親の扶養は強制的義務 ネットからは不満の声 | 周来友 オフィシャルブログ

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中国出身のジャーナリスト、タレント。
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民法877条1項は「直系血族および兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定めています。子供が親を扶養する義務が法律で明記されている訳ですが、日本は社会保障制度が整備されているので、あくまで子供の可能な範囲での扶養義務ということになっています。一方、中国でも同様に子供が親を扶養する義務が法律で定められていますが、日本とは異なり強制的な義務という意味合いがかなり強いことが特徴です。


中国メディア・光明網(4月21日)は、親の扶養義務を果たさない子供2人について現地検察が起訴していたことを報じています。上海市内に暮らす80代の女性は、夫に先立たれ経済的に困窮していたため、日本の生活保護に相当する「低保」の申請を行っていました。申請にあたり、行政は女性の子供2人に対し扶養が可能か確認したところ、子供はいずれも母親の扶養を拒否し、収入証明などの提出も拒否したのです。




こうした状況について、行政からの報告を受けた検察局は子供2人に対し、収入証明の提出と扶養義務を果たすよう起訴することを決定したのです。子供たちは経済的理由から母親の扶養を拒否する構えをみせていましたが、結果的に可能な範囲で母親への生活費を支払っていくことが決まったのです。


中国のネットユーザーからは、「親から虐待を受けていた子供であっても強制的に毒親の扶養をしなくてはならないのか」「兄弟のいない子供の場合、1人の子供が両親と4人の祖父母を扶養していくことになる。行政や政治の責任は?」などの意見が寄せられています。


中国では一人っ子政策や晩婚化により急激に高齢化社会の波が押し寄せており、社会保障費が国家財政を圧迫しています。政府として、高齢者の介護について基本的に家族が責任を持ち、行政としては訪問ヘルパーの派遣を主軸とする制度となっています。親の扶養を強制とし、若者への負担を強いるこうした問題は今後、中国でも大きな社会問題となっていくのではないでしょうか。