マリーの誕生日。実験室でピエールが出かける時間だとマリーを促す。何か準備してあるらしい。
机の上に手紙と共にアンヌからのプレゼントが届いている。
手紙には夜間作業の連続で直接会いに行くことができない。工場で働く仲間のポーランド人にとってマリーはアイドルだと書かれている。
「ラジウムのお陰で明日は今日よりいい日になるだろう。私たちの体はラジウムでピカピカ光っている。私たちの人生のように。ラジウム工場で働けて誇らしい。私たちは元気に過ごしている。マリーも元気だろうか?会いたい。」
マリー:私がこんなふうに言ってもらってもいいのかしら。
ピエール:もちろんいいさ。
マリー:自分の好奇心から始めたことで、誰かのためにしたわけじゃないのに。
ピエール:それじゃあ、今からでもそうしてみるかい?君を信じて支持している人たちのために。
ジャーン。
マリー:それは何?
ピエール:プレゼントだよ。
マリー:論文ね。ラジウムで皮膚疾患が治癒したっですって?
ピエール:この医者によるとラジウムは一般細胞より病変細胞の方に強力に反応すると言うんだ。
マリー:そうするとラジウムが皮膚疾患以外にも使えるってことじゃない。…ピエール!私たち、これ、やってみましょう!
ピエール:今?おいおい、今日は君の誕生日だぞ。
マリー:ええ、私の誕生日だから。誕生日だからやってみようと言ってるのよ。本当に完璧なプレゼントだわ。本当にありがとう。
ええと、正常細胞、それから急速に増殖した腫瘍の塊。除去しても除去しきれず、無くす方法も確認する方法もなかった。ラジウムが放射線分解を起こす時発生するα線、β線、γ線。この放射線が細胞に照射されると一時的に損傷が起こるのよ。
ピエール:細胞の分裂、細胞死。
マリー:そう。正常細胞は急速に回復する。でも急速に増殖した腫瘍の塊は回復が不十分だから破壊される可能性がある。
もちろんこれは仮説に過ぎないけど。だけどここから、これが合っていれば…。
ピエール、ピエール、行ってケージを消毒して。マウスは十分でしょう?
ピエール:十分だ。
マリー:ギニーピッグ?
ピエール:いや、ちょっと待て。
マリー/ピエール:ラット!
マリー:11月7日、23:30、実験番号HG245-5。
ラジウムが病斑周囲の細胞を変化させた。
♪♪♪
予測できない
知られてもいない
何かに 心のすべてが惹きつけられる
この魅惑的で興味津々な仮説
私のすべてを燃え上がらせる
♪♪♪
ピエール:マリー、これを見てごらん。
マリー:放射線が確実に腫瘍細胞の増殖と生存を防いでいるわ。これならもう、臨床試験をしてもいいと思う。
ピエール:だが、この分野に投資してくれる人がいるだろうか?
ルーベン:なぜ私が協力を?
マリー:あなたは最後まで行ってみたいからです。
ルーベン:私の「最後」がどこだか分かるのかな?
マリー:これは、あなたが販売しているラジウム口紅や時計、コンドームとは違います。
ラジウムが、放射線が、癌を征服することができます。絶対に必要な仕事です。
ルーベン:いいでしょう。グレース病院財団側に話しておきましょう。
♪♪♪
予測できない
知られてもいない
激しい世界の只中で
粗末で質素なこの場所
広大な宇宙がここにある
♪♪♪
ピエール:マリー!
マリー:ピエール!あなたの言うことが正しかった!
あなたはプロポーズの時に言ったでしょ?
「僕たちの結婚は塩化ナトリウムの結合力くらい安定的だ」
ピエール:「安定的だ」
初めて会った時を覚えているかい?
「マリー・スクウォドフスカ」
マリー:「ピエール・キュリー」
ピエール:君がいつそんな風にした?こうやって歩いただろう?のっしのっし。それからいきなり実験室と仕事が必要だって。
マリー:「念のために言っておくが、僕は独身主義者なんです」
ピエール:おい、やめろよ。
タングステン!あの高価なタングステン。
生まれてこの方、それを欲しがる人を初めて見たよ。
マリー:あなたはどうなのよ。
「そちらはなぜこれをしているんですか」
ピエール:「マリー、あなたはなぜ科学をするんですか?」
マリー:「知りたいからです。知りたいのを我慢できないからです。ところで、それを実験と、科学と呼ぶんだそうです。そこでは私が誰なのかは重要ではありません。だからするんです、科学を!」
♪♪♪
可能性は充分
飛躍的な治療法
克服できなかった不治の病を治療するカギ
暗闇の中 絶望している大勢の人々
助けることができるなら
私たちがそうしてあげよう
ひとすじの希望
他のものは必要ない
私たちがそうしてあげよう
予測できない
知られてもいない
何かに 心のすべてが惹きつけられる
この魅惑的で興味津々な真理
私のすべてを燃え上がらせる
この魅惑的で興味津々な真理
私のすべてを燃え上がらせる
♪♪♪