ミュージカル〈ラフへスト〉に登場するキム・ヒャンアンが夫の死後建立したファンギ美術館。
入口の他、カメラマークで指定された箇所だけ撮影可。
ガイドの方が年代を追って、当時の状況や作風の発展などを説明してくれたので深く楽しめた。
視聴覚障害者のために点字や点画?も展示されて、作品をイメージした音楽や香りで感覚的に楽しめるように工夫されていた。
とても素敵な空間だった。
彼の日記には、毎日のように体の痛みが綴られていたそう。この姿勢で描き続けておかしくならない筈はない。綿を使ったキャンバスを自分一人で作り、描き、助手のいない作業はとても大変だったはずと説明された。ミュージカルでも「一日中描いていないで少しは休んで」とヒャンアンが促す場面がある。
ガイドさんは「ディスクが悪かった」と表現していたが頸椎ヘルニアのようなことだろうか?自由に動けなくなり、ベッドから落ちたことが死につながったそうだ。
作品については写真で見ていたけど、正直こんな点々の絵が芸術なの?と。
こちらのブログから写真をお借りした。大きさや濃淡の異なる様々な点が連なる2メートル以上の実物は、不思議な世界が目の前に広がっているかのようで、半日見ていても飽きない感じだった。
(ファンギは全羅南道の島生まれだそう。空と海だろうか?私にはそう見える。)
「美術は哲学でも美学でもない。空、海、山、岩のようにあるものだ。花の観念が生まれる前、花という名前が付く前を考えてみる。漠然とした抽象であるに過ぎない」(byファンギ)
極端に抽象化、単純化されているにも関わらず、雄大な自然を感じる。
「こんな点々の絵」とか言ってゴメンナサイ。
モノを買わない私が珍しく買ったポストカード。
左はファンギとヒャンアンの家(かな?)
真ん中のタイトルは「デュエット」。
一番右が遺作だそう。
ファンギが人生最後の点を打ったのはどこだと思うか聞かれて、う〜〜〜ん。
2畳分はありそうな巨大なキャンバスに膨大な数の点。それでも必ず最初の点と最後の点があるわけで、とりあえず最初は端っこから?角から?いや手が届かないから中心部?最後は…?と、それを考えるだけでもしば〜らく眺めることになる。
ファンギはとても情の深い暖かい人で、朝鮮戦争中に避難した釜山でのスケッチも、人々やその生活に目を向けた暖かさが特徴だそう。最初の家の絵はその頃のタッチ。生活は大変だったはずなのに。
結婚前にファンギがヒャンアンに送り続けたのも素朴なスケッチだったかと考えると楽しい。
自然と人を愛した人で、フランス時代もルーブルを始め現地の美術館には行かず、自分のスタイルを守ったそうだ。
この人には世界がどんなふうに見えていたんだろう。
考えてみると〈ラフヘスト〉のファンギ(とヒャンアン)は、韓ミューで見たほぼ唯一の安定した精神の芸術家かも。
〈ラフヘスト〉とは関係なく、オススメの美術館だ。
景福宮からだとバスで20分弱。
山が近くて独特の雰囲気が好き。
[네이버 지도]
환기미술관
서울 종로구 자하문로40길 63
https://naver.me/5cALRgQ3
企画により展示物が変わるらしい。この日展示されていた作品の一部は、間もなく龍仁市のホアム美術館に移されるとのことだった。ホアム美術館にもたくさん展示されているそうなのだが、遠い!(2023年の特別展)
[네이버 지도]
호암미술관
경기 용인시 처인구 포곡읍 에버랜드로562번길 38
https://naver.me/5YwXAeol
別館にはニューヨークのスタジオが再現されている。