中国の高所得者層200万世帯を突破 経済格差が顕著に | 周来友 オフィシャルブログ

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中国出身のジャーナリスト、タレント。
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中国で最も有名な富豪ランキングなどを発表している「胡潤百富榜(フージワーフ)」は、1000万元(約2億円)以上の資産を持つ世帯数について、2020年から4万世帯増え2021年に206万世帯を突破したことを発表しました。1000万元以上の資産を持つ世帯を都市別に見ると、北京市で約30万世帯、上海市が約26万世帯、香港が21万世帯、深圳市が8万世帯となっています。



コロナ禍でも富裕層が2%増加していることが分かる一方、今回の発表からは「富の集中」という現実も見えてきます。14億人の人口を抱える中国ですが、上位1億人に400兆円の資産が集中し、残りの13億人で30兆円の資産を持っているという計算になります。

先富論の提唱から間もなく40年が経つ中国では、経済格差が顕著となり、また戸籍による待遇の格差も今も存在し、生まれながらにして人生のほとんどが決まってしまうという現実があります。習近平政権は、経済の再分配を推し進めるため「共同富裕」を提唱し、個人や企業に対しては、自主的な募金を行うよう呼びかけ、税金徴収の制度強化に乗り出しています。

その一方、富裕層の間ではこうした政権の動きに危機感を覚える者も多く、中国から海外へ脱出する動きも徐々に増えてきています。中国政府はこうした富裕層の動きに監視の目を強めており、中国から海外への資金移動を制限する対策を行っています。富裕層の反発を招きかけない急激な所得再分配には舵をきれない政府の焦りも垣間見えます。