「国は早急に対応を」 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 

【島が危ない 第2部 佐渡に迫る影(5)】過疎化…。
中国との関係強化「責められない」一方で「国は早急に対応を」



佐渡の玄関口の両津地区。過疎化とともに飲食店街の人通りも少なくなった=新潟県佐渡市(大山文兄撮影)


 新潟県・佐渡島の玄関口、両津港から10分ほど歩いたところに、古くから栄えてきた「両津夷(えびす)本町商店街」がある。約1キロにわたって100軒近い商店が並ぶが、営業しているのは十数軒。買い物客もまばらだ。薬局を経営する女性は「過疎化でシャッター通り化してしまった」と嘆く。

 昭和25年に約12万6千人だった島の人口は年々減り、平成25年4月1日現在で約6万1千人と半数以下になった。若者の島離れと高齢化が原因だ。

 佐渡市の甲斐元也市長によると、佐渡では進学と就職のため、高校卒業後に約80%の若者が島を離れる。

 さらに毎年、千人程度の島民が亡くなっていく。

 夕暮れの後、両津港近くの住宅街を歩くと、明かりが漏れてこない民家が多いことに戸惑う。「電気がついていないところは空き家。仮に人が住んでいても、お年寄りは、自分が生活している部屋でしか電気をつけないから、外から見ると暗くて人が住んでいないように見える」。佐渡青年会議所の菊池寿男理事長(38)はこう説明した。

 市の人口のうち65歳以上の割合は昭和25年に6・6%だったが、平成25年4月1日現在で37・7%となっている。平均年齢も平成16年に49・38歳だったが、今年2月末現在で52・28歳まで上がった。

菊池理事長によると、高齢化に伴い、固定資産税を支払えない島民が増えているという。「跡継ぎがいなければ、民家を売る島民もどんどん出てくるだろう。買い手がなくて、外国資本に売ったとしても責められない」

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 佐渡市は地域再生のため、留学生や観光客の受け入れ、農業の連携先などとして中国との関係を強化する道を模索している。中国人留学生の受け入れに積極的な学校法人新潟国際芸術学院や中国在新潟総領事館も後押ししている。

 ただ、中国在新潟総領事館がある新潟市では、こうした関係を危惧する声もある。

 新潟県の関係者は東日本大震災直後に起きた出来事を明かした。

 この関係者によると、総領事館は、震災発生5日後の23年3月16日から21日にかけて、東北地方に住む中国人5711人を、市から借りた新潟市体育館など3カ所に集め、新潟空港からの臨時便で順次帰国させた。

 その際、地元の地方議員が体育館の様子を知るために建物内に入ろうとしたところ、総領事館側に拒絶されたという。「粘って交渉して、入り口から3メートルだけという条件でなんとか入ったが、結局、中の様子はよく分からなかったようだ。議員は名刺の裏に『(体育館内の様子などを)一切口外しない』などという誓約を書かされた」

別の関係者は「総領事館内なら治外法権だろうが、市の施設を貸しているのに、どうしてそんな振る舞いをされるのか。市からも納得できる説明はなかった。総領事館が広大な敷地に移転する計画があるが、実現すれば、どんな事態が起きるのか。外国への依存は問題も多い」と話す。

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 佐渡島の中国依存は、過疎化や高齢化、それに伴う経済的疲弊に起因する。

 佐渡市議会の祝(ほうり)優雄議長は、本土との格差が続く限り、この問題は深刻になると訴える。「格差があれば人はいなくなる。国は早急に対応してほしい。本土に住む日本人の一人一人が自分のこととして国境離島の問題を考えてほしい」(宮本雅史)