〈景宗修正実録〉配信レポ | 韓国ミュージカルを 訳しまくるブログ

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王である景宗と、公式な王位継承者、世弟となったヨニン君。この異母兄弟の間に起きた、記録には残っていない出来事を描いた物語。

 

架空の人物であるホン・スチャンを配置することによって2人を取り巻く宮廷の状況が鮮明になった。

 

兄弟それぞれを利用して派閥の権力を確保しようとする老論と小論。揺れる状況の中で、異なる政治的方向性を持つ2人は対立していく。

 

どちらかが死ななければ平和は来ないと言う厳然たる事実。そして本人たちもそれを認めるしかない。

 

王族として生まれた過酷な運命の中で、ヨニン君がせざるを得なかった決断。聖君となるために葛藤する景宗が最後に選択する真の聖君としての姿。

 

そこで物語はクライマックスに達する。

 

王族として生きるしかない2人の姿に胸が痛む。王族に生まれていなければ、幼い頃の姿そのままに、慕い慕われる兄弟であったろうに。

 

100分ほどの作品だが、本格的なドラマとして見応えがあった。

 

どんな作品もキャスト違いで見ると俳優ごとの色が出て興味深いものだが、この作品もそれぞれの組み合わせで味わいが違って面白かった。

 

 

8月15日 

〈銀河鉄道の夜〉でジョバンニを演じたパク・ジョンウォン。今回はしたたかで傲慢さを漂わせるヨニン君を演じている。緩急自在な表現力で緊張感を高める一方、子供時代の愛らしさはダントツである。(26:45あたりに注目!)

 

 

景宗エ・ノク。優雅で優しい役が似合う。〈ワイルド・グレイ〉におけるオスカー・ワイルド役も優雅でギラギラしていなくて一番好きだった。

 

 

ホン・スチャンチュ・ミンジンは個性あふれる俳優だと思う。ユニークだ。一匹狼的な存在感を醸し出すホン・スチャンである。数作しか見たことがないが、粛宗のようなキャラにハマるイメージがある。怖い。

 

 

8月22日

ヨニン君ホン・スンアン。更に傲慢さが強く出たヨニン君に見える。自信の表れなのかもしれない。

 

ホン・スンアンはミュージカル界で最も滑舌の良い俳優ではないかと思うほど発声がクリアだ。歌声も然り。聞いていて気持ちが良い。

 

彼は〈ワイルド・グレイ〉で片想い?しているロス役。常に感情を抑制した紳士が感情を爆発させる的な演技が私の好物である。〈ワイルド・グレイ〉 1:32:00あたりのシーンのように。

 

個人的にはヨニン君のような人物より、圧迫されて苦しんで苦悩を歌う、もしくはついに耐えられなくなって感情を放出させる…そんな役が似合うと思う。いじめられる役をやってください。

 

〈ザ・テイル・エイプリルフールズ〉で、いじめっ子チュ・ミンジン/いじめられっ子ホン・スンアンのペアがあり得ないほど良くて、廃人になりそうだった。

 

 

景宗ソン・テジュン。ビジュアル的にも声質的にも好みの俳優。〈女神様が見ている〉のヨンボムのようにあっけらかんとした役もお得意だが、景宗を見ていると上手いんだと再認識。

 

 

ホン・スチャン/粛宗チョン・ミン。少々意地悪さ、冷酷さが垣間見えるキャラの俳優だと思っている。いかにも宮廷で生きてきた知識人の趣だが、腹に一物秘めたホン・スチャンを魅力的に演じている。

 

この3人の組み合わせのバランスが良くて、基本形というか、安定していると思う。


INDEX左矢印

コピペしながら15日のバージョンを手直ししたり、穴が埋まったり。今回両方ともフリーズが多くて残念。耐えてください。

 

 

8月29日

美しいと評判だったシン・ソンミンヨニン君。正直言うと声質のせいか表現力に硬さを感じる。感情的に崩れ落ちたり壊れたりしない、俳優としてはマイナスに働く安定性?

 

余談だが、今年出演したドタバタ喜劇ができるのか心配した驚き。結果的にはふざけた役を生真面目に演じる滑稽さに溢れていて成功していた。真面目に踊る変なダンスに笑った。

 

 

景宗は大学路の人気者チョン・ドンファ。人情のある彼なりの景宗を作り上げていて好きだった。

 

だが、並んだ時にソンミン・ヨニン君の方が兄に見えてしまうのがとても残念。

 

 

ホン・スチャン/粛宗にキム・ジョング。ホン・スチャンは宮廷人らしくてお似合いだった。

 

弱る景宗がホン・スチャンの膝に寄りかかると、親鳥がヒナを守るように袖で包み込むシーンは、景宗の哀れさと共に主従を超えた2人の絆に涙腺が緩んだ。

 

一方、粛宗にはソフトさが滲み出てしまう感じ。

 

 

全体として一人一人は熱演なのだが、この組み合わせは避けた方が良かった気もした。

 

 

〈景宗修正実録〉は印象深いナンバーも多くて、こんな時代劇をミュージカルにしてしまう韓国創作ミュージカルの幅広さに感心する。