世宗文化会館。
Mシアター。
3月2日
1幕の最後に、神との闘いを開始したサリエリの口から吐き出される、
「あなたは永遠の敵だ!」
という言葉と共に胸に衝撃波が来て、インターバルに入っても痛み続けるこちらの心臓。
「凄いものを見てしまった」級作品。
チョン・ソンウは、彼以外にモーツァルトは演じられるのかと思うほどのハマり具合。素っ頓狂な笑い声をあげ、ヘラヘラと変な奴であるにもかかわらず、音楽には妥協できない天才。(最終的にはどのモーツァルトもそれぞれ独自のハマり具合で、比較はできなかった)
膨大な語りにも関わらず、ジェボム氏のサリエリからこちらの胸に怨念が流れ込み続けて果てしなく集中させる。モーツァルトの天才性と尋常でない人格の真実味がそれに拍車をかける。
本当のサリエリは十分才能のある人だったろうけど、まばゆく輝くモーツァルトに比べ、ジェボムサリエリはいかにも平凡?乾いてる?平べったい?何と形容したら良いのか。
とにかくサリエリ。
スプリングのように立ち上がり拍手はしたものの歓声は上がらない演劇のカーテンコール。ヒューヒュー言って吐き出せないから、胸の中に火種が残ってるみたいな気分。
4月2日
1ヶ月ぶり。本日のアマデウス・モーツァルトはイ・ジェギュン君。
ポスターやティーザーが公開された時から、衝撃を受けた彼のカツラ。
イジメなの??
他の2人のイケメンビジュアルに比べてなぜ
幕が上がったら違うカツラに変わっていたのでホッとした。
さて、観覧の方は、フルパワーが必要な作品だというのに疲れて眠い。困ったものだ。
一つだけ印象を残すとしたら、凄みを感じるより同情してしまいがちなサリエリだった。
昨今ジョングさんにとなりがちなのでそうなのかもしれない。
4月6日
そりゃあ禁欲的に生きてきたんでしょうという枯れ感満載のサリエリから吹き出す嫉妬と憧憬と憎しみが迫力!
なのに瞼が閉じがち。眠くなる魔法がアマデにはあるのか?(じゃなくて前夜、もとい当日の3時までやめられなかった「還魂」のせい。)
ウヒョクアマデはまず、大きい(笑)。本来のばん!とした声とは違って少しうわずったかすれ声。ソンウアマデに次いで奇妙な笑い声。ちょこまかとした動き。本人は隠そうとはしているらしいが、サリエリや他の音楽家への軽蔑が表情から分かってしまう。私が彼に持っていたイメージを覆す熱演だった。
4月9 日
モーツァルトのキャストはコンプしたので予定には無かったが、もう一度見たくて追加。
最後の〈アマデウス〉は2階から。舞台全体が把握できる感じでとても良かった。カフェイン摂取してしっかり見た。面白い眠気に襲われた前の2回が勿体なかった
。
1幕最後にモーツァルトの楽譜を破ってしまうユガンサリエリ。そんなサリエリは初めて!他のサリエリは破ろうとしてもその素晴らしさが分かるから、結局は胸に抱いていたと思う。
ユガンサリエリも面白かった。総じてどのキャストも良かった。
主演の2人はこの日がマッコン。
帰り際、出演者出口にわらわらと人がいたので、遠巻きに眺めるだけでもと待っていたら、最初にユガンさん、しばらくしてソンウ君が出てきた。
私のすぐそばにいた知人らしき方々の所に寄ってきて、挨拶したり写真を撮ったりし始めたのでラッキーだった。こっ、こんなにそばで声が聞こえていいんだろうかという、美味しい思いをした。