浴衣を着ていた若者に批判殺到 歴史問題が背景に? | 周来友 オフィシャルブログ

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中国出身のジャーナリスト、タレント。
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中国ではこの数年、着物や浴衣を着用した若者が次々に周囲の人々から咎められたり時には警察に連行されるう事件が多発しています。これは、現在中国が「国民感情を害する言論や服装を禁止する」という法改正を進めていることが影響しています。

中国メディア・中華網(4月28日)は今月、重慶市内の人気観光地「南浜路」で浴衣姿で踊っていた若い女性2人が周囲の人々に囲まれ、罵声を浴びせられる事件が発生したと報じています。



事件当時、浴衣を着た女性2人と友人と思われる男性1人は周囲の人々に「お前たちは中国人なのになぜ着物なんて着ているんだ!」と罵声を浴びせられ、SNSに投稿された動画では突き飛ばされる光景も確認できます。重慶は日中戦争時代、日本軍による無差別爆撃が行われた地域で1万人以上の市民が犠牲になった場所でもあります。こうした背景から、周囲の人々は日本の象徴である浴衣を着ていたことに怒りを爆発させたとみられていいます。今回の事態を受け、現地の警察の出動し事態の沈静化が図られました。

中国メディアは、過去の歴史は尊重されるべきであり、国民感情を刺激する行為は行うべきではないと若者たちの行為を厳しく非難しています。しかし、重慶市では2016年に広島市との友好都市締結30周年記念のイベントとして、浴衣祭りを開催しています。

着物や浴衣の起源は平安時代にまで遡り、浴衣や着物が日本軍国主義の象徴であるとする中国国内の世論は矛盾することになります。海外の文化に親しみこれからの社会を担う若者を、メディアや年長者がこうした形で批判することはあってはなりません。