アランドロン「冒険者たち」 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 

フランスの映画俳優アラン・ドロンが死んだ。

そして、昭和四十二年、十九歳の時の夏、

初めてアラン・ドロンの映画を観たときの記憶が甦った。

その時、僕は大学受験浪人だった。

多分、本を買うために、独り、天王寺に出た時のことだ。

近鉄百貨店の前の南北の道を南に五十メートルほど歩いたところに映画館があった。

その映画館では、

アラン・ドロンとリノ・バンチェラーが主演する

映画「冒険者たち」をやっていた。


複葉機を操縦してパリの凱旋門のアーチをくぐり抜けようとする男(アラン・ドロン)と、自作のエンジンを搭載した車で地上速度世界一を樹立しようとする男(リノ・バンチェラー)が、

パリ郊外の多くの廃車が捨てられている場所の倉庫で共同生活をしていた。

そこに、廃車になった車の部品を組み立ててオブジェを造っている芸術家の卵の娘が、ふとした切掛で来るようになった。


まず、アラン・ドロンが、

凱旋門をくぐり抜けることに挫折する。

同時期、リノ・バンチェラーも自作の車に乗り込んで

地上最高速度に挑むが、

車が爆発炎上する直前に脱出して、倉庫に舞い戻る。

そして、倉庫で顔を合わせた二人は、何も言わないが、

二人とも、それぞれ夢が挫折したことが分かる。

そこで、しばらく無為に過ごした後、

二人は、

ダイヤなどの宝石類や金がどっさり入った鞄を手錠で自分の腕に結びつけた大富豪が、

飛行機で内戦の勃発したアフリカの植民地から脱出する途中、

アフリカ沖で墜落し、その機のなかに大富豪に抱えられた宝石の入った鞄が眠っている事を知り、

その鞄を海中から回収する為に、潜水訓練を始める。

そこに、個展が酷評されて失意の娘がやってきた。

そして、娘は、

どういう訳か、潜水服を着て潜水訓練をしている

二人の男の様子を見て、微笑み、

そして個展の失敗を告げてワンワン泣く。

二人の男は、フランス人らしく、娘の身体をなで回して慰め、

共に失敗した男と娘の三人は、

アフリカに一緒に行くことになった。


そのアフリカで、いつの間にか、二人の男は、

その一人の娘を好きになってしまう。

しかし、彼女は、

不器用なリノ・バンチェラーを好きになっていたようだ。

そして、三人は、

ついに水中の飛行機を見つけて財宝を手に入れるが、

その直後、それを狙う無法組織の攻撃を受け、

彼らを撃退するが、彼らが放った銃弾により彼女は亡くなってしまう。

そこで、失意のうちにフランスに戻った二人の男は、

彼女の分け前を彼女の親族に渡そうとして、

彼女の生まれた貧しい漁村を訪れ、

彼女の甥の可愛い少年を見つける。

また、彼女の言っていた

沖に浮かぶ幻のような城に、少年と伴に訪れる。

その城には、ナチスが遺した多くの拳銃や手榴弾があった。

その後、リノ・バンチェラーは、

その城に残り、そこに住み始める。

アラン・ドロンは、パリに帰る。

しかし、遊興の日々の末に、

アラン・ドロンは、

彼女の言っていた海に浮かぶ城が恋しくなり、

その城に戻ってきてリノ・バンチェラーと再会する。

しかし、彼は、パリで、アフリカ以来の財宝を狙う組織に発見されており、

彼らは、アラン・ドロンを尾行して

武器をもって城に上がって来た。

アラン・ドロンは、ナチの遺した武器を取りに行こうとして走るが、

最上階で彼らの銃弾をうけて、仰向けに倒れる。

それを見たリノ・バンチェラーは、銃弾を避けて拳銃と手榴弾を手に入れ、

手榴弾を敵に投げ続けて全滅させる。

そして、直ちに最上階に駆け上がり、

倒れているアラン・ドロンの上にかがみ込んで、励まし、

彼に言う。

「オイ、頑張れ、

彼女、お前と一緒に住みたいと、言ってたぞ。」

その、リノ・バンチェラーを見て、

アラン・ドロンは、ニヤリと笑い、

「この、嘘つき野郎め・・・」

とつぶやき、その後、目は虚空をただよって事切れる。

そして、カメラは

城の上にいる二人を写し続けながら、空に昇ってゆく。

そのなかで、リノ・バンチェラーは、

両手で顔を塞いでアラン・ドロンの横に立ち尽くしている。

そして、映画は終わった。


以上、十九歳の夏に観た映画「冒険者たち」の情景が、

昨日のように甦ったので記しておく。

西村眞悟時事通信FBより

日本日本日本


日本日本日本


リラックスできる楽器の音は?

▼本日限定!ブログスタンプ

あなたもスタンプをGETしよう