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周来友 オフィシャルブログ

中国出身のジャーナリスト、タレント。
公式ホームページ:http://zhoulaiyou.jp

このところ中国の病院では医療従事者が患者やその関係者から暴行を受けたり、中には殺害されるという事件が急増しています。香港メディア・東網(7月20日)は今月19日、浙江省温州市にある温州医科大学附属第一病院で、男性医師が男に刃物で全身を4箇所刺され死亡する事件が発生したと報じています。


【左の男が右の白衣の医師を襲っている】


男は19日午後1時頃、内科病棟に刃物を持って侵入。医師の首や背中などを刺し、その後病院の3階から飛び降り自殺を図りました。医師はすぐに緊急手術を受けましたがその後死亡が確認され、自殺を図った男の治療は現在も続けられています。

現地メディアによると、事件を起こした男の妻はこの病院で心臓の手術を受けていましたが、経過が順調とは言えず男は病院に恨みを募らせこの病院の医師を殺害することを決意したと伝えています。なお、殺害された医師は男の妻の手術や治療には無関係だったことも明らかとなっており、男が病院の医師を無差別に殺害しようとしていたとみられています。

中国でこうした事件が頻発する背景には、中国独自の医療制度も関係しているかもしれません。中国では原則、医療費の支払いが全額前払いとなっており保険の適用は、医療費の支払い後に申請し一部が返還されることになっています。また、高額医療制度についても都市戸籍を持っている人でも年間30万元(約600万円)を超える場合は自己負担となっているのです。

そのため、治療のため高額な医療費を支払ったにも関わらず結果が芳しくない場合、患者側が医師や病院に逆恨みするケースが多いのです。今後、こうした事件を防ぐためにも今回の男が事件を起こした背景を慎重に調べる必要があるのではないでしょうか。