KKR札幌医療センターの敷地内薬局を巡る入札妨害の裁判で、きのう、検察側の論告求刑があった。偽計入札妨害罪についてで、贈収賄の話はこれまでいっさい出てきていない。

 

 検察側は医療センター元事務部長について「動機は自身の評価向上を図る利己的なもの」として懲役1年を求刑した一方、弁護側は「私利私欲でなく病院のためだった」として執行猶予付きの判決を求めた。

 

 うーん、やはり動機がナゾだ。組織内での自分の評価向上を図る、あるいは、いくら職場に対する忠義が篤かったとしても、退職間際に違法行為をしてしまうというのは、どうしても解せない。下手をすると退職金を失ってしまう、そう考えるのがふつうだろう。少しばかりの手柄に比べて、リスクがあまりにデカい。

 

 それでも不正な入札事務が行われたとなると、日ごろ行われている他の入札事務、契約事務についても、公正さという点で疑わしいというか、ルーズな処理が横行している可能性を思わざるを得ない。そしてその理由は、契約事務についての不勉強、認識不足、レベルの低さだろうか。

 

 特に、公募型プロポーザル、公募型企画競争といった契約方式は、従来型の価額のみ競争入札に比べて、「評価」が加わる分、書類と契約までの事務作業が多様になる。通常の競争入札同様に、書類の取り扱いは、開札まで厳格に取り扱わなければならないが、それが逆にルーズだったとなると、他の組織はどうなのかと大いに心配になる。公募型プロポーザル、公募型企画競争は、国や地方自治体、その他公的機関でも広く行われている。

 

 

 「契約事務の手引き」があったとしても、いまより細かく書き込む必要があるのではないか?例えば競争参加者には、企画提案書及び価格提案書提出の際の封緘や、差替、訂正、再提出ができないことを明記して通知するのは当然として、実施する事務方の取り扱いも、提案書提出後の保管管理について、出し入れの際は複数職員立ち合いのもと施錠、開錠、複写など、細かく規定して示さないと、公正な契約事務という意識が醸成されないのかもしれない。

 

 きのうの最終弁論で、被告の弁護人は刑法の解釈や有識者の見解などを例に「センターの企画競争は随意契約の一種であり、刑法上の『公の入札』には当たらない」と主張したそうだが、4/18の裁判所の判断がどうあれ、契約事務はつねに公正に行わなければならない。

 

 入札契約を実施する側にも参加する側にも、牽制と緊張が働くルールであるよう、できる組織は、一斉再点検したほうがいいと思ったところなのだ。できないところは‥放っておくしかない‥のか。

 

ニュースの疑問 札幌市豊平区の病院入札妨害事件 | 玄冬シニアの心象日記 (ameblo.jp)

ニュースの疑問 札幌市豊平区の病院入札妨害事件 その2 | 玄冬シニアの心象日記 (ameblo.jp)