クリスマス翌日にソウル到着。
観劇記録という名の写真フォルダ整理を再開するのでご容赦を。
1月4日
タイトルは「빛나는 버러지」
訳すと「輝く虫けら」??
何のこっちゃと思っていたら、버러지は、ホームレスの事だった。
私が見たドラマでは「この人生は初めてだから」「愛の温度」「トッケビ」「彼女は綺麗だった」などで怪演を披露していたファン・ソクジョンさんが出演ということで興味を惹かれた作品。
単なるコメディかと思ったらかなりブラック。面白かった
政府から家を支給すると手紙を受け取った若夫婦。詐欺じゃないかと疑うが、善良で優秀な家族が根付くことによって地域に優良な住民層を呼び込む、いわば地域振興プロジェクトと説明される。広くて無料なのは良いが、設備は皆無。
政府から派遣されて契約を結ぶのがファン・ソクジョンさん演じるミスDee。Dはデビル?デーモン?
詐欺じゃないか、働きもしないで何かを手に入れるのは間違ってるんじゃないか。悩む夫婦はミスDeeに煽られて、これから産まれる子供のためにと一歩を踏み出す。
ある夜、キッチンに侵入したホームレスが揉み合いで頭を打ち死んでしまう。すると死体から眩い光が出て、夢に見た豪華なキッチンに変貌する。
侵入者が死ぬたびに「リノベーション」ができると知った夫婦。車まで高級外車に!
夫婦は台所のテーブルに食べ物を広げてホームレスを待つようになり、地域にはだんだんと富裕層が引っ越してくるようになった。彼らに釣り合う暮らしをするため夫婦はだんだん積極的に…というブラックコメディ。
妻は胎教のためになるべく作業に関知しないように努める。夫は聖職者になりすまし、お風呂を使わせてあげるとホームレスを呼び込む。苦痛が長引かず一瞬で事が済むように感電死させる方法を編み出すが、親切心と同時に一度に複数人を始末できる効果的な方法なので採用したとも言える。
がらんどうの真四角な舞台の後方、背景に沿って低い塀のような、台のようなものが設置されているのみ。
夫婦役の俳優が、自分たちの体験を再現しながら観客に語っていくスタイル。
コミカルで、全部が語りと動作だけなので血みどろ感は全く無い。
次のリノベーション場所は車庫と夫は言い、妊婦の健康維持にはバスルームが優先と妻は主張する。
「皆さんに聞いてみましょうよ!」と妻。
それぞれが持論を展開した後、観客は手を挙げてどちらかに投票する。大笑いしながら和やかに投票が進むが、参加した観客は全員共犯者ではないか?わたしを含めて。よく考えると怖い。
気づかないうちにエスカレートする欲望にあがらえなくなっていく夫婦の進む先には不幸が待っているんだろうと予想できる。
面白くて怖い演劇だった。
カーテンコール(最初から最後まで何も無い)