とある金曜日。
ごめんごめん。
私は席へ戻った。
「電話の相手、名波さん?」
ミドリちゃんがおもむろに言う。
えっ、何で?
「澪ちゃんが“お疲れ様です”って出たから、会社の人かなと思って」
鋭い。
うん、ちょっと今日の事で確認したいことがあったんだって。
「何だったの?」
まぁ、いいじゃん。
「教えてよぉー」
一瞬、電話のやり取りを聞かれてたんじゃないかと不安になる。
でも、もしそうだったら自ら切りこんでくるはず。
上手い言い訳が見つからなくて言葉に詰まる。
ミドリちゃんの期待は高まる。
仕方が無い。
実は今日の午前中さ、
行く予定だった現場に行かずに名波さんの手伝いしてたんだ。
流れでお昼も奢ってもらった。
だから
「こういうの、新人全員に平等には出来ないからあまり周りに言うなよ」
ってくぎ刺された。
ミドリちゃんには今こうして言っちゃってるけど、
ここだけの話にしといてね。
今の電話の内容ではないけれど
話に嘘は一つもない。
「澪ちゃんずるーい!」
ミドリちゃんはふくれっ面をしている。
納得してくれたようだ。