生まれて初めて見たアイーダ。第一回目終わってからの感想は「ディズニーだね」
始まってしばらく、ふと、これは失敗したか?という考えがよぎる。パパ軍団が歌い踊る頃だったか。そこはかとなく楽曲が軽薄な感じ。衣装もエジプトなんだか、どこなんだか?舞台もガランとした印象。
その頃見ていた作品がシラノやベンハー、マリー・アントワネットや前述のドラキュラなど。どれも空間をフルに使った舞台装置多めの作品だった。それに慣れた目にはいたくシンプルな舞台に見えた。
まず観たキャスト。
1回目 2019/11/17
アイーダ:ユン・コンジュ
ラダメス:チェ・ジェリム
アムネリス:IVY
ゾーザー:パク・ソンファン
2回目 2020/1/22
アイーダ:ユン・コンジュ
ラダメス:キム・ウヒョン
アムネリス:チョン・ソナ
ゾーザー:パク・ソンファン
3回目 2020/2/1
アイーダ:ユン・コンジュ
ラダメス:チェ・ジェリム
アムネリス:チョン・ソナ
ゾーザー:パク・ソンファン
数年前からジェリムさんがものすごいと言う評判は聞いていたが、舞台で聴いたことは無かったのと、日曜のソワレで間に合いそうな作品がこれしかなかったという、若干不埒な理由で選択したアイーダ。
なので、ディズニーじゃん(当たり前)とか、曲が軽いとか、舞台がスカスカとか、罰当たりな感想を持ちながら観続けていたわけだが、いつしか作品に没頭している自分がいた。
コンジュ/ジェリムの歌声が交差し、ヌビアの民が歌い踊る。それだけで十分すぎ。アイーダが "Dance of Robe" で "그 걸로 충분해〜(クゴルロ チュンブネ〜)" それだけで十分!と声高らかに歌う、まさにそんな感覚。
ストーリーが進むにつれて雑念は消え、ナイルの豊かな流れに身を任せるごとく、圧倒的な歌唱に包まれて至福の時を過ごした。
IVYのアムネリスは高貴で美しかった。思ったよりも重みのある演技で、さらにまた彼女の発展した部分を見たような気がした。ベンハーの時だったか、ブルー・スクエアを普通に歩いている彼女を見たことがある。黒いスーツのようなお召し物だった。人間の顔があんなに小さくて良いものか?そして想像を超えた美しさ。人間があんなに美しくて良いものか?
がしかし、ソナさんのアムネリスは最高なのである。滑稽でキュート、素直で美しく、痛々しいながらも気高い。そして迫力がある!
初めて出会ったのはデスノートの初演時。本格的韓国ミュージカルを初めて観た日がソナさんとの出会いだった。まあ、グァンホ君との出会いでもあったが。
コンジュ/ジェリム、非の打ち所なし。3回ともコンジュさんだったが、もっと聴きたい気がする。
チョン・ナヨンさんは、グァンホ君のノートルダム・ド・パリでエスメラルダを演じた時に観たことがある。本人も知らずに滲み出る色気のあるのがエスメラルダだと思うが、そういうのは無くて純朴な高校生のようだった。歌は上手いのでアイーダにはハマるんじゃないだろうか。
ラダメスのウヒョンさんは、意外に悪くなかった。なぜそういう失礼な物言いになるかというと、アンナ・カレーニナのブロンスキーがあまり素敵でなかったからだ。なにかこう、私のイメージの流麗でセクシーなブロンスキーには合っていなかった気がする。でもちょっと野蛮なラダメスはお似合いだったと思う。実力はある方だ。
欲を言えばパク・ソングォンさんのゾーザーを観てみたかった。アンナ・カレーニナのMCが不気味でキレキレですごく良かったから。
アイーダは韓国ミュージカルアワードでアンサンブル賞を受賞している。それぞれの場面で活躍しているアンサンブルだが、ヌビアの民の場面は本当に圧巻だった。
何だかんだ、ディスりながら始まったアイーダ観覧だが、美しいフォルムと色彩で表現されているナイルの流れとか、今では素敵と思っている。3回観るうちには細部の理解も増してきて、フルに楽しめたと思う。
もしチャンスがあるならまた観たいとさえ思うが、それは叶わないので、最後のシーズンで観られたことは幸運だった。焦って駆けつけた価値はあったと言うもの。
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