どうも、えびです。


今回は私の大学紹介 part2 でございます。これで慶應の、特に「商学部」に入りたい!という受験生が増えればいいかなーなんて思ったりしてます。
(この記事、日本への留学希望者がみてるらしいので、できるだけ簡単な日本語を使って書いていきますね。)



まずは商学の学問的立ち位置から説明していきましょうか。

商学は経営学・商業学(マーケティング)・会計学を包含します。記号で書くなら商学⊃経営学・商業学・会計学です。

じゃあ、経済学は?と思われた方はたぶんいないと思いますが、経済学は商学の土台となっています。


経営学                    商業学                   会計学
    ↑                            ↑                           ↑
                                経済学


図示するとこんな感じ。ですので、商学部ではミクロ・マクロ経済学が必修科目(単位を取らないと卒業できない科目)になってます。



では、具体的に掘り下げていきます。

まず、経済学

ミクロ経済学はみなさんお馴染みの需要・供給曲線についてです。「需要曲線ってどういう理論であの形になったのか」、市場の失敗、ゲーム理論などを一通り学びます。

需要曲線は消費者の効用最大化という土台から展開し、効用関数、予算制約などの条件を加味してあの曲線を導いていきます。
供給曲線は企業の利潤最大化を土台とし、費用を最小にしながら、価格-コストが一番大きくなるように供給量・価格を設定し、供給曲線を導出しました。
これは経済学・経営学・商学で絶対に学ぶべき基礎であり、3回は授業で教え込まれます。

ゴールデンウィークに旅館の価格を高く設定し、6月には安くするピークロードプライシングも経済学の知識である「需要の価格弾力性(消費者がどれだけ価格に敏感か)」を用いた戦略であり、マーケティングも経済学が土台となっています。


で、最近マーケティングの教授がおっしゃっていたのですが、経済学と商学の大きな違いは「製品差別化」にあるそうです。
製品差別化とは、多様なニーズをもつ消費者に合わせて、生産者が1つの商品にいろいろな機能をつけ、他社の製品と区別することです。

商学では当たり前のことですが、経済学では違います。

経済学で想定されるのは、単一で、区別のない1つの商品を無数の供給者が市場に供給することを想定しています。
また、消費者は多様なニーズをもっているにも関わらず、その商品しか買わないと想定されています。

経済学における車市場の例:
車メーカー→車(一種類)→消費者

ここで、スマートフォンを例にあげると、経済学ではスマートフォン市場に関してiPhoneのみが存在していると仮定されています。
一方、現実では、iPhoneだけでなく、Androidもありますし、Androidの機種にも様々なモデルがあります。それは消費者が多様なneedsを持っているため、それぞれの生産者が1つの製品に異なった機能をつけ、結果として消費者は異なった生産者から他社とは異なった商品を購入します。

商学におけるスマートフォン市場の例:
アップル→iPhone→消費者
SONY→Android(XPERIA)→消費者
Samsung→Android(GALAXY)→消費者
             


マクロ経済学は「GDPってどうやって決まるのか?」、「ソローモデルって何?」、金融・財政政策などを学びます。
たとえば、不況に陥った時、政府は赤字国債を発行すればGDPは成長するのか?などを検討します。(答えはNo)

また、日本銀行の金融政策が今、現状どうであり、これからどうすべきかというのも勉強しました。

しかし慶応商学部全体で見るとマクロを勉強している学生は少ないように感じます。ゼミもマクロを扱っているゼミは少なめです。経済学部だとマクロやってそうですね。



まとめると、ミクロは個々の市場に着目して、その因果を解析する学問で、マクロはその個々の市場を集積して、1国全体・世界全体で経済活動を分析する学問ということです。


・経済学の1分野
経済史は日本の経済がどのように発展していったかを学びました。家電に着目したり、製鉄に着目して、その発展の仕方を論理的に学んでいきます。正直退屈な授業でした(笑) 

社会経済学はアダム・スミスやマルクスの理論を学びました。(100%理解したとは言いがたいけど)
世界史の知識があると分かりやすいかなーって思います。これも退屈でしたが、単位を取らないといけなかったので仕方なく受講した感じです。



次は経営学ですかね。

企業のトップはどうあるべきか、会社を作った人の息子が経営する企業って業績いいの?(意外と良い)、企業は市場で生き残るためにどのような戦略を取るべきか、日本の終身雇用制って終わったの?(→終わってない)などを学びます。
これらは日吉(慶応の1~2年)の時に学ぶ内容ですが、日吉の経営学は本当につまらなかった。
慶応商学部は3年生でゼミ(少人数セミナー)に入り、各々の専攻分野について学びますが、私は経営学を選びました。自分から学ぶ経営学は今までの経営学とは全く異なり、とても面白い学問だと思います。
経営学は1つの企業をマクロ的に見て分析する学問であり、その企業にとってより良い企業形態は何か(事業部制orカンパニー制or持株会社)や、どういった事業を組み合わせればよりシナジーを産み出せるのかを考える学問だと思います。
一方、1企業をミクロで見た場合の学問がマーケティングであり、その事業をどうやって発展させるのかがマーケティングの意義だと思います。 

経営学に関しては以外の記事で詳しく述べているので気になった方はリンクを踏んでください。
・「経営学」



会計学。
これは履修してないので詳しく語れませんが、ここでは基本簿記(必修)の話をしますね。

企業のお金の状態を一目でわかるようにするのが簿記と言っても過言ではないですね。簿記で企業状態の資料を作るために企業が行ったお金の移動を記すやり方を学びます。
これは四則演算ができれば誰でもできますが、ルールを覚えるのが苦痛。
貸借対照表や損益計算書は株をやる上でとても重要な企業情報だと思います。
経営学では会計学の知識も必要とされます。企業の貸借対照表は企業がどこからお金を調達し、どのような資産でそれを保持しているのかを示してくれます。
一方、損益計算書は企業の利益が十分上がっているか、どこで利益が上がっているかを明示する重要な資料です。その見方を会計学で学びます。



次は商業学。
「消費者に商品を買わせるにはどうしたらいいか?」がテーマの学問だと思います(まだ履修したばかりでよく理解していませんが)

たとえば、エンド陳列という販売促進方法があり、これは棚の端に目玉商品を置き、消費者に買わせることです。というのも、人の目は真ん中にある商品より、端の商品に目がいくから。これを利用して、利益の出る(マージンの大きい)商品を端に置く戦略もあるとか。




◯一般教養科目(総合教育科目)
慶應独自?の授業。慶應には文系学部でも実験を含む授業があります。化学・物理・生物があります。授業に出てれば単位とれるけど3時間の長い授業で僕にはとても・・・。

慶應商学部の履修の仕方はこれを取るか取らざるかで大きく変わってきます。

僕はこれを取りませんでした。これを取らない人はどういう人かというと、ほぼほぼ数学系の授業と心理学を履修する人になります。




では、数学系の授業の紹介。

商学部生必修なのが、微積分と統計学です。

微積分:高校数学の数Ⅲとそれを越えた部分を学びます。極値問題を解くのが最終目標みたいです。内容としては、合成関数の微積分や、テイラー展開、置換積分や部分積分、2変数関数の微分や重積分をやります。
b方式で入った人はa方式・内部・AO・指定高の人とは別のクラスで、より基礎からやります。


統計学は二年生。
回帰分析の基礎中の基礎である、最小二乗法を自分で導出します。
そもそも回帰分析とは何かですが、Xが1単位増えたらYがどれだけ増えるか知るために行うものです。
端的に言えば、回帰分析はy=ax+bのaを求めることです。(厳密に言えば違いますが)
例えば、身長が1cm伸びたら体重が何キロ増加するか?を知りたいわけです。そのために多くの身体測定のデータを集め、統計分析します。
普通は統計ソフトが産出してくれますが、基礎中の基礎なので電卓を使って自分で産出します。
が、ほとんど公式の暗記なので大したことないです。
3年生では最小二乗法が使えない時にどういったモデルを使うかを学んでいきます。


で、必修じゃない数学好きがとる総合教育科目(般教)の授業は、線形代数・確率論基礎・ゲーム理論基礎・中級微積分・中級線形代数・微積分演習・線形代数演習が用意されてます。

実はこれらを二年生のうちに取って、三田でさらに数学系の科目を取ると数学強化プログラムの認定がおりて、賞状がもらえるそうです。就活に使えるかはわかりませんが無いよりは話の種になるでしょ!


線形代数:行列ばっかりやります。途中でベクトルもちょっと出てくる。みんな分かんないので教授も分かりやすく教えてくれます。四則演算が大切。

確率論基礎:今のところ高校の確率問題みたいなのをやってる。確率分布までやるとかなんやら。

ゲーム理論基礎:ある戦略的状況に置かれた時に、賢明かつ無慈悲な人間はどう行動し、相手の出方にどう対応すべきかを問題とする学問。
例えば、ビジネスで人が誠実に振る舞うのは、その人が道徳的だからではなくて、欲深いからであることが多いのはゲーム理論が働いている。教授が7回ぐらい授業休んでて笑った(全15回。なお、テストにも教授が来ない模様)
ナッシュ均衡は学んで損はないと思う。産業組織論でも出てくるほど有名。あと囚人のジレンマも。
ゲーム理論って、相手がどう行動するかを考えて自分がどう行動するかを決める学問だと思う。自分が取るべき行動を一番大きいとされる利得(数字)で決定するから数学系の授業に分類されてる。

数学系はこんな感じ。



心理学:商学部生が知っておきたいことをメインに授業が行われる。

例えば、

↑確立ではなく、正しくは「確率」ですね。



出典


こんな感じのことを学びます。



次に、ゼミナール(研究会)の説明をします。商学部のゼミは3年生4月から4年生1月?まで活動します。
2年生の終わりの春休み(3月)にゼミ試験があります。

慶應商学部は人数が多いだけあって、ゼミの数も多く、30以上あります。またゼミによって特色や研究領域が違うのでオープンゼミや個別説明会に参加し、よく調べてから入りたいゼミを決めるのがおすすめです。

また、履修してきてほしい総合教育科目(リベラルアーツ)一覧もあり、それをみると、経営学や会計学・商業学のゼミは数学系の知識が必要ないみたいですね。
一方、国際経済学や金融・保険、計量経済学のゼミは数学の知識がいるみたいです。
また、マーケティングの本場はアメリカですので、マーケティングのゼミに入りたければ英語をしっかり勉強しておくといいですね。英語の本を輪読(1人が発表者になって担当箇所をみんなの前で解説する)したりするみたいです。

ゼミは4つの分野にわかれています。
経済学・会計学・マーケティング・経営学です。
マーケティングを学びたければマーケティングのゼミに入り、それを2年かけて約20名前後のゼミ仲間と協力しながら己の知識にし、卒業論文を書いていきます。
ゼミでは、統計ソフトの使い方を勉強したり、研究分野の本を輪読したり、グループで論文を執筆したり、グループディスカッションをするそうです。

僕はまだ二年生で、ゼミに入ってないので、このゼミナールについては3年生になったらもっと詳しく書いていきたいです。

【追記】
今3年生で、無事ゼミに入ることが出来ました。
やはり1・2年生の授業は基礎中の基礎と言った感じで、3年生のゼミでようやく面白い学問に出会えたなぁと感じています。
ゼミではとにかく発表する機会がたくさんあり、発表の準備の段階で自分の知識にしておかないと発表できないので、そういった意味でもゼミでの学びはかなり強烈なものだと思います。





〜(ここから留学生にはあまり関係ない話)〜

で、最後に外国語。

普通は英語と、ドイツ・フランス・スペイン・中国語の中から一つを選びます。

中国語はやめとけ。商学部で一番きついって噂。毎週小テストあるクラスも。

楽っていうか、分かりやすいのはスペイン語かな。発音もほとんどローマ字読みだから英語より楽に読めるようになる。

最初は第二言語とかやりたくねーよと思ってたけど、第二言語を使って旅行したいって考えるとモチベーションがすごい上がる。あと、言語を多く学ぶってのはタバコを吸わないとか、毎日運動することに匹敵するほど良いらしい。

それに、3ヵ国語話せるって普通にかっこいいよね。

ためしに簡単な自己紹介すると、

「こんにちは。くろっていいます。20才です。慶應義塾大学に通っています。」

Hello! My name is Kuro. I'm twenty years old. 
I go to Keio university.

Hola! Me llamo Kuro. Yo tengo veinte anos. 
Voy a la universidad Keio.


ね?(強要)



で、商学部生は入学式の前の日にTOEICを強制的に受けさせられ、その結果で英語のクラスが決まります。
クラスは初級・中級・準上・上級で、初級はほぼ内部生なのでなんとしても中級に入りましょう。上級は帰国子女と英語の天才しかいないみたい。クラスが上がるにつれて課題や授業内容も段違いになるみたいなので中級が一番いいと思います。

一年の1月の期末テスト前にもう一回TOEICを受けさせられて、その成績で二年生の英語のクラスが決まります。中級に残りたいですね。

クラスはリスニングの結果でコミュニケーションのクラス、リーディングの結果でリーディングのクラスが決定します。



疲れたー。まじで、大作だわ。

もし、今回の記事に書いた学問領域に興味があれば、ぜひ、慶應商学部へ!慶應で待ってます。

質問、感想があればコメントお願いします。



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(私が専攻する学問について述べたものです。商学部の1分野に属するので興味が湧いたらぜひ商学部へ!)


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(大学に入学してからの後悔や苦悩がいっぱい書かれています。個人的に面白いのでぜひ)


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