日本の俳優陣が出演の中国映画、公開初日で17億元(約272億円)突破 | 周来友 オフィシャルブログ

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中国出身のジャーナリスト、タレント。
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今月8日、昨年10月に公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の最新の興行収入が発表されました。公開から約4ヶ月で観客動員が2700万人を突破した同作の興行収入は歴代1位となる371億円を記録し、大きな話題となりました。一方、お隣の中国では春節初日、日本人俳優たちが数多く出演している日中合作映画がに公開され、僅か1日で17億元(約272億円)もの興行収入を上げました。公開初日の興行収入としては、世界最高記録です。

中国で大注目のこの映画は、《唐人街探案3(僕はチャイナタウンの名探偵3)》というシリーズものの3作目で、日本からは妻夫木聡さん、長澤まさみさん、染谷将太さん、鈴木保奈美さん、浅野忠信さん、三浦友和さんら中国でも絶大な人気を誇る、日本を代表する俳優陣が出演、東京のチャイナタウンを舞台にした探偵コメディ映画です。






中国からは人気俳優の王宝强、劉昊然が、タイからはTony Jaaが出演し、本国では公開前からアジア最強俳優たちが集結した話題作として注目を集めていました。新型コロナウイルスの影響で当初の予定から数ヶ月遅れ、結果的に春節映画として公開されることになりましたが、それが功を奏し記録的な興行収入となったようです。

中国メディアは、最終的な興行収入は60億元(960億円)を超えるだろうと予測しており、2017年に公開された中国アクション映画“戦狼2”が記録した過去最高興行収入56億元(約896億円)を塗り替える可能性も出てきました。

ちなみに、アメリカハリウッド映画の最高興行収入は、2015年公開の“スター・ウォーズ フォースの覚醒”が記録した9.36億ドル(約930億円)です。

市場規模が米ハリウッド映画とも拮抗するようになった中国映画。今年は新型コロナウイルスの影響で春節に旅行に行く代わりに映画を楽しむ人の数が増加したことも、興行収入を大きく伸ばした一因となっているのでしょう。

その一方、不発に終わった映画もあります。昨年公開されたディズニー実写映画・ムーランです。中国の歴史をベースに、中国出身女優リウ・イーフェイが主演を務め、コン・リーやジェット・リーなども出演する話題作として公開前から世界的な注目を集めていました。しかし、香港デモが起きた際、主演女優のリウ・イーフェイがSNS上で香港警察支持を表明したことから、同作に対する世界的なボイコット運動が巻き起こり、興行収入が予想を大きく下回る結果となったのです。





今後、日本の映画界の中国進出はますます加速していくことでしょう。しかし、その裏にある政治的リスクや、言葉一つでその市場を失ってしまう可能性についても、よくよく理解しておかなければなりません。