アイドルのミュージカル 光と影 (前半) | 韓国ミュージカルを 訳しまくるブログ

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こんにちは、チョン・ビョンジュンです。
今日もスタジオから、昔からミュージカルを好きな方にはお馴染みの問題、ミュージカルをよく知らない方にも話題となりそうな、アイドルのミュージカルキャスティングについてお話しします。

きっと多くの反応があるでしょうし、アイドルのファン、ミュージカルのファンにとって聞きづらい話もあるかもしれません。しかしこの問題は僕たちが避けて通れないことだと思います。アイドルのミュージカルへのキャスティングによる肯定的、否定的な両面があることについて正確な事実に注目して、どうすればより肯定的な方に向かえるのか、考えたいと思います。

客観的なデータをもとに、得るものと失うものの話をしたあと、僕がアイドルと共演した時感じた長所短所をお話ししますね。

まず「アイドルのキャスティングは得か?失か?」

「得」1番目。市場が拡大します。アイドルがキャスティングされることによって、そのファンがミュージカルに流入し国民的にも親しみを持って近づけるようになります。おや、あのアイドルが出る、歌手が出る、それでより多くの人がミュージカルを見にくるし、それによって市場が拡大しますよね。

2017年現在インターパークの推算では3500億の市場だそうです。その前には半分程しかありませんでした。これは肯定的な効果です。市場が拡大することによって公演数と観客数が増え、ミュージカル俳優がキャスティングされる場が多くなり、業界のスタッフたちの仕事も増えます。

市場が小さいと言う事は製作者とか俳優、その業界のスタッフたちがだめになる確率がほんとに高いです。2000年代の初期だけでも、俳優に対する不払いが本当に多かったです。しかし現在はずっと少なくなりました。大劇場の数字もずっと多いし、公演全体で言えば更に多い。このように市場の拡大を呼び込んだので、アイドルのキャスティングは「得」です。

2番目。アイドルがミュージカルにキャスティングされる力で、ミュージカルのスタイルが変化しています。以前は声楽をされる方たちがミュージカルで盛んに頭角を現しました。多くの方が声楽とミュージカルの差をよく区別できないまま、当然ミュージカルを声楽的な発声で、声楽的なトーンと音楽をすべきだとお考えになった訳です。

しかしアイドルであると同時に年齢的にも若い俳優がキャスティングされて、ミュージカルは声楽だと言う形式が変わり始めました。実際あまりにも声楽的に歌うと、古臭く感じる可能性もありますよね。アイドルがキャスティングされたことで全体的なスタイルが良くなったと思います。

だから昔はインザハイツのような作品でも声楽的に歌おうとしたんですよ、たくさんの人が。すごく変わってきたのは肯定的な効果です。

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アイドルキャスティングは「得」だ!3番目。作品への投資の活性化。

以前はミュージカルが駄目になる場合が今より多かったと言います。今よりも。アイドルがキャスティングされたから作品が成功するだろうと、投資者が肯定的なマインドを持つので、ミュージカル投資の環境が良くなったと言う評価があります。ペンダムが5万とか10万とかであるなら、少なくとはその半分は来るだろうという単純計算ができるじゃないですか。

これまでミュージカルの製作者は投資を得るのが本当に難しいと言っていたんですよ。興業が成り立たないから。アイドルキャスティングの力でそれが容易になりました。アイドルの企画社でも投資をするし、だから「得」だという声があります。


さて、アイドルキャスティングは「失」だ、について話してみます。 量的な成長はしたが、質的な成長も同時に起こったか、についてはよく分かりません。僕は。

1番目。ミュージカル作品の質的下落です。これにはいろんな面があるでしょう。単純にアイドルをキャスティングしたから質的に落ちた(向上した)というのではなくて、アイドルはすごく忙しい。

何故かと言うと、ミュージカルをするのに…。これは映画撮影やドラマ撮影をしながらミュージカルをする先輩たちにも守ってほしい事です。ミュージカル公演に参加すると練習を2,3ヶ月します。その間はミュージカルに集中してほしいです。

少なくとも1週間に3,4回以上は出ていただいて練習も昼食ぐらいから夕食までは全員で練習するとか、そうやって親しくなって、1日中一緒に練習するからクオリティーがだんだん高まります。練習を1,2回するのと100回1000回するのではクオリティーが違いますよ。基本的に人間と人間が出会うことなので舞台でシナジーも出る効果があります。だから作品に集中すればクオリティーが高まります。

でもアイドルがたくさんキャスティングされますよね。そうするとアイドルは忙しいから、週に1,2回来る場合が多くて、来ても3時間練習して帰ってしまうようなことが多い。

でもこれはアイドルの罪ではありません。アイドルが練習が嫌で来ないわけじゃなくて、スケジュールがぎっしりなんでしょう。コンサートがある、ワールドツアーがある、地方行事がある、その中でミュージカル練習をしなきゃいけなくて、その最中にドラマも行かなきゃいけない。こんな風ではそのアイドルだってミュージカルに集中できませんよ。

こういう場合はそのアイドルも練習量が足りないし、1人で練習してきたとしてもどれくらいできると言うんですか。1人で練習する時間があれば来て練習するでしょう。

だからそんなスケジュールを消化しながら、ミュージカルを練習するんですよ、一人で。スマホの動画を見ながら。一緒に練習するようにはいかないですよ。息を合わせるときに少し合わなくなったりします。

そのアイドルが舞台に上がる日は全体的なクオリティーが少し下がる感じを受けざるをえません。そのアイドルの出演日だけを見ているファンの方には分からないかもしれませんけど、もともとミュージカル好きの方たちとか、他のキャスティングを見てからそのアイドルを見る日などは、差を感じる場合があるんじゃないでしょうか。全部ではないですよ。

ですから「失」1番目は、アイドルが忙しすぎるため全体的なクオリティーが下がる可能性がある。

それから、本人がミュージカルをやりたくないのに会社がやらせる場合もあります。

(後半へ続く)