周来友 オフィシャルブログ

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中国出身のジャーナリスト、タレント。
公式ホームページ:http://zhoulaiyou.jp

中国・上海市で、70歳の女性がライブ配信の男性配信者に約4カ月半で336万元(約7300万円)を投げ銭し、家族の預金をほぼ使い果たしていたことが分かり、中国社会に大きな衝撃を与えています。事件は、高齢者の孤独やライブ配信業界の過熱した投げ銭文化、そして家族による見守り不足といった複数の問題を浮き彫りにしました。

報道によりますと、上海市に住む江さんは2025年11月から2026年3月にかけて、30代前後の男性配信者2人に巨額の投げ銭を繰り返しました。うち約280万元は微信(WeChat)のダンス系配信者に、約56万元は動画アプリ「抖音(Douyin)」の歌い手系配信者に送られたとされています。



江さんはもともと非常に倹約家で、日々の買い物でも数毛(数円単位)を気にするほどだったといいます。しかしライブ配信にのめり込んだ後は、配信者同士が競い合う「PK」機能に熱中し、配信者が負けて罰ゲームを受けることを恐れて、高額な仮想ギフトを何度も購入。1カ月の支出が94万元(約2000万円)に達したこともあり、口座に残った十数元まで投げ銭に使っていたといいます。

資金には自身の年金だけでなく、西部地域で勤務する息子が預けていた老後資金も含まれていました。息子が帰宅した際には、銀行口座の残高はわずか0.43元(約9円)しかなく、電気代15元も支払えない状態で、自宅の玄関には公共料金の督促状が貼られていたということです。

上海市精神衛生センターの診断では、江さんに抑うつや不安症状が確認されました。本人は「家庭の中で長年無視されているように感じていた」と話しており、ライブ配信の中で配信者から「永遠の守護神」「家族」と呼ばれることに、現実では得られない承認欲求や居場所を感じていたとされています。

一方で、家族が24時間体制で見守るようになった後も、江さんは夜中に元夫のスマートフォンを使って配信を視聴していたとされ、依存状態の深刻さも浮き彫りになっています。

事件をめぐっては、中国国内で責任の所在を巡る議論が広がっています。「投げ銭は本人の自由」という自己責任論がある一方、配信者側が「お姉さん、守ってほしい」などと心理的に依存させる言葉を使っていたとの指摘もあります。また、プラットフォーム側が高齢者向けの利用制限や警告機能を十分に整備していないことも問題視されています。

中国では近年、高齢者がライブ配信に巨額課金する事例が相次いでおり、社会問題化しています。専門家からは、高齢者向けの投げ銭上限設定や「冷静期間」の導入、地域コミュニティによる孤独対策の必要性を求める声が高まっています。