無事にポンコツ君が復活したので、車両火災で燃えた配線の復活方法について書いておきます。
今回はふたつの方法を試しました。
まず現状は以下の通り。
・スイッチONでエンジンは掛かる
・スイッチOFFでエンジンが止まらない
・キーを抜いてもヘッドライトは点灯したまま
・その他電装系全滅
ココから復活させます。
↓作業準備
作業しやすくするためボンネットを外す。キャブは邪魔にならないのでフィルターを外したのみ。もちろん車体後部のバッテリー端子も外してある。

↓ヒューズボックス
現状写真を撮っておく。車検などの際に必要なところをその都度テキトーに配線してるので、どこに何が来ているかよく判らんの。写真は撮ったけど今回は配線図を元に作業したため純正と同じ並びに戻りました。ライトの消し忘れ防止のため、スイッチをOFFにすると電装系も全て切れるように加工してたのが他の車と同様にライトが点いたままになる仕様に戻った。

↓焼けた配線の発掘作業
先の尖った工作用カッターナイフで焼けた樹脂を切ったり削ったりしながら金属ワイヤーを剥き出しにしていく。

↓概ね剥き出しにした
ただ、かなり毛羽立っている。ほとんど千切れかけのものもある。完全に切れているものも数本。

↓ビニローゼ塗布
方法①として、先ずはビニール被膜を作ってくれる樹脂塗料を使ってみた。出来るだけ広げて単体のワイヤーにしたところで刷毛を使ってビニローゼ原液で塗りたくる。半乾きになったところでさらに塗り重ねて被膜を厚くしていく。

↓ビニローゼはお勧め!
今回はチャレンジだけだったけど、ビニール被膜を作れるのは色々役立つよ。
コレは別の用途に購入していたものだが、自分で修復作業をやる気になったきっかけにもなった。ビニローゼで樹脂被膜を作れるから上手くいけばこれだけで修理できるかも…と淡い期待をもって作業にはいったのだ。
使った感想を言うと、数本が焼け焦げた程度の軽い症状であればこれだけで修復可能であると思います。配線ごことに上手く被膜を作ることができればしっかり絶縁してくれる。
ただ、わがポンコツ君は思いのほか重症だったようだ。乾燥後のテストではあっという間にショートして火花が飛んで煙が出た。
車載状態のまま被膜の無いワイヤをあっち向けたりこっち向けて塗ってるうちに、せっかく塗ったところが擦れて被膜が剥げてしまうようだ。さらに毛羽立った配線から処理しきれなかった細いワイヤがちょこちょこ出ているため完全に絶縁することができなかったらしい。
仕方ない。方法②として、焼けた部分を新品の配線と入れ替えるしかない。
純正のハーネスにはたくさんの色が使われているため、同じ配色は望むべくもない。いくつかの色が入ったワイヤーセットを太さを合わせて購入。全部黒でも問題ないが、作業中に判別しやすいようにするため色が複数あったほうがよい。
全てのワイヤーの焼けた部分だけ入れ替えていくことにしたが、既に焼け切れているワイヤーは何処に繋ぐかそれぞれを調べる必要がある。
↓パワープローブを使用
エンジンに置いてある赤い針状のツール。どの部分につながっているかを判別するのに便利なテスターで、バッテリーから電源を取って配線に針を当てると、電気の+- の極性や導通をチェックして、さらにスイッチを入れれば電気を流してパーツを作動させたりできる。間違ってショートさせるとブレーカーが作動する優れもの。

↓安価なパワープローブ
私のはSnap-on製なので高価。これは安いけど評価が良いので充分使えると思います。
↓別途購入した皆さん
ワイヤー、カシメツール、切断ツール、カシメと絶縁を同時にできる熱収縮コネクタ。実はカシメ用のツールは持ってなかったのだ。安物の電工ペンチ1本で今まで凌いでたが、今回のためについに購入した。早く買っときゃ良かった。メチャ簡単にきれいな接続ができた。

↓ついに購入カシメツール
なぜもっと早く買ってなかったんだろう…、今までの苦労とは…
↓サイズは色々あるよ
シリコン被膜は柔らかく作業しやすいが、ビニール被膜より滑りが悪いのかちょっと引っかかり易いかな。銅線はちゃんと撚線なので普通に電気配線できます。
↓配線を入れ替え中
被膜の残っているところで切断してコネクタを接続。反対まで似た色の配線を引っ張っていき、同様にした反対側コネクタと接続する…という手順を繰り返した。最初は差し込んで軽く止めておいたら何かを引っ掛けて抜いちまった。慌てて何本か記憶のままに戻したが、自信のないところは仮止めにしておいた。

↓マジお勧め!
金属チューブだけのは以前から使ってたが、収縮チューブ付きなので簡単に配線できた。最初ミスもあったので50個をほぼ使い切った。
このコネクタはカシメたあとにヒートガンでピンクのカバーを加熱すると綺麗に防水加工できます。画像には写ってないと思うが、今回はこれに加えてカシメ不要の真ん中がハンダになった製品も使用した。
↓メチャお勧め!
なんと真ん中部分がハンダになっててヒートガンの熱で溶けて溶着する。ハンダ付けが苦手な人でも手軽に確実な結線が可能です。
いずれも時短効果が素晴らしい製品で、非常にお勧めできます。
↓ついに復活!
前に置いてるのはクッションで、立膝ついて1日作業してると膝が痛くなるから。なーかなか全部が点かなかったウインカーが正常に点滅するようになるまで丸々1日作業した。左右のウインカー配線は別だし、左サイドの1つだけさらに別配線が必要だったりするのだ。アホ―、判るか―!

同様に復活までにかなり苦労したハザードは、配線ではなく結局リレーが焼死していたことが原因だった。
最後まで判らなかったポジションランプのうち、後部は配線入れ替え作業中に取り違えを起こしていたことが原因。二つ上の画像中にテープで仮止めしていた線がそうで、怪しいと思ってカシメてなかった部分。この線で前のポジションランプが点灯したので問題ないと思って仮止めしていたが、やはり取り違えていた。後部も同時に点けるためには別の線に繋ぐ必要があったのだ。
ドアキー、エンジンキー、給油口キー、と鍵だけで最低3つ必要なのと同じく、後で付け加えられたものが多いローバーミニが整備士に嫌われる理由がここに見えてくる。
古い設計が基本にあり、法規の変化や国別対応するなどにより継ぎ足し継ぎ足し配線されているので非常に解りにくい。左右や前後でランプ類の線が全部違ってたりするのだから配線の色が判別できないとどこに使われているのか判断できないのだ。
自分でもドライビングライトを別リレーで配線したり、etcやドラレコを追加するなど付け加えた電装系も多い。さらにクーラーを外したり、オーディオを外したりもしてるので不要な配線もあるのだ。
導通が無いものも含めると、使わなかった配線は合計7本あった。それぞれ極性を書いたうえで漏電が無いように処理している。
試運転したところでは、最初ドラレコとタコメーターの動きが少し不安定だったが、走るにしたがって安定動作するようになった。灯火類はもちろん問題ない。
注文していたリレーが間に合わなかったが、ハザードはウインカーリレーに差し替えたら正常動作することを確認しています。
それ以外の灯火類の点検を動画にしたのでご覧ください。
↓灯火点検からエンジン始動(45秒)
およそ3日間と、ずいぶん時間がかかったけれど、痛いやけどを負ったポンコツ君はこれで完全に復活した。
さすがは、私 !
やるなー、私 !!
すごいぞ、私 !!!
でも、普通は配線を焼かんのだよ、私…
【おまけ】
↓ハンターカブパンク修理
ミニの作業中、お母さんがハンターカブをパンクさせて帰ってきた。
同時に作業したが、チューブタイヤの修理は久しぶりのためゴム糊が硬化して使えず、近所のバイク用品店では修理キット1,600円、新品チューブ1,700円とほぼ同等。迷わずチューブ交換した。
