【産経抄】ご注進ジャーナリズム再び 1月28日
NHKの籾井勝人(もみい・かつと)会長(70)の就任会見での発言に対して、韓国の与野党とメディアが反発しているそうだ。すでに籾井氏を激しく批判している一部の新聞が、きのう報じていた。またか、の思いを禁じ得ない。
▼閣僚の歴史認識についての発言や教科書の記述に、問題ありと報じれば、中国や韓国は必ず反応する。その動きをまた打ち返す、いつもの「ご注進ジャーナリズム」の手口である。
▼そもそも、籾井氏の発言のどこがけしからんのか、さっぱりわからない。「韓国が、日本だけが強制連行したように主張するから話がややこしい。それは日韓基本条約で国際的には解決している。それをなぜ蒸し返されるのか」。慰安婦問題について、おっしゃる通りである。
▼ただこの問題については、すでに悪意に満ちた曲解が世界にまき散らされ、今や米国にまで慰安婦像が設置されている。その元凶となった河野談話が、どれほどずさんな調査に基づいたものだったのか、小紙がくわしく報じてきた。誤解を招かないためにも、「日本の官憲が女性を強制連行したというのは、まったくの虚構だ」とはっきり言ってもらいたかった。
▼慰安婦が、「戦争地域では、どこにでもあった」という発言も、間違ってはいない。歴史家の秦郁彦さんによれば、第二次世界大戦で、兵士の性の問題に悩まされたのは、日本だけでなかった。もっとも「オランダの飾り窓」まで持ち出すのは、言わずもがなの脱線だった。
▼民主党などは、籾井氏を国会で追及するかまえを見せている。NHKの偏向を正そうとすれば、反対勢力はあらゆる機会をとらえて足を引っ張ろうとする。籾井氏はその恐ろしさを思い知ったはずだ。気を引き締めて改革に乗り出してほしい。