厚労省、不正請求問題でとうとう訪看ステ全国調査 企業のシェア争いはどうなる
「この問題は共同通信が報じ、顕在化。報道を受け厚労省が動き出した形だ。医療機関などに対する全国一斉調査は、訪問看護では初めて。医療保険の訪問看護の利用者は約57万人で、年間費用は6千億円以上。不正・過剰な報酬請求は医療費が無駄に使われていることになり、国民負担に跳ね返る。」 ということだが、問題の舞台は、末期がんや難病の患者が暮らす住宅型有料老人ホームと呼ばれる施設での訪問看護サービス。「ステーション」の実体はなく、ホーム内に“併設”の形をとっている書類上の「ステーション」である。したがって、実地調査に入るとすれば、場所はホーム内ということになる。 運営主体は株式会社などの営利法人が多く、2年ほど前の日経新聞の記事によれば、ホスピス型住宅を運営するアンビスHD、日本ホスピスHD、シーユーシーの3社を「上場大手」としていた。上場とは、資金を集めるため証券取引所で株式を売買できるようにすることだ。 このうち、東証プライム(上位の株式市場)のアンビスHD(「医心館」)や、同じ東証プライムの、ホスピス型住宅ではないが神経難病のパーキンソン病患者を専門に受け入れるサンウェルズ(「PDハウス」)が不正請求問題の震源なので、調査の動向が注目される。ホスピス型住宅大手の診療報酬不正請求事件 調査報告書もヌルい | 玄冬シニアの心象日記 業界内の動きも興味深い。日経新聞か記事で「上場大手」とした3社のうちアンビスHD以外の2社は、今年の4月に幹事会社となって、事業者が提供するホスピスケアの質を向上させるためとして「日本ホスピス住宅推進協会」を設立した。アンビスHDの不正請求が大きく報じられた翌月のことである。 しかし、設立から8か月たった現在、活動状況が分かる掲載はなく、9/1にホームページを開設したこと、新聞にインタビュー記事が掲載されたこと、クローズアップ現代に登場したことしか載っておらず、いまだ団体としては活動できていないようだ。NHKとの関係ができ、アンビスHDがつまずいているいまが差別化の好機のはずだが、どんな思惑でいるのだろうか。日本ホスピス住宅推進協会 ちなみに、共同通信記事が掲載されたきのうから今日にかけて、アンビスHDの株価はダラダラと下がり、その後やや持ち直したものの終値438円は、上場来最高値3,840円(2023.2.13)からみて8分の1以下になった。サンウェルズは終値339円で、最高値時(3,880円)の10分の1以下である。業界の信頼が低下しているのか、同業他社も右肩下がりの傾向が続いているようだ。 厚労省 が1月から行うという全国調査で、新たな悪材料が出るかもしれない。それを好機にシェア拡大を図りたい事業者にとっても、調査動向から目が離せないだろう。問題をこんな視点で見ていれば、何か面白いものが見えてくるかもしれない。”ホスピス型住宅”急増 介護・ケアの質は? | NHKニュース | クローズアップ現代NHKクロ現『~‥急増“ホスピス型住宅”とは?』が言わなかった国の責任 | 玄冬シニアの心象日記