衛星「だいち2号」打ち上げ成功 災害や温暖化を調査
産経ニュース陸域観測技術衛星を搭載し、打ち上げられるH2Aロケット24号機=24日午後0時5分、鹿児島県の種子島宇宙センター
地震などの災害時に被災状況を把握する陸域観測技術衛星「だいち2号」を搭載したH2Aロケット24号機が24日午後0時5分、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。衛星は予定軌道に投入され、打ち上げは成功した。
だいち2号は平成23年に運用を停止した宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「だいち」の後継機で、性能を高めた新型レーダーを搭載した。津波や台風による浸水域の特定、地震に伴う地殻変動の観測などで被災状況を早期に推定し、救援や復旧に役立てる。
火山を監視して噴火の警戒範囲の検討に反映させるほか、世界の森林や氷河の変化をとらえて地球温暖化対策にも活用する。
初代だいちは光学カメラも搭載したが、2号は昼夜や天候を問わず観測可能なレーダーに特化した。地上で識別できる大きさは初代の10メートルから1~3メートルに向上。機体を傾ける新たな機能を持たせることで、観測範囲は幅2320キロと約3倍に拡大し、効率的な観測が可能になる。
順調に行けば半年後に本格運用を開始する。開発費は衛星が210億円で、打ち上げ費用と運用システムを含め計374億円。H2Aは18回連続の成功となり、成功率は95.8%に向上し信頼性を高めた。
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【用語解説】だいち2号
宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した地球観測衛星。長さ10メートル、幅3メートルのレーダーで地表に電波を発射し、反射の度合いから地上の様子を調べる。高度628キロで地球を南北に周回し、14日ごとに同じ場所の上空をほぼ同時刻に通過。地表との距離を地震前後に比較し、隆起や沈降の地殻変動を数センチ単位で把握できる。重さ約2トン、太陽電池パネルを展開した長さは16.5メートル。設計寿命は5年、運用の目標期間は7年。