7年前まで、病院の敷地内に保険薬局を見ることはなかった。それが規制緩和により設置できるようになったのは、「一体的な構造」の解釈が変更になったからだという。

 

  調べてみるとそれまでは、たとえ敷地が隣接していたとしても、いったん公道に出ないと医療機関と薬局の行き来ができないよう、わざわざフェンスを設置するといったことも行われていた。他の調剤薬局がねたみから、行政指導を求めて病院隣接薬局の構造をチクるといったこともあったらしい。 

 

 しかし、車いすを利用する患者や高齢者などにとって不便であるとの指摘があり、国の規制改革会議は、患者の利便性の観点から、「フェンスが設置されるような現行の構造上の規制を改める」とした答申を出した。これが、規制緩和の元々の目的らしい。

 

 ところが、これが病院側にとってはいいことずくめで、患者に喜ばれるうえ、土地の賃貸料などが確保できる。一方、薬局側も、病院の規模が大きいほど安定収入が見込めるから、両者にとって好都合になった。

 

 特に附属病院を持つ国立大学などは、資産有効活用を図るための措置として、法改正により国立大学の土地を第三者に貸し付けられるようになったことから、北大について道新が報じたような、高額な寄付金や宿舎建設といった“悪乗り”ともいえる例にまでエスカレートしていたというのが、今回の入札妨害事件の背景にあった。

 

 さて、事件関連のニュースを見ていると、疑問その他、色々考えさせられる。 

 

・このテの事件はだいたいが内部リークから発覚するが、やはりそうだろうか?

・容疑者の退職から逮捕まで1年以上経っているが、贈収賄はなかったんだろうか?

・なかったとすれば、不正の動機は何か?高校野球部の OB 同士というだけで退職間 

 際に違法行為というのは、何とも解せない。

・やはり、トップに諫言できない職場風土だったのか?

・病院ぐるみの入札妨害行為という可能性はないのか?

・組織全体の遵法意識が低いのではないか?KKR本部の責任は?

・支払い済みの容疑者の退職金はどうなるか?全部又は一部の返納を命ずる処分を行

 うことが“できる”規定はあるか?禁固刑以上の場合、どう運用されるか?

・「捜査に協力する」という病院側、薬局側の談話はヘンではないか?捜査機関でも

 あるまいし、家宅捜索された側のコメントとしては、真摯に対応するほかないだろ

 うと思うが‥。

・特定の医療機関の処方箋が集中する敷地内薬局は、厚労省が推進するかかりつけ薬

 剤師・薬局の考え方に逆行してないか?