ホームレス児童を描いた社会映画が突然の公開中止に | 周来友 オフィシャルブログ

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中国出身のジャーナリスト、タレント。
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今月10日から公開予定だった中国映画【野孩子(野生の子供)】が、突然の公開中止となったことが報じられています。中国メディア・新浪新聞(7月3日)など複数のメディアは、制作サイドが公式SNSで突然の公開を発表し、今後前売りチケットの返金対応を行うと伝えています。







この映画は、中国の人気アイドルで俳優の王俊凱(ワン・ジュンカイ)が主役を務め、テーマは「ホームレス児童」の現実について伝えるものでした。窃盗を重ねながら路上生活をする少年と家族に捨てられ同じく路上生活をする少年2人が出会い、社会のセーフティーネットからも除外された2人が力を合わせ生きていく姿が描かれています。

実際にあった話を題材にしており、中国の社会保障制度の不備も映画では表現されています。今回、映画が突然の公開中止となった理由は公式サイトでは言及されておらず、中国のSNSには「中国にはまだこうしたホームレス児童が存在していることを当局は認める訳にいかず映画の公開を差し止めたのではないか」「あまりにもリアルで敏感な話題だと判断されたのか」など、公開中止の背景に当局の関与があったと指摘する声が多く寄せられています。

映画を公開中止にしても、こうした現実は確かに存在しています。現実から目を背けることに力を入れるのではなく、国家として国民へのセーフティーネットをどのように手厚くしていくかに力を入れてほしいものです。