ワシントン条約で国際取引が禁止されている象牙。しかしながら、世界中で密輸が行われていることは言うまでもありません。
そんな象牙の密輸に、ある中国人が大きく関わっていたことが海外メディアの報道で明らかになりました。その中国人とは“象牙の女王”と呼ばれる象牙密輸の黒幕です。
今月19日、広大な自然と野生動物の宝庫として知られる東アフリカのタンザニア連合共和国で象牙の密輸を行っていた中国人女性の裁判が行われ、懲役15年の判決が下され、8700万元(約14億円)を科せられました。この女は、名前を楊鳳蘭といい、象牙の密輸を行っている密輸組織のリーダーとして国際的に知られていました。その女を捕まえたのは世界的に有名な環境・動物保護活動家です。
2017年8月16日、タンザニア国内の公道で1人の白人男性の遺体が発見されました。男性は南アフリカなどで象の保護活動にあたっていたウェイン・ロッター氏でした。同氏は非営利団体を創設し、タンザニアを始めとするアフリカ諸国で象牙などの密輸組織や野生動物の密猟組織を壊滅に追い込むなど、環境保護活動家として大きく活躍していた人物です。
また国際的に有名な環境・動物保護基金会、PAMS基金を設立し、これまで32000頭以上の象を救出。そして2015年10月、ペーパーカンパニーを通じ14年もの間、世界で象牙の密輸を行っていた楊鳳蘭を逮捕したのです。
楊鳳蘭は2000年から2014年にかけて、タンザニアから象牙約2トンを密輸したといい、これにより4000頭の象が犠牲なりました。
今回の楊鳳蘭の裁判については中国外交部も記者会見で、「中国政府は海外での中国人保護に全力を尽くしているが、今回の楊鳳蘭のような犯罪者は現地の法律に従い厳しく裁かれるべきである」と、厳しい態度を見せています。
同被告は1970年代からタンザニアに住み、中国とタンザニアの貿易に大きな影響力を及ぼしてきました。今後新たな経済ベルトが中国とアフリカで結ばれることになったことで、同様の犯罪が横行することが危惧されています。現在4万頭にまで激減したタンザニアの象。さらなる犠牲が出ないようにするためにも、こうした犯罪がさらに厳しい態度で裁かれること願うばかりです。