2023〈ザ・テイル〉理解のための個人的考察 | 韓国ミュージカルを 訳しまくるブログ

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自分の予習復習用につき、かなりの偏りあり
(注意: 目標はネタバレ100%)
メモ付き写真アルバムとしても使用中。

多分今夜は(既に昨日か)、韓ミュー界隈は〈フランケン&ベンハー祭り〉になっていそうだけど、トレンドに逆らってひたすら自分のために頭をひねっていた。読んで頂いたとしても意味不明そう。指差し

 

(でも、けっこう面白い事を思いついたので、実際にこの作品を見た人は、一番下だけでも読んでください。)

 

6月に再演が始まった〈ザ・テイル・エイプリルフールズ〉。早速2回見た。

 

 

人の解析を読んだりして興味深くはあるものの、舞台を見ながら言葉や視線の裏を考えてしまい、頭がオーバーヒートしそうになっている。今度見るときは、頭を空にして無心で見るのが良いような気がする。

 

元々この記事は2022年9月に書いたもの。黒字で書かれたその部分に今現在思っていることを書き足すことにする。

 


 

疑問と考察の意味不明な記録。順不同。

 

去年、どう考えても展開の説明がつかないので、夢の中では一瞬で時空間が変化したり、設定が変わったりするのと同じと考えたらなんとなく納得できた。ストーリーの流れもそうだが、それに伴うジョンの精神的変化は合理的には説明できない。

 

 

① バイロン/ルースベンの目的は?

  • 真実から目を背けるジョンの救済?
  • ジョンを問い詰めるのは、ジョンが抹殺したかった真実を明らかにして再びイアンテに会うため?

「イアンテがヴァンパイアに好奇心を抱いている。ヴァンパイアは人間の好奇心に応える。だから私が彼女に会いに行かなければならない。私を求めているから。」(バイロンはわざとらしく「イアンテに好奇心がある」と言ったりする。ジョンがバイロンの主治医に応募したのも「好奇心」から。)

 

バイロンが徹頭徹尾求めているのは、ジョンが「小説の中に隠した真実」。

 

なぜか?(昨年と同じような事だが、もう一度書き出してみる)

 

仮説1 真実を明らかにして、バイロンが自分の愛する人に会うため。イアンテの正体は知らない。

 

仮説2 バイロンはイアンテの正体を知っており、イアンテもしくはジョンを救うため、真実を明らかにしようとする。

 

初演は仮説1寄り。公演期間後半には、イアンテの正体を探し出したバイロンが喜ぶ様子を見せることもあった。探偵ぽい。

 

再演は仮説2寄り。初めから真実を知っていて、それにジョンを向き合わせるのが目的のように見える。カウンセラーぽい。

 

結果としてイアンテを自分の世界に引き入れようとするのは同じ。執着はしないけど。目覚める決心をしたジョンを応援している感じ。

 

ルースベンは実はイアンテだけじゃなくてジョンも愛していたような気がする。イアンテの本質はジョンだからかもしれない。

 

♪♪♪

君は 私の主治医だった

私には 一番近い人

君は最後まで自分を否定し そっぽを向いた

それが 君の罪であり

君を信じた 私の罪

君を閉じ込めた この監獄を

不完全な世界を

燃やして

真実を隠した罪で

私が 君に罰を与える

♪♪♪

 

この歌詞から直接的に考えれば、ジョンが自らを閉じ込めた監獄から彼を解放することと言える。(去年も「救済」と考えたのだった。)

 

 

② バイロン演技中に顔を出すルースベンの本音

  • バイロンとルースベンの境界があやふやなのは、ルースベンがつい本音を言ってしまったりするからだ。
  • バイロンは本物だと思い込んでいた頃、ルースベンが時々演技を忘れて素に戻るとき、目眩に似た混乱を感じた。
  • 「誓いはむやみにするものじゃない。知っているはずだが?」バイロンはこの言葉をとても意味深に発するが、これはルースベンの恨みが出ている部分?オーブリーが秘密を守り、イアンテが生きていれば、幸福な結末もあり得たかもしれない、と思っているんだろうか。
  • ルースベンは、作中の人物と現実の人物の同一性を確信しているかのように、時に「ジョン」と呼びかけ、またある時には「オーブリー」として話しかける。自分がルースベンである以上、ジョンはオーブリーであるとしか思えないのかも。再演のバイロンは『ヴァンパイアテイル』の登場人物はバイロンとジョンを映していると確信しているように見える。再演の終盤には、ジョンの中に埋まっているオーブリーを呼び出すかのようにバイロンが大声で呼びかけるシーンがある。初演ではそこまで明確ではなく、再演で強化された部分だ。

  • だが全てがジョンの夢だと考えれば、ジョン自身が自分とオーブリーを混同しているとも言える。この、一瞬で役割設定が変わる現象が、夢の中で良くあるあの現象と考えると混乱がおさまる。
     
     

    ③ 過去のジョンとンバイロンの関係

     

    ①にあげた歌詞の言葉は、「主治医」と言っているのでバイロンとしての言葉と見るべきだろうか。「君を信じた私の罪」とも言っている。どんな形かは分からないが、バイロンもジョンに依存していたのかもしれない。それなのに、ジョンの方から離れた…?

     

    ルースベンとオーブリー間の誓いのことを言っているとも取れるけど…。

     

    それとも、本質的にルースベンはバイロン的要素で作られているから、ジョンの意思とは離れて自分で動き出した、バイロンと一体化したルースベンの言葉とも言えるか?(いやはや、わけ分からん)

    •  「道化師」で垣間見える過去の2人の姿や、ルースベンの慈悲に関するジョンの非難などから想像して良いのか?

    「与えた後に捨てたんだ!」

    • バイロンに対してジョンはどんな気持ちを抱いていたのか?「愛情、憧憬、軽蔑、嫉妬、なりたい欲望?」

    「どうせ君はジョージ·ゴードン·バイロンにはなれない。いくら努力しても、何をしても。しかしジョン·ウィリアム·ポリドリにはなれる。」

    • 自分でもバイロンになりたい欲望から自由になりたかったのか?結末を見れば成功したようにも思える。

     

     

    ジョン・ポリドリの心情

    バイロンを忘れたいのか?

    バイロンに依存して憧れる自分から抜け出したい?

    バイロンの影響下から脱して、独立したジョン・ポリドリとして存在したいのか?

     

    (昼のジョンは)バイロンを愛したことを嫌悪している。なので『ヴァンパイアテイル』の登場人物が現実の姿を映し出していることを認めない。だが、認めた上でしか乗り越えられないのかもしれない。

     

    『ヴァンパイアテイル』にはバイロンのアイデアが入っている。「バイロンから始まった」もの。だからこそバイロンの名前が刻まれたことが致命的。ショック。←自分の独立性が認めてもらえない事実を突きつけられる。

     

    その割に本を燃やされた時はひどく慌てる。断ち切れない未練が込められているから?

     

    逆に言うと、ジョンを鎖から解き放つためのルースベンの荒療治だった。そして成功したと言えるのかもしれない。

     

    ジョンは自分がイアンテであると認めるし、いっときルースベンとの時間を享受する。だから満足して現実世界に戻ることができたのかも。

     

     

    ④ カシミールの蝶がジョンに囁く

    「あなたの体は私の墓」の意味。

    • ルースベンすなわちバイロンを愛し、愛される資格のあるイアンテとしてジョンが小説の中で企てた成就。 イアンテ = カシミールの蝶。
    • 「バイロンを渇望する自分」と、作者としてイアンテを殺したジョン。
    • 現実では受け入れ難い想い。現実のジョン = イアンテが生きられない体??? 

     

     

    ⑤ 「3.その世界の神」

    • ルースベンにとっての神(創造主)はジョン?だから神を超えられると言うのかもしれない。
    • ミンジンバイロンは「その世界の神、それこそが作家、それこそが私」という歌詞で、「私」という言葉を発しない。バイロンではないから「私」と言わないこだわり。

     

     

    ナンバー「ジョン、カシミールの蝶」に出てくる「白い森」とは何か

     

    濃い闇に染まらないように、カシミールの蝶ちょうちょを追って歩く場所。

     

    その場所ではジョンは消え、イアンテちょうちょがルースベン(バイロン)から愛されることが可能。

     

    それは眠っている間の夢だが、「夜の自分」は目覚めていて、そこで生きている。

     

    「白い森」は闇から守ってくれるが、「夜の湖」と同じ側に属している。暗い夜が心の闇から守ってくれることになる。

     

    逆に「昼の湖」は現実の世界に属しているが、現実(真実)こそがジョンにとっての「闇」。

     

    「白い森」から出たくないジョン。

    「そこで終わってしまえばいいのに、止まって、目を覚まさずに、永遠に」

     

    徹底的に自分を否定して現実逃避しているジョン。(だから現実的には鬱病でモルヒネ中毒)

     

     

    だが結局のところ、全てがジョンの幻想で、ルースベンの言葉や行動も、出どころは全てジョンの精神なのだとすると、ルースベンの意思は消えてしまうわけで、それではとても虚しい物語になってしまうから、
     
    「バイロンから始まり私の手で作った、
    今は自ら動く君」
     
    という歌詞に望みをかけて
    本当の?ルースベン、ジョンとは別個の存在であるルースベンが現れたのだと思うことにする。
     
    結局のところ、バイロンとルースベンの言動はすべてジョンの精神世界の反映なのか、それとも独自性を持った存在なのか、この前提が最初の分かれ道だ。去年に引き続き「ジョンとは別個の存在であるルースベン」論者の立場を守ることにする。(なぜならルースベン♡loveだから)爆  笑
     
     
     
     
    衝撃!もしかしたら作者からの種明かしかもしれない歌詞(勿論これが正しい考えなのかは分からない。でも私としては気に入っている。)
     

    前記事の冒頭で「比喩的な歌詞が実は逐語的な意味を持つ」という説を見てから、ナンバー「道化師」を聞いて愕然とした。ストーリー的にはジョンがバイロンの主治医だった時の再現シーンだ。だから過去の2人の関係をここから読み取ろうとしたこともある。変な歌詞だなと思ったりもした。

     

    しかし、そのまま言葉通りに見てみると…

     

    ♪♪♪(抜粋)

    衣装を着けて舞台に上がれ

    仮面をかぶって演技を始めろ

    誰にも分かりっこない

    真実が何なのか

    あなたが私で

    私が君なのか

    仮面の陰の本当の顔も

    幕の後ろ側の本当の話も

    誰にも絶対に分かりっこない

     

    見たいように見ろ

    聞きたいように聞け

    私たちを楽しめ

     

    私たちはただこの舞台で

    踊りながら歌うだけ

    しばらくの間 舞台の上をうろついて

    噂もなく消える 哀れな俳優…

    ♪♪♪

     

     

    要するに、あれこれ考えるのは自由、見たいように見て聞きたいように聞けばいいだけ。誰が誰で、真実が何なのか、どうせ絶対に分かりっこない…。

     

    原文は、”아무도 절대 모를 거야.”

     

    直してしまったけど元は「誰も絶対に知らないだろう」と訳していた。訳だ。

     

    「誰にも絶対に分かりっこない」と変更した。

     

    分かりっこない事をあれこれ探求するのは、これでおしまいにする。