「君に逢いたい。」
時折、そよ風の如くささやかに、
僕を撫でては消えていった思い。

いつしか、それは願いに変わり、
カマイタチの如き鋭さで、
僕をズタズタに切り裂き続けている。


僕が君を想う今このとき、君は誰のことを考えているのだろう。
僕はノラ猫。
心に虚無を抱えた猫。
安らげる場所を求め、ひたすら彷徨い続ける小さな猫。


空を見上げては、
名前も判らぬ誰かを呼び、
空を見上げては、
僕を呼ぶ声を探していた。

けれど今は。

空を見上げて
君の名を呼び、
空を見上げて
君が僕を呼ぶ声を聴く。

ねぇ、僕の声は君に届いているのかい?
他人から見たら他愛のない思いでも、果たして、自分の生きた日々の証になるのだろうか。


日記を書きたくなったことなんて一度も無かった。
だけど。
僕の中に溜まりゆく思いは、僕の意思などお構い無く、誰かに伝えて欲しがっているから。
だから、友達が誰も読まないような場所で記録してみる。もしも運悪く、この秘密基地を旅人が通りすぎたなら、僕の思い達も少しは酬われるだろう。


それでは、猫の戯れ言を始めよう。