踊る小悪魔 -7ページ目

踊る小悪魔

会社の先輩に恋をしました。

とある金曜日。


ごめんごめん。


私は席へ戻った。


「電話の相手、名波さん?」


ミドリちゃんがおもむろに言う。


えっ、何で?


「澪ちゃんが“お疲れ様です”って出たから、会社の人かなと思って」


鋭い。


うん、ちょっと今日の事で確認したいことがあったんだって。


「何だったの?」


まぁ、いいじゃん。


「教えてよぉー」


一瞬、電話のやり取りを聞かれてたんじゃないかと不安になる。

でも、もしそうだったら自ら切りこんでくるはず。


上手い言い訳が見つからなくて言葉に詰まる。

ミドリちゃんの期待は高まる。


仕方が無い。


実は今日の午前中さ、

行く予定だった現場に行かずに名波さんの手伝いしてたんだ。

流れでお昼も奢ってもらった。

だから

「こういうの、新人全員に平等には出来ないからあまり周りに言うなよ」

ってくぎ刺された。

ミドリちゃんには今こうして言っちゃってるけど、

ここだけの話にしといてね。


今の電話の内容ではないけれど

話に嘘は一つもない。


「澪ちゃんずるーい!」

ミドリちゃんはふくれっ面をしている。

納得してくれたようだ。

とある金曜日。


仕事が終わった後

ミドリちゃんとご飯を食べていた。


あの一件があってから、

ミドリちゃんは猫宮さんの話をほとんどしなくなった。

それが無くても

話のあちこちから

楽しく研修していることがわかるので

羨ましく思いながら聞いていた。


そろそろ帰ろうかとなった時

名波さんから電話が来た。


席を立って電話に出る。


お疲れ様です。


お疲れ。今終わったよ。


お疲れ様です。

今、ミドリちゃんとご飯食べてました。


そうなんだ。

じゃあ今日は止めとく?


ていうか、本気だったんですね。


いつだって本気だよ?

今日は珍しく早く終われたから。


もう今から帰る所ですよ。


そうなんだ。

じゃあ一緒に行ってくれる?


いいですよ。


じゃあ君の家の方向に向かって走っとくから

待ち合わせる場所決めてまた連絡して。


了解です。


私は何食わぬ顔で席に戻った。

とある金曜日。


遊び人の条件反射と

新人の社交辞令のやり取りも

だいぶおなじみになった頃、


夜景見に行きたいわー


食べ物が夜景に変わった。


少し遠いけど、行ってみたい所があるんだよね。


そうなんですかー

行ってらっしゃい☆


えー、一緒に行こうよ(笑)


ご飯奢ってくれるならいいですけどー?


周りは私たちのやり取りを

「またやってるー」と半ば呆れつつ笑ってる。

いつもならこれでおしまい。

実現することなんて、無い。


夕方、車内で二人になった時。



で、本当に夜景行くの?


続くんかい。


二人で、って事ですか?


一人で行くのはさびしいし

大勢で夜景見に行ったってしょうがないじゃん。


ですねー。。。


・・・ま、俺が仕事早く終われるかどうかわからないし。

もし早く上がれたら連絡するよ。


あ、了解です。


何だ、この展開。