前田慶次郎ゆかりの里
私からお勧めの書籍。

出羽の国で合戦あり
越後(新潟)、百二十万石という大名上杉家。
慶長五年の九月八日、25000の軍勢を率いて
最上の領へ出陣する戦があった。
歴史に名高い慶長出羽合戦にも上杉方で加勢しているかも。
既に前田家を出奔していた慶次郎、義勇というか傭兵の如き上杉家仕官後に長谷堂城の戦があり、慶次郎も豪腕の助っ人として参戦したのだとか。
苛烈を極め両陣営に多大な死者が出ました。
天下の乱は血を好み、時は流れ…
関が原合戦の後に移封され、米沢の地で家臣と苦節の果てに
30万石の領地を開墾していきます。
そうした戦国の覇者が徳川の時勢となり、家臣を連れ
雪深い米沢の地で新たに過酷な国づくりの日々。
京を離れ… 上杉景勝、直江兼続を慕うように東北の
厳しい自然に身を置く慶次郎もまた隠棲となるのです。
漫画では若く描かれますが、既に壮年といえる年齢。
晩年を堂森の地に生き、質素な無苦庵と呼ばれる屋敷
を終の棲家とする余生を語られています。
あの豪奢で知られる前田慶次郎が上杉家で小禄の生活。
四季の草花を愛で厳しい冬を越し春を待つ暮らし。
村落の人々と苦楽を共にし、京の華やかさと無縁の
静かな余生を悠々自適に暮らせたのでしょうか?。
慶次郎の生活の姿や息吹が感じられる場所。
米沢の城下町を紹介するHPからお借りしました。
慶長十七年(1612)年 六月 四日、この堂森で死去。 墓と碑も善光寺にあるという趣旨の伝承?。
あのウイット?過ぎる超人的な体躯の前田慶次郎。
死んだと流説を残し、その後も諸国を傾奇く旅をした
気がしないだろうか。
源義経が奥州で自刃したとされ、実は大陸に渡り
モンゴルの王… チンギスハーンとなった伝説がある。
いかがでしょうか、前田慶次郎も漂泊の旅人に。
生き抜き諸国を巡り、何処とも知れず土に還った。
誰にも触れられぬシークレットな魂の旅を続ける。
… 空想でも、そんな余生なら幸せだろうか。


この碑文にあります… 月見平
伝説にある前田慶次郎が風流な月夜に酒盛りをした高台。
供養塔から墓地を歩き、裏の山間に登っていきました。

急遽、造成された細い道が整地されています。
かなり急坂なので女性は足元にご注意を。
各所に … 行き先を示した石板が目印。
朱槍が指す方向を頼りに歩いていきましょう。

以前なら獣道のような、酷い雨になると泥濘るみそう。
誰も知らず、滅多に人間が登らない筈の場所ですから。
有名になり、この夏も墓参りした大勢の人の痕が…

気の利いた演出ですね、慶次郎なら朱槍とは。
次は左に、示されるままに薄暗い藪の道を進みます。

海からも遠い… 山形の晩秋は早いでしょうか?。
広葉樹の生い茂る山、秋になると紅葉で美しそう。

石版を注視していても?見落としそうな

月見平に行く途中、手前の右下に道が分かれます。

そこに見えたのは、今回の話題となった慶次郎の墓。
注意深く斜面の道を降りていきます。

夕闇に浮かぶ墓標、前田慶次郎様のお墓がありました。
なんだかもう … 胸が熱くなり 泣けてきます。

あらたに建立されたという立派な墓石。
ただ?飾られた献花が散らかされています。
カラスの仕業でしょうか?。
堂森に来て驚かされたのは、野生のニホンザルがいます。
この場所の数百メートル手前の道路で群れの猿に遭遇。
しかし、親子の猿たち… 大人しいので害はなさそう。
写真があればいいのですが、刺激しないように通過。
慶次郎を訪ねてきて猿に会うとは、面白いエピソード。
もちろん山の反対側で、この墓もある場所にいません。

見る程に、他人と言う気がしないから不思議な親密感。
小説や漫画の影響なんでしょうか?。
時を越えて誰かに愛されたからこそある墓標。
慶次郎殿の墓石に力強い文字が刻まれていました。
格闘家の角田信朗さんが書道で入魂の文字です。
動画もご覧ください。

傍らに古い切り株も… 絵になりますね。
腰掛けてキセルで煙草を愉しむ慶次郎を想像しそう。

静まる大気の余韻。 ほんのりと涼感が漂います。
私も一礼して手を合わせ、歴史に消え再び息吹を得た
人物との暫しの邂逅に浸るのでした。
さて、焼香もしたし… また月見平への道を登ります。
今宵は月になるでしょうか?。

博識な武人で益荒男の典型、世情で傾奇者とも呼ばれ。
望まぬ殺戮の咎も無く嫌な処世の人間にあいそを尽かし
隠棲し名も遺骸も人知れず消えていこうという人生の
メンタリティーを推し量るのは現代人にも容易でない。
羞恥心を忘れ暗愚と淫ら、賎しい心根で欲心の醜態が
信仰心まで詐称と争いの道具にする現世も然り。
大豪の傑物にしてすら、名声も出世もいらぬ境地。
過ぎた干渉を嫌い 世人に騒がれず静かさとありたい。
いまの世も風と共にあり、前田慶次郎の魂魄は自由だ。
そんな気持ちを感じた米沢への参拝でありました。
綴る文面では? 終わりそうな雰囲気ですが(笑)、
まだ終わらぬのが… 傾奇いたブログお付き合い。
次なるは、月見平 の章でございます。
天下無双の朱槍を振るう武者は、温情と優しさの人でもありました。
前田慶次郎ゆかりの里
Sail on~風に向かって 令 多映子
彗星画廊☆写真集 HP
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