライブが思い浮かぶ、彼がいないから変なのか?そうだ彼が原因だ。何だこれは…まで5周ほど。最後に愛だと気づく。
 だからクライブに会いに行った時(拒否してクライブを傷つけたことに関して)、開口一番「分かってなかったんだ」と謝る。各モーリスで進度は異なるが、出発点と到着点は同じ。


(ジュヒョク)
「私たちは異なる」のナンバーが終わった後、1人でベンチに座るリスリー。最初はクライブを恨む。寂しくもあり。クライブが息できずに苦しむ時は自分も同じだから苦しむ。中間はモリスに対して「お前は?」と問いかける気分。最後には状況を受け入れるが、世間を恨む気分。自分は人を傷つけたり悪いことをしていないのになぜ?自分は悪事を働いてはいない、おかしいのは世間だと言う矜持で、胸を張って座っている。


(ジョンウォン)
 クライブがギリシャに行くと告げて去る時、ドアを出てしゃがみ込むシーン。クライブの社会性が最も顕著に表現されている。
 まず、家族がいるのに人工呼吸をしたと知り、考える以前に本能的に反応してモリスを責めた。自分が社会に対して一番押し殺そうとしている部分をあからさまにして、破滅に至るかもしれないから。
 それからギリシャに行くと告げるが、もうモーリスの元へ戻らない覚悟だ。
 モーリスの後ろ姿を見つめた後、考える。自分はなぜ愛することもできず、自由ではないのか?なぜ、こんな社会であがくのか?でも、自分はこの社会で生きていく人間だ。
 自分に対する恨み、もうモーリスに会えない寂しさ、これら全てを隠さねばならない心を抱えてしゃがみ込む。

 結婚によってクライブは不幸になったか?前進しなければと考えたか?
 不幸はモーリスと出会った頃から始まっていて、社会的な軋轢の中で深まった。白い廃墟がピークなので、その後再びクローゼットに入る。
 だから結婚は不幸の原因ではない。最後の最後には前を向かなければならないと考えるようになる。
 モーリスとアレックが成長するのと同じに、クライブにも成長して欲しい。しなかったら悲しすぎる。モーリスのお陰で成長できたと考えて、彼を送り出す。モーリスに執着せず送り出せる人間に成長したと自ら感じる。だから振り返らずに前進しようと思える。


(演出家)
今作品では、相手を通じてではあるが、単純な愛だけではない、各自の内面の新しい面に対する好奇心、もしくは成長、もしくは悟りのような、内面変化を起こしたかった。相手を愛するのも愛だが、相手を愛せる意志と力が自分の内部に生まれることを伝えたかった。


(ジェファン)
 モーリスとアレックの愛は成就したか?どう生きていったか?たくさん考えた。2人がどうなったか確かに知りたいが、それより重要な事がある。船の乗車券を捨ててモーリスを待つアレックの選択。アレックと行こうとするモーリスの選択。難しい選択だ。
 実際の話、我々が現実に社会生活を送る事だって難しい選択だ。実際の自分の感情を抑えつけて会社に行って席に座っている事だってそうだし。
 結論を言うと、この人物たちの結末はその日の呼吸によって変わるのだが、変わらないのは内面的にいかなる選択をしたとしても勇気を出したという事実だ。
 クライブの選択にしても、人から見ると「何だあいつ」となるかもしれないが、大きな勇気を出して愛する人を手放し社会的に生きる決心をしたはずだ。
 この作品で1番重要なのは、成長と悟りもあるだろうが、選択に従って確信を持つこと、各自何を追求して前進するのか、のような気もする。

 大学生のモーリスがクライブに言った「誰が僕たちを気にするか?」と同じ言葉を後にアレックから言われた時、話し手が輝いて見えた。昔を思い出し自分も輝いていただろうと考えて泣きそうになる。
 医者にかかり、クライブに再会してもモーリスにはずっと居どころがなかった。
 アレックはモーリスが探していた自分の姿かもしれないと感じた。過去の自分は素敵な人間だったと。だからこそ悲しい瞬間でもある。

 モーリスとして1番込み上げるのは 「잘 있어, 크라이브. 元気でクライブ」 と言う場面。心から追い出せないから病院へ行ったわけだし、大学時代から一度も終わらせることを考えなかった人間が別れを告げるのは、余程の心境の変化だ。1番嬉しく、そして悲しい。
 「夏」とよく表現するが、まさにここから「秋」に変わると思って表現している。


(ジュヒョク)
複数の役割の中で、リスリーが1番面白い。彼が登場すると舞台の雰囲気を換気して空気が変わる。そのエネルギーが面白い。クライブに決定的な影響を与える人物でもあるから。


(ジェファン)
初めてのことだが、今日に限って人工呼吸の場面が1番辛かった。クライブの反応でとても心配になった。既にとても苦しんでいる人なのに。失敗したと、自責の念を感じて、どう収拾を付けたらいいのか混乱した。


(ジュヒョク)
 アレックが1番幸福な瞬間は、気軽な方を言うと、クリケット。身分も関係なく楽しく走り回るから。(客席を走り回る姿がすごく幸せそうだが、クライブの立場で言うと、忌々しい!by ジョンウォン)
 真面目な方は乗船券を捨ててモーリスを探しに行くと、モーリスが自分の方に来る時。

(ジェファン)
ジュヒョクは1番汗っかきだ。クリケットの後のシーンで、雨の中アレックがモーリスに会いにくる時、水をかぶったかと思うほど濡れている。

(ジュヒョク)
汗を拭いても良いのだが、ちょうど雨に濡れるシーンだから丁度いいと思って、そのまま出ている。


(ジョンウォン)
モーリスが大した人物だと思うのはクライブさえ成長させたこと。最初に悲壮を演奏する時、葬式で流してくれと言うが、最後の悲壮はある意味クライブの葬式だと思う。最後に本当にモーリスと決別する瞬間。
 モーリスの別れの挨拶に対して、クライブは何も言えなかった。だからクライブが最後にドアを閉めて「モーリス」と囁く言葉には「さようなら」の意味が込められている。


(演出家)
 最後のシーンにクライブを残したのは、世の中で1番多いのはクライブのような人達だと思うから。(読み上げていたジョンウォン、泣きそうになりジェファンに交代。)
 自分自身が望む姿で生きている人は多くないだろう。私もそうだし。モーリスとアレックの姿は、誰もが望む方向だろうが、実際にはクライブのように生きている人の方が多いので、最後にクライブの姿を見せたかった。