踊る小悪魔 -10ページ目

踊る小悪魔

会社の先輩に恋をしました。

まるで中学生。


猫宮さんの課は「研修は研修」の方針なので

よっぽど忙しくない限り定時に上がることができる。


私の行っている課は

定時に上がれることなんてめったにない。


だから帰社すると

ミドリちゃんたちはすでに帰った後・・・

のはずなのに。


定時から平均1時間後、私たちが帰社すると

ミドリちゃんだけはいつも

出勤簿を定時でしめておきながらも

一般職の先輩たちの手伝いをしつつ楽しくおしゃべりしている。

もちろん、そこには猫宮さんも一緒。

私のグループが出勤簿を書いて

着替えに行こうとすると

ミドリちゃんも切り上げてくるので

おそらく私たちを待っているが故の行動なのだろうと思っていた。


だけどある日のこと。

ものすごく疲れて帰社した日、

相変わらずミドリちゃんは楽しそうにおしゃべりしてて

しばらく扉の前で待ってみたけれど

ミドリちゃんは帰る気配が無いどころか

こちらを見向きもしていない。


そこでふと思った。

ミドリちゃんとは一緒に帰る約束をしているわけでもないし

ミドリちゃんから「待ってた」感を出された事もない。

定時でさっさと帰るのも一人で帰るのもなんとなく寂しいから

なんとなくいるだけだったんじゃないの?


・・・もういいや、帰ろう。


私は皆に挨拶をして

素早く着替えて

一人で退社した。

悪いのは私?


相変わらず猫宮さんの話す今日の出来事は

ミドリちゃんの復習で。

明らかにテンションが低い私を

猫宮さんは気づかってくれた。


最近なんか疲れてない?


研修で疲れてるんですよ、たぶん。


・・・アイツが何を思って澪ちゃんにそんなに細々と話すのかは

俺には全くわからんけど

俺はただの後輩としか思ってないからね。


フォローしてくれるのは嬉しいけど

フォローされればされるほど

自分の小ささを感じる。


猫宮さんは講師役として

楽しく研修を受けてもらおうとしているだけ。


ミドリちゃんはミドリちゃんで

研修を楽しんでいるだけ。

それを純粋に私に伝えようとしているだけ。


私が我慢すれば。

理解すれば。

割り切ればいいだけの話。


・・・無理だ。

耳をふさぎたい。


ミドリちゃんが猫宮さんと仲良くやっている時期、

私は社内で最も忙しい課で研修していた。


とにかく人出不足なそこの課は

新人も頭数として考えていて

研修ではなく作業をさせられた。


それはそれで面白いのだけど

毎日違う場所で

毎日違う人に付いて

研修で平和ボケしている頭で

1分でも早く正確に作業をするのは結構疲れるもので。


そりゃミドリちゃんも辞めたいって言うわな。

と、妙に納得しながら過ごす日々。


そんな時期に

ミドリちゃんの楽しくてしょうがない毎日を話されても、

上手く反応出来ないのは仕方がないと思うの。


ただでさえ猫宮さんのことばかりだし。


猫宮さんがミドリちゃんにちょっかい出すのは

以前からなので

嫉妬とかやきもちはそんなに無いのだけれど

さすがに毎日目の前に付きつけられたらうんざりする。


あいづちが日に日におざなりになってるのは

自分でもわかってた。