• 「兎に角、任命拒否を取り消せ。」としか言わなくなった、「学術会議問題」社説 朝日&毎日

 「学術会議なんて、未だあったのかよ。」って人も、相応に在るのでは無いか。未だ在って、なにやら「改革案」を出したんだそうな。


 で、これを受けて、これを高く評価して、朝日と毎日が「学術会議問題を解決しろ」と主張する、平たく言って政府は任命拒否を取り消せ」って社説を掲げている・・・のだが、特に朝日の社説が、非道いねぇ

 

  • 【朝日社説】学術会議改革 任命問題の決着が先だ

  • 学術会議改革 任命問題の決着が先だ

  https://www.asahi.com/articles/DA3S14868487.html?iref=pc_rensai_long_16_article

 

2021年4月13日 5時00分

 

 日本学術会議が組織や運営の見直しに向けた「素案」をまとめた。21日から開く総会で議論し、正式決定する予定だ。

 

 制度の欠陥や不都合を正し、時代の要請に応える機関にするための改革はもちろん必要だ。だがその前に決着させなければならない問題がある。

 

 言うまでもない。学術会議が推薦した会員候補のうち6人の任命を菅首相が拒否し、「会議は210人の会員で組織する」という法律の規定に反する状態が続いている問題だ。

 

 国家が研究活動に介入し戦争に動員した反省に立って、憲法は学問の自由を保障している。そして、「特別の機関」として戦後設立された学術会議について、政府は「推薦された者をそのまま会員として任命する」旨の国会答弁を繰り返し、会議の独立性・自主性を尊重すると国民に約束してきた。

 

 首相はそれを覆し、説得力を欠く発言を重ねた。拒否の理由を明らかにするよう求める声に対し、NHKの番組で「説明できることと説明できないことがある」と述べた。為政者は説明できないようなことをするべきではない。

 

 人事で組織を思い通りにしようとする。説明しないことで疑心暗鬼を生じさせ、忖度(そんたく)をはびこらせる。議論を交わして理解を得る努力をせず、国会を軽視する――。安倍政権から続く体質を象徴する振る舞いだ。

 

 学者が萎縮すれば学問の自由は成り立たない。首相の言動に世論の批判が強まると、政府与党は学術会議の改編を持ち出して論点のすり替えを図り、不信をいっそう深めた。

 

 今回、学術会議は改革の「素案」をまとめたものの、任命拒否を受け入れたわけではない。総会でも問題の解決を求める決議がされる予定だ。

 

 この間、前政権時代に学術会議側が官邸の意向に沿い、定員を上回る人数を会員候補として示すなどしていたことがわかった。国会答弁を逸脱する要求に応じたことが、任命拒否を生んだともいえ、当時の執行部の対応に疑問が寄せられている。梶田隆章会長が厳正な姿勢で臨む考えを示したのは当然だ。

 

 喫緊のテーマである感染症対策にとどまらず、環境破壊、気候変動、格差・分断の拡大など難題が山積し、広い視野で科学的・専門的知見をもつ人々と政治部門との協働が、これまで以上に必要とされている。

 

 日本の学界を代表する学術会議の英知を社会に生かすことが求められるまさにその時に、不正常な事態が続くのは国民のためにならない。首相が任命拒否を撤回することから、関係の再構築を図るべきだ。

 

 

  • 「決着」ならば、着いている。任命拒否、だ。

 それは、それとして、だ。

 

  • 「学問の自由侵害」は、何処へ行ったんだ?


1> 学者が萎縮すれば学問の自由は成り立たない。【パラグラフ7】

 上掲朝日社説で「学問の自由」が出て来るのは、上記1>と、冒頭近く【パラグラフ4】の、

2> 国家が研究活動に介入し戦争に動員した反省に立って、憲法は学問の自由を保障している。

だけであり、本「学術会議問題」即ち「学術会議への新たな会員候補に対する政府の任命拒否」に関係するのは、上記1>「学者の萎縮」だけである。

 本「学術会議問題」勃発当初、朝日はその社説で「学問の自由侵害」とぶち上げ、在ろう事か当の学術会議自身も左様に主張していた、にも関わらず、その後の朝日社説も上掲朝日社説も「学問の自由侵害」は背景に下がって随分と小さくなっている。それだけ、当初ぶち上げていた「学問の自由侵害論」の「分が悪くなった」と言うことだろう。

 大体、政府が「学術会議会員候補者に対する任命拒否」をしたぐらいで「学者が萎縮し、学問の自由が成り立たない」ならば、学術会議自身が創立以来実に3回も繰り返して出している軍事に関わる研究禁止宣言」で、どれ程の「学者が萎縮」し、「学問の自由が侵害されている」か、一度でも朝日なり学術会議なりは、考えたことが在るのかね?

 東京新聞社説のように、「平和国家は、軍事に関わる研究は禁止するのが当然だ。」と主張するならば、未だ筋は通る。左様な「論理的裏付け(*1)」も無く、事実として「軍事に関わる研究禁止宣言で学問の自由を侵害している」学術会議に対し、「学者が萎縮すると学問の自由が損なわれる」から「学者が萎縮しないよう、学術会議会員候補は全員無条件で政府は承認しろ。」ってロジックであり、主張である。上掲朝日社説は。
 即ち、上掲朝日社説は明らかに、論理的に、「学術会議による学問の自由の侵害である”軍事に関わる研究禁止”を、政府は看過しろ。と言っているのである。

 「軍事に関わる研究」が国の存亡をも左右しうること、を別にしたとしても学問の自由侵害者を、”学問の自由”の美名の下で、放置放任しろ。」という主張が、上掲朝日社説である。

 さ、あらばこそ。「軍事に関わる研究禁止宣言で、学術会議が学問の自由を侵害している」事には(臭わせて、こそは居るが)触れもせず、「兎に角、政府は任命拒否を取り消せ。」とだけ、主張している、らしい。

 全く、説得力が無いな。

  • <注記>
  • (*1) これとて、「平和国家・平和主義は、学問の自由に優先する」って、結構な暴論である。暴論ではあるが、論理にはなっている。 


 

  • 【毎日社説】学術会議の見直し案 任命拒否問題が未解決だ

学術会議の見直し案 任命拒否問題が未解決だ

 

毎日新聞 2021/4/10 東京朝刊 English version 830文字

 

 日本学術会議が、政府の要請を受けて進めていた組織改革の素案を公表した。

 

 政府と自民党は、政府機関から独立した形態を検討するよう求めていた。だが、国を代表する学術機関として現在の形が最も望ましいと結論付けた。政府はその内容を尊重すべきだ。

 

 政府が学術会議の改革を求めたのは、菅義偉首相が昨年秋に学術会議の会員候補6人を任命しなかったことが問題化した後だ。世論の批判をかわすための論点すり替えと指摘された。

 

 

 学術会議は任命を再三求めてきたが、半年たった今も首相は応じていない。

 

 人文・社会科学系の部会は約1割が空席のままだ。欠員が続けば、政策提言などをとりまとめる活動に影響が出かねない。

 

 このため、学術会議は6人のうち5人を、首相の任命が必要ない連携会員や特任連携会員とすることにした。

 

 

 会員への任命が見通せない中での苦肉の策だ。暫定的な措置であり、学術会議は引き続き6人の任命を求めていくという。

 

 根本的な問題は依然として解決されていない。

 

 任命を拒否された加藤陽子東京大教授は、その事実と経緯を「歴史に刻むために」、特任連携会員への就任を希望しなかった。連携会員として参加することになったメンバーも、任命拒否問題が置き去りにされていることに違和感を訴えているという。

 

 

 学術会議は政府の要請に応えた。次は首相が応える番だ。

 

 学術会議の設置法は、会員を「会議の推薦に基づいて首相が任命する」と定めている。6人もの欠員が出ている不正常な状態を解消する責任が首相にはある。

 

 首相は当初、任命拒否について「総合的、俯瞰(ふかん)的観点からの判断」と繰り返した。テレビ番組で追及されると「説明できることとできないことがある」と開き直った。そもそも国民に説明できないようなことはすべきではない。

 

 学術会議の活動を正常に戻さなければ、国の損失につながりかねない。任命を拒否した具体的な理由を示さず、異常な状態を放置し続けることは許されない。首相は直ちに6人を任命すべきだ。

 

  • 「学術会議の活動正常化」と言うならば、先ず「軍事研究禁止宣言」を撤回しろ。話は、それからだ。

 再三繰り返す通り、学術会議は「軍事研究禁止」を宣言することで学問の自由を侵害している。上掲毎日社説は、当該「学術会議問題」を「学問の自由侵害」とはしていないが、「学術会議の正常な(ないし、理想的な)活動」には「学問の自由」が不可欠であるとは、私(ZERO)も(朝日社説と同様に)認めるところだ。

 それ故に、章題にした通り、「学術会議の活動正常化」には「学問の自由が不可欠である」が故に、「学術会議の出した軍事研究禁止宣言の撤回も不可欠」である。

 何やら屁理屈をこねて、「任命拒否された学術会議会員候補を、学術会議会員では無い別の関係者にした」なぁんてことは、とてもじゃぁ無いが、「活動正常化」とは程遠い。寧ろ、「姑息な弥縫策」である。

 そんな学術会議の「姑息な弥縫策」に対し、政府が答えて「譲歩すル」言われなぞ、全く無い。
 
 諄いようだが、繰り返しておこう。政府の諮問機関としての学術会議が正常(ないし理想的)に機能するためには、「学問の自由」は不可欠だ。その為にこそ、学術会議は、三度繰り返して出している「軍事研究禁止宣言」を撤回すべきである。

 学術会議が「軍事研究禁止宣言」を撤回したところで、「学問の自由」を十全に保障するモノでは無いが、これは少なくとも必要条件であろう。