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地震

 皆様いかがお過ごしでしょうか。

 筆者のところは、震度こそ5強でしたがCDが散乱しただけで大事には至りませんでした。心配だったスピーカーもぐらついたものの落下は免れました。

 地震発生時は丁度はんだ付けの最中でしたが、幸い火事もなくほっとしています。DACの完成はもう少し先になりそうです。


 しばらくは節電ですね。

DAC製作開始

 パワーアンプが完成してエージングも進んでそろそろいい頃合いになってますが、0dBアンプなのでMAYA44e直結では曲によって音量不足。そんなわけでDACを作ることにしました。

 完全自作ではなく、以前USB-HPAとの比較にも出てきた「USB Sound Blaster Digital Music Premium HD」をベースにします。


ZFS free space-DAC


 画像は入出力端子及びボリュームを取り払って基板だけにした状態。DACから先のLPFは別回路で組むのでカップリングコンを外して端子を出しています。コンデンサーはともかく、端子を取り外すのがとにかく大変で苦労させられました。

 こういった外付けオーディオプロセッサーでは、ONKYO製をベースとした改造例が多く紹介されている一方で、本製品のものは殆ど見つかりません。オーディオメーカーのイメージが強いONKYOに対して、CreativeはPCパーツのイメージが強いのでしょう。長らくSoundBlasterシリーズは音楽鑑賞に向かなかったというのもあります。

 ただ今回は、同じ旭化成DACでもSE-U55SXが「AK5385B」採用に対して本製品は「AK4396」。それでいて本製品の方が安いので改造元として決して劣るものではありません。


 パワーアンプの音質評価は近いうちに記事にするかと思います。実は殆どまとめてあるのですが、音量不足でクラシックなどが満足に聞けないので出すかどうか迷っていました。今回は不完全でも、上流まで揃えての比較に意味を見出すつもりです。

改めてダイナミックレンジを考える

 オーディオ機器のスペックで、最も重要視されているのはダイナミックレンジではないでしょうか。というわけで、再生という観点から改めてダイナミックレンジについて考察してみます。


 そもそもダイナミックレンジとは何か。正確には「識別可能な信号の最小値と最大値の比率」ですが、オーディオ的にはS/N比と言った方がなじみ深いかもしれません。両者は基本的に同義です。


 順を追ってソースの話からしましょう。

 リニアPCMの場合、ワード長1bitあたり約6dBのダイナミックレンジを持ちます。よって、CDのダイナミックレンジは96dBとなります。これはスペックからの逆算ですが、ぱっと言われても納得できないという方は16bit/0dBのホワイトノイズを作ってfoobarにスキャンさせてみましょう。
ZFS free space-SNR
 foobarのリプレイゲインの基準は89dBなので、ダイナミックレンジは94.82dBとわかります。リプレイゲインは人間の聴覚に合わせて補正がかかっているので厳密ではありませんが、96dBという数字がデタラメではないと理解してもらえるかと思います。

 同じ理屈でDVDの24bit音源は144dBとなります。SACDはDSDというCDとは別の標本化方式が使われているので単純比較はできませんが、一般的に120dBと言われています。また、アナログ音源であるレコードは65dB程度、こちらは計算値ではなく実測値です。


 ソースのダイナミックレンジがいくら広くても再生機器がそれを再現できなければ意味がありません。というわけでプレイヤーのS/N比を見てみましょう。

 純粋なプレイヤーであるレビンソンのNo512で108dB、ASUSのサウンドカードXonar Essenceで124dB、独立DACであるエソテリックのD-07で130dBとなります。あくまで公称値ですが、メーカーが理想的な環境で測定した場合にはこれぐらいということです。

 一方、スピーカーに繋げるパワーアンプはと言えば、S/N比に優れるTrアンプでLUXMANのB-1000fが118dB、音がいいと話題になったD級アンプICのTA2020は99dB、真空管はと言えばエソテリックのA-100が98dBでした。

 御覧の通り、最新の機器からしてみればCDの96dBという数字は大した問題ではないのです。一方で、144dBおろか、実質的な制約であるパワーアンプでは120dBを超えるのも至難の業です。デジタルデータで理論上144dBを出せても、実際のアナログ回路ではハイスペックオペアンプのLME49720でも130dB程度です。パワーアンプを通した状態では実質120dBが限界でしょう。そういう意味ではDVD-AudioとSACDに実用上のダイナミックレンジの差は存在しません。


 スピーカーにS/N比という概念は存在しないので、次は人間のダイナミックレンジです。人間の耳のダイナミックレンジは120dB~130dBと言われています。だからと言ってピーク120dBで音楽を聴こうものならうるさくてとても耐えられるものではありません。現実的にはピーク110dBが限界となります。ちなみに、この110dBという数字はコンサートで演奏中出る最も大きな音の音量とほぼ一致します。

 よって、実用上の最大値が110dBだからCDの96dBではスペック不足であり、SACDやDVD-Audioの方が音が良いという理論が成立するように見えますが、もちろん違います。


 最後に検討するのは部屋のノイズフロアです。住宅街のノイズフロアは深夜で35dB程度、昼間は50dB程度となります。防音対策を施した部屋でも20dB程度で、スタジオもおよそこの値です。最も理想的な環境であろう防音室でピーク110dBの再生をしても体感できるダイナミックレンジは90dBが限界なのです。なお、ピーク110dBははっきり言って耳に悪いので正直オススメしません。プロの演奏家でも慣れるまではコンサート後の数日間耳がキンキンして大変だそうですから、日常的に聴くような音量ではないのです。

 ところで、これまでピーク110dBで再生することを前提としてきましたが、防音室でもない限り近所迷惑です。現実的には、大音量で再生するといっても耳に80dBも届けば十分です。そして、環境に恵まれた静かな部屋でも昼間であればノイズフロアは40dB程度ですので、体感できるダイナミックレンジは40dBとなります。となれば、CDどころかレコードでも十分です。普通に再生する分には、ダイナミックレンジに関してはレコードは何らCDに劣るものではないのです。


 以上、現在の再生機器がいかにハイスペックかを語ったわけですが、それがオーバースペックだと言うつもりはありません。S/N比を上げることで音質を上げるというアプローチは決して間違っていませんし、技術屋がスペックを追求するのはある種当然のことです。ただ、オーディオですから追求すべきはあくまでも音でなければなりません。S/N比があまり低いのも不安ですが、80dBもあれば十分でそれ以上は音についてきたオマケだという認識をする必要があるのではないでしょうか。また、であるからこそスペック競争をする必要のない自作オーディオの強みが生きてくるわけですが。